日本史の「アレンジ」04 女優の生姿・アニメ・CG版?
現在でこそ芸術とみなされている「歌舞伎」も、実は、
波乱万丈・紆余曲折ともいうべき困難な歴史を経て今日に
至っています。 では、その難儀な時期をどうやって乗り越えて
きたのでしょうか。
1603年、北野天満宮の舞台に立った「出雲阿国」(1572?-不詳)
に絶大な人気が集まったことが歌舞伎の出発点、という説明が
通説になっているようですから、つまりは女性が創始者?だった
ことになります。
「舞台で舞う女性」の人気はハンパでなく、そのために、
阿国のマネをする女性達が続出したとされています。
それはいいのですが、これらの女性たちの中には活動?の
場を舞台の外にまで広げる者も少なくなかったようで、
そのことが風紀紊乱とみなされ、1629年には「舞台女優」
そのものが禁止されてしまいました。
これでは「女性」役が登場しないお芝居になってしまいます。
そこで、そのピンチヒッターとして、若い男の子に「女」を演じ
させることにしましたが、これも「女優」の場合と同様に舞台の
外にまで活動の場が広がっていったことから、1652年には同じ
理由をもって禁止処分を喰らっています。
つまり、「女優」もダメ、女性に見立てた「若い衆」もダメ、という
ことで、これでは舞台に「華」「見栄え」がないのですから、
歌舞伎の人気も凋落して当然です。
現代なら、「女優」がダメなら「ニューハーフ」がワンサといるわさ、
ということで、そのダメージはそれほどでもないのでしょうが、
江戸時代にその「ニューハーフ」もそう多くはいなかった?・・・
(よく調べておりませんが、そんな気がしないでもありません)

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少し先走ったお話になりますが、「女形(おやま・おんながた)」の
プロトタイプが登場したのが1700年以降で、本格派「女形」の
登場はもう少しあとのことのようですから、その間少なくとも
70~80年ほど間、舞台では「女性」を見せられない状況が続いて
いたことになります。
しかし、このピンチに直面した先人達はこんなアイデアを
打ち出しました。
~「生姿版」がダメなら「アニメ版」でいこう!~
「女性」は「女性」でも「人形」なら、決して生身の「女性」では
ないのだから、「女性」を舞台に立たせたことにはならない。
ややこしい言い回しで恐縮ですが、つまりはそういうことで、
「人形浄瑠璃」に着目したわけです。
したたかというか、大胆というか、支離滅裂というか、どんな
表現が適当なのか分かりませんが、とにかく舞台に「女っ気」を
感じさせるためには、これより方法はないと腹をくくったのかも
しれません。
この時期、歌舞伎人気の凋落に対して浄瑠璃の人気が上昇した
ところを見ると、この「生姿版」から「アニメ版」への大胆な
「アレンジ」は大成功だったといえそうです。
事実、この時期の浄瑠璃界には近松門左衛門(1653-1725年)
という大作家も登場し、同時並行的に演劇としての浄瑠璃の
レベルアップもなされています。
しかし、数十年後の歌舞伎では、「女形」の芸が「本物の女性
よりなお女性っぽい」と評されるほどの向上をみせるようになり、
そうすると今度は次第に浄瑠璃人気の低迷、歌舞伎人気の
上昇という傾向が現れ始めます。
~実体は本物ではないが、本当に本物らしく見える~という
意味からすれば、「女形」は現代でいう「CG版」?に当たる
のかもしれません。
この二転三転は、「観客の飽きっぽさ」というものではなく、
観客が本当に望んでいたものは、「アニメ版」よりは、やっぱり
リアルな「生姿版」の方だったということなのでしょう。
しかし、もしこの「浄瑠璃」の「緊急リリーフ登板」なかったと
したら、おそらく、これ以後数十年間の日本人は「芝居を観る」
楽しみから遠ざかり、かなりの「芝居オンチ」になってしまった
ことでしょうから、後に「女形」の芸が登場したとしても、はたして
これほど歓迎できたものかどうか?
その意味では、実に大きな意義を持った「リリーフ」だったし、
先人達の苦心の「アレンジ」ぶりには実に見事なものがあった、
といえそうです。
で、お話は「女優禁止」のその後に移りますが、日本で生身の
「女性」が再び舞台を踏めるようになったのは、もう間もなく
20世紀を迎えようとするころでしたから、その間二百数十年は
「舞台女優」不在の時代を経験したことになるわけです。
この時代の先人たちに、舞台が女性だらけの「タカラジェンヌ」を
ひと目だけでも見せてやりたかったと思うのは、なにもワタシ
ひとりだけではありますまい。
もっとも、その「タカラジェンヌ」をひと目だけでも見たことのない
ワタシが言うのですから、イマイチ説得力に欠けるきらいは
あるのですが・・・・
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---これまでの「アレンジ」シリーズ----------------
136 日本史の「アレンジ」03 逆説の「歴史の海は・・・」 井沢元彦氏の視界!
118 日本史の「アレンジ」02 “××の変”は変ではないか? なぜ不統一?
111 日本史の「アレンジ」01 発明より改良が好き 民族の伝統なのか?
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ヤジ馬の日本史~超駄級・100記事一覧編 神話から戦後まで一挙公開!
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波乱万丈・紆余曲折ともいうべき困難な歴史を経て今日に
至っています。 では、その難儀な時期をどうやって乗り越えて
きたのでしょうか。
1603年、北野天満宮の舞台に立った「出雲阿国」(1572?-不詳)
に絶大な人気が集まったことが歌舞伎の出発点、という説明が
通説になっているようですから、つまりは女性が創始者?だった
ことになります。
「舞台で舞う女性」の人気はハンパでなく、そのために、
阿国のマネをする女性達が続出したとされています。
それはいいのですが、これらの女性たちの中には活動?の
場を舞台の外にまで広げる者も少なくなかったようで、
そのことが風紀紊乱とみなされ、1629年には「舞台女優」
そのものが禁止されてしまいました。
これでは「女性」役が登場しないお芝居になってしまいます。
そこで、そのピンチヒッターとして、若い男の子に「女」を演じ
させることにしましたが、これも「女優」の場合と同様に舞台の
外にまで活動の場が広がっていったことから、1652年には同じ
理由をもって禁止処分を喰らっています。
つまり、「女優」もダメ、女性に見立てた「若い衆」もダメ、という
ことで、これでは舞台に「華」「見栄え」がないのですから、
歌舞伎の人気も凋落して当然です。
現代なら、「女優」がダメなら「ニューハーフ」がワンサといるわさ、
ということで、そのダメージはそれほどでもないのでしょうが、
江戸時代にその「ニューハーフ」もそう多くはいなかった?・・・
(よく調べておりませんが、そんな気がしないでもありません)

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少し先走ったお話になりますが、「女形(おやま・おんながた)」の
プロトタイプが登場したのが1700年以降で、本格派「女形」の
登場はもう少しあとのことのようですから、その間少なくとも
70~80年ほど間、舞台では「女性」を見せられない状況が続いて
いたことになります。
しかし、このピンチに直面した先人達はこんなアイデアを
打ち出しました。
~「生姿版」がダメなら「アニメ版」でいこう!~
「女性」は「女性」でも「人形」なら、決して生身の「女性」では
ないのだから、「女性」を舞台に立たせたことにはならない。
ややこしい言い回しで恐縮ですが、つまりはそういうことで、
「人形浄瑠璃」に着目したわけです。
したたかというか、大胆というか、支離滅裂というか、どんな
表現が適当なのか分かりませんが、とにかく舞台に「女っ気」を
感じさせるためには、これより方法はないと腹をくくったのかも
しれません。
この時期、歌舞伎人気の凋落に対して浄瑠璃の人気が上昇した
ところを見ると、この「生姿版」から「アニメ版」への大胆な
「アレンジ」は大成功だったといえそうです。
事実、この時期の浄瑠璃界には近松門左衛門(1653-1725年)
という大作家も登場し、同時並行的に演劇としての浄瑠璃の
レベルアップもなされています。
しかし、数十年後の歌舞伎では、「女形」の芸が「本物の女性
よりなお女性っぽい」と評されるほどの向上をみせるようになり、
そうすると今度は次第に浄瑠璃人気の低迷、歌舞伎人気の
上昇という傾向が現れ始めます。
~実体は本物ではないが、本当に本物らしく見える~という
意味からすれば、「女形」は現代でいう「CG版」?に当たる
のかもしれません。
この二転三転は、「観客の飽きっぽさ」というものではなく、
観客が本当に望んでいたものは、「アニメ版」よりは、やっぱり
リアルな「生姿版」の方だったということなのでしょう。
しかし、もしこの「浄瑠璃」の「緊急リリーフ登板」なかったと
したら、おそらく、これ以後数十年間の日本人は「芝居を観る」
楽しみから遠ざかり、かなりの「芝居オンチ」になってしまった
ことでしょうから、後に「女形」の芸が登場したとしても、はたして
これほど歓迎できたものかどうか?
その意味では、実に大きな意義を持った「リリーフ」だったし、
先人達の苦心の「アレンジ」ぶりには実に見事なものがあった、
といえそうです。
で、お話は「女優禁止」のその後に移りますが、日本で生身の
「女性」が再び舞台を踏めるようになったのは、もう間もなく
20世紀を迎えようとするころでしたから、その間二百数十年は
「舞台女優」不在の時代を経験したことになるわけです。
この時代の先人たちに、舞台が女性だらけの「タカラジェンヌ」を
ひと目だけでも見せてやりたかったと思うのは、なにもワタシ
ひとりだけではありますまい。
もっとも、その「タカラジェンヌ」をひと目だけでも見たことのない
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