日本史の「アレンジ」25 日本流漢字SDGs活用法

何事にせよ、物事にはそれなりに色々な定義・見解・考え方があるようです。 
日頃使っている文字についても同様なことがいえますが、もっともあまりに深い
お話になったのでは筆者自身の理解が及びません。

そこで肩の凝らないレベルでということにして、まずは日頃日本人が平均的に
使っている文字に注目してみました。
ということは、たとえばラテン文字だとか神代文字だとか、日頃使う機会の
少ない文字はハナから門前払いにしているということです。 悪しからず。


 moji_kanji_51.jpg 文字(漢字)

そうすると、これらの文字がピックアップされてきます。
/漢字/平仮名/片仮名/数字/アルファベット/
念のために分かりやすくそのサンプルも挙げておくなら、こんな種類の文字と
いうことです。

○漢字 /例 →愛 上 尾 柿 区 毛 子・・・・・・・・・・・など
○平仮名/例 →あ い う え お か き く け こ・・・・・など
○片仮名/例 →ア イ ウ エ オ カ キ ク ケ コ・・・・・など
○数字 /例 →0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ・・・・・・・・・など
○アルファベット/例 →A B C D E F G H I J K ・・・など

このあたりまでの理解はさほどの苦労は必要ありません。
しかしこれとは別の区分方法もあるようで、そこでこちらを覗いてみると少々
厄介な説明になっているのです。

表音文字/表意文字/表語文字/です。
なんじゃぁ、それは、ということで、ザっと整理してみると、そのそれぞれは
こんな説明になっています。

○表音文字/一つ一つの字が意味をもたず、音のみを表す文字。
○表意文字/一つ一つの字が一定の意味をもっている文字。
○表語文字/一つ一つの字により言語の一つ一つの語や形態素を表す文字体系。

表音文字、表意文字についての説明は何となくイメージできますが、最後にある
「表語文字」の説明は、筆者にとってはイマイチ呑み込みが悪い。
そこで、イヤイヤながらもう少し深追いしてみると、こんな説明に。
~(表語文字とは)表意文字のうち、一字が一語を表す文字。 単語文字。~

あぁさよか、表意文字の一種になるのか。
とは思ったものの、その理解が本当に正しいものかどうかは別問題です。 
しかし筆者にも都合があって、いつまでもここに留まっているわけにも
いきません。

そこで、強引ながら次へ進むことにして、
前出の/漢字/平仮名/片仮名/数字/アルファベット/それぞれが
表音、表意、表語文字のいずれに属すものかを確認してみることにしたわけ
です。 すると、こんな分類になっています。

○表音文字→ひらがな(平仮名)/カタカナ(片仮名)/アルファベット
○表意文字→漢字/数字
(そのうちの△表語文字→漢字)
要するに、漢字は表意文字であり、また同時にそのうちの表語文字にも該当
するものとされているわけです。

しかし、これは現在に通用する仕分けであって、歴史的に眺めるなら、
これとは別の分類がされてもいいような気がしました。
何が言いたいのかって。
それは、漢字を表音文字の分野にも加える分類方法です。

えぇ? 漢字が表音文字だってか?
ですが、そうそうビックリこく必要もありません。
なぜなら、かつての日本民族はそのようにしていた経験があるからです。


 manyou_kana_sekihi_01.jpg manyousyuu_01.jpg
 万葉歌碑(長野県・神坂神社) / 万葉集
 
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そんなことがあったっけ? えぇ、ありました。
ただし、ずっとずっと昔の先人たちが使っていた漢字ですから、アナタやまた
筆者などのような現代人には馴染みが薄いのかもしれません。

それは「万葉仮名」といわれる漢字で、少し説明を追ってみました。
~真仮名 (まがな)とも。
 漢字のもつ意味を捨て、音だけを用いて日本語を表音的に表記するもの。~


こうした説明に続いて、
~字音を借りたものを音仮名といい、「やま(山)」を<也麻>、「うつせみ」を
 <鬱瞻>と書く。
 和訓を借りたものを訓仮名といい、「やまと(大和)」を<八間跡>、
 「なつかし(懐し)」を<夏樫>と書く。~


かなり、専門的な説明になっていますが、今風の言い方なら当て字といった
ところでしょうか。 要するに、
~古く6世紀ごろから固有名詞の表記に用いられ、8世紀からは歌謡・書簡文
 などにも用いられた。 
 ことに《万葉集》での用法が多彩であったのでこの名がある。
 一般には一字一音節の単純な字画の文字が多い。
 9世紀になって万葉仮名から平仮名、片仮名が創案されたが、正式の漢文の
 書物では長く日本語の表音的表記に使用された。~


当時この万葉仮名はまさしく表音文字として使われ、さらにそこから平仮名や
片仮名が創り出されたと説明されているのです。
ですから、現代日本人一族郎党は、先人たちが旧・表音文字(漢字)から
作り出したその新・表音文字(平仮名・片仮名)を、ちゃっかり便利に使わせて
もらっていることになります。

それはともかく、もう少し腹に落ちるようにその万葉仮名の一例を覗いてみる
ことにしましょう。 Wikipediaにはこんな実例が挙げられていました。
~知波夜布留 賀美乃美佐賀爾 怒佐麻都里 伊波負伊能知波 意毛知知我多米~

神坂神社(長野県)にある歌碑に刻まれた防人の歌で、なんでもこれを現代の
漢字仮名交じり文で記すとこうなるとのことです。
~ちはやぶる 神の御坂に 幣(ぬさ)まつり 斎(いは)ふ命は 母父(おもちち)がため~

大まかな意味は、
~神を祀ってある山坂に幣を捧げて平安を祈る命は私のためではなく、
 父母のためである。~
 このくらいになるとのことです。

一文字一音で構成されており、また「父」を意味する言葉を「知知」と表記
していることからも、この場合の漢字が表音文字として使われていることは
一目瞭然です。
そうした歴史的事実まで含めて「漢字」というものを捉え直してみると、
日本民族にとっては、とてつもなく価値あるお宝だったことになりそうです。

だって、考えてもごらんなさいな。
最初は日本語を記録するために、ともあれ音韻(表音文字)だけを取り上げる
ことにし、次の段階では、どちらが先かは承知しませんが、その漢字を、
意味(表意文字)を持つ文字として扱い、さらにはその意味合いも確固たるもの
(表語文字)に絞り込むこともしたのです。

しかもそれだけではないゾ。
その「漢字」一字一字を書いていたのでは、とてもじゃないが手間ヒマが
かかりすぎるという観点から、ひらがな・カタカナを創作し、表現にスピードと
変化をもたらす発明までしたのですから、これはちょっとばかり凄いッ!

こうした漢字のアレンジや変革は、四千年の歴史を誇ると喧伝される漢字の
本場・中国自身も試みることなかったのです。
その意味では、外国製である漢字を、二刀流三刀流スタイルで賢く使い
こなしたのが日本民族と言えるのかもしれません。

えぇ、伝来からしばらくは純粋に「表音文字」として受け入れ、漢字に対する
理解が深まるにつれ、本来の「表意文字」として機能させ、その空席となった
「表音文字」としては、これまた漢字かスピンオフさせた「平仮名/片仮名」
を充てたということです。

この流れは、全体としてソツがないというか、スマートなやり方だったことは
確かです。
今流行の「SDGs」(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の
先取りだったと言えるのかもねぇ?

ただし、そうした先人の知恵の恩恵を受けているはずの現代人のやり方を
見てみるなら、これは必ずしもスマートとは言い切れない面もありそうです。
たとえば、日本で公開される外国映画のタイトルがいい例で、筆者の場合なぞは、
それこそ「カタカナ」だけでは、まったくのところ~言語明瞭・意味不明瞭~に
陥るケースも少なくないからです。

えぇ、例えば、こんな具合のタイトルです。
2010年『インセプション』 、2010年『エクスペンダブルス』・・・などなど。
このカタカナ・タイトルだけでその意味が理解できる人には無粋な補足になり
ますが、ちなみに前者は「開始/発端」、後者は「消耗品」ほどの意味合いを
有しているようです。




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