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zoom RSS 日本史の「大雑把」01 詭弁方便は神仏の十八番?

<<   作成日時 : 2018/09/15 00:01   >>

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個人的な感想ですが、個人個人の心こころに自由な形で抱かれているうちは、
信仰・信心と表現をされるものが、一定の広がりを持った集団的な行為に
なると、これが「宗教」と呼ばれる印象がしています。

実は個人個人の信心に理論理屈は必要ありません。
その心のままで何らの制約もないからです。
ところが、大勢の集団による信仰・信心(宗教)ともなれば、そこにはやはり
皆を納得させるだけの説明(理論・理屈)が必要になってきます。

そうした「理論づけ」は、実はそうそう簡単な作業ではありません。
元々は個人個人の素朴な感情から始まっているものであり、そこには、
数多の考え方・受け止め方が混在しているからです、
そして、そう難儀を乗り越えた「理論づけ」の成果?を、一般的には「教義」
くらいに呼んでいます。

およそ宗教である以上、どの宗旨宗派の「教義」にも、少なからず不合理な
説明・解釈が含まれることになります。
その宗教が誕生した頃の人々の感性を、めったやたらと「科学慣れ」して
しまった現代人が持つ常識の上に立って探究するのですから、「不合理」が
生じることは、決して「不合理」なことではありません。
ですから、何かにつけ不合理と感じられる「教義」も、少なからず、という
よりはメッチャ豊富に見つけ出すことができます。

たとえばキリスト教における「三位一体説」なども、その例かもしれません。
質問〜聖書読んでいると、父なる神/神の子/精霊という言葉が繰り返し
     登場しますが、いったいどなたがホンマモンの神なんですか?〜


質問者に悪意はないにせよ、その道の専門家にすれば、実はちょっと厄介な
質問で、多くの場合はこう答えるようになっているようです。
回答〜実は、これらはどれもキリスト教の神のことを指しているのです〜
これが、父なる神/神の子/精霊は3ツの存在ではなく、その正体?は
同じで「神そのもの」とする、いわゆる「三位一体説」です。

何かしら狐につままれたような、分かったようでわからない説明ですから、
当然のように追い打ちの質問も出ることになります。
質問〜わざわざ別の言葉を使い分けているのに、その正体はたった
     ひとつだなんて、そんな説明ってとってもヘンじゃありませんか?〜

回答〜ここは、つべこべ屁理屈をこねずに、ちゃんと聖書をお読みなさい。
     そこには“われわれの神、主は唯一の主である”と書いてあるはず
     です。 よってもって神は一つ、“オンリーワン”の存在であり、
     三位は一体ということになるのですなぁ・・・これが〜


熱心な信者はともかくとして、さほど熱心でない者や、はたまたキリスト教に
無縁な立場の人にとっては、「トンデモ説」と言いたくなるくらいにブッ飛んだ
説明になっています。
話の展開がかなり苦しい印象で、遠慮なく言うなら、むしろ一種の詭弁を
イメージしてしまうところです。
しかし、このくらいがキリスト教のいわゆる「三位一体説」の一般的な
宗教解釈になっているようですから、この説明には不都合がないという
ことなのでしょう。

これを聞いて、「超」が付く高齢者の中には、これも「超」昔に人気を博した
映画「七つの顔の男」(主演:片岡千恵蔵)のセリフ※を思い出す方が
おられるかもしれません。
こちらも、折にふれ、数多な人間になりすまして活動する男が登場する
のですが、その真の正体は「(藤村大造)ただ一人」という設定でした。
ですから、キリスト教に倣えば、「七位一体説」とも言えそうです。
※七つの顔の男じゃよ/ある時は私立探偵/ある時は片目の運転手/
  またある時は気障な中国人/またある時はインドの魔術師/
  しかしてその実体は、正義と真実の使徒、藤村大造!

三位一体01 本地垂迹01









キリスト教「三位一体説/仏教「本地垂迹説」

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話が大きくそれてしまいましたが、教義におけるこうした苦しさ?は何も
キリスト教に限ったものでもありません。
新たな外来神様として「仏教」が伝わった折には、日本でも同様の「理論化」?
が必要になりました。
〜新参された「仏様」は、その人相風体からしても、やっぱり原住?神様で
  ある八百万神とはちょっと毛色の異なる「部族}?でしょう?〜


確かに、古参「八百万神」と新参「仏様」とを素直に見比べれば、その風貌も
服装も大きく異なるのですから、「異なる部族」と受け止めたこの質問は、
感覚的にも納得できるものです。
たぶん、これが個人レベルの信仰・信心であったなら、そんなことはどっち
でもいいことですから、うっちゃられたまんまだったかもしれません。

ところが、これが「宗教」という社会現象になると、多くの信徒の連帯感を
育てるためにも「共通認識」、つまり「教義」というものが必要になりますから、
こんな説明が飛び出すことになります。
〜ええか、見た目にはまるで別の存在に見えるだろうがナ、実はナ、
  「仏様」は決して新参者なんかではなく、その真の正体は、昔の昔から
  この地おられる「八百万神」の方々そのものであるのダ〜


いきなりこんなことを言われても、まあ大抵は疑心暗鬼が解けるものでは
ありません。 そこで、説明の追い打ちです。
〜仏様は確かに昔の昔からこの日本におられたのだが、しかしいきなり
  あの風貌衣装で現れては、それを見慣れておらぬ民の多くは慌て
  ふためいてパニックを引き起こしてしまうやもしれぬ〜


確かにそうかもしれん。 そこで説明はさらに続きます。
〜そこで、頃合いを見て、この度「仏様」がオリジナルの姿を現すことに
  したのじゃから、決して悪く思うではないゾ〜

意表を衝いた、なんともアクロバット的な説明ですが、ご丁寧なことに
これには「本地垂迹説」※なる言葉まで用意されているのです。
※乱暴に言い切れば、「本来の神仏が現れる」ほどの意味で、八百万神は
  実は様々な仏が化身として現れたものとする神仏習合思想の一つ。

しかし、この説明には、万人を納得させられるほど説得力が備わって
いません。 そこで念のために、さらなる「追加説明」です。
「○○神=△△仏」と比定した、いわば「神仏対比表」?がそれです。
代表的なところを二三取り上げるとこんな按配になっています。
○天照大神 →← 大日如来
○熊野権現 →← 阿弥陀如来
○八幡神   →← 阿弥陀如来
※ただし、神々に付会される仏は宗派・信仰・寺院・神社によって異なる。

万人を納得させるだけの「教義」を設定することには、世の古今東西を問わず、
難儀を伴うということで、中には詭弁・方便もどきの理論展開を見ることも
決して珍しくはありません。

ちなみに、「詭弁」とは
〜故意に行われる虚偽の議論であり、道理に合わないことを強引に
  正当化しようとする弁論〜のことを言い、それに対し、
〜目的のために用いられる便宜的手段など〜を意味する仏教用語が
「方便」いう言葉になります。
ですから、それぞれの「教義」については、キリスト教の「三位一体説」の
場合は「詭弁」、仏教の「本地垂迹説」の場合は「方便」、という言葉の方が
似合っているのかもしれません。

ただ詭弁・方便のスケールとしては、キリスト教の「三位一体説」より
仏教の「本地垂迹説」の方がはるかに大きいように感じます。
なぜなら、「三位一体説」は、せいぜい「三つは一つ」と言っているに
過ぎませんが、「本地垂迹説」の方は、「八百万それぞれが、実は皆別々の
正体を持っている」と主張しているからです。
「三と八百万」なら、単純比較でも「八百万」の勝ちです。

その「三位一体説」から、今ひょっこり思い出しましたが、実は「三位一体島」
との名を持つ島が、この地球上に厳として存在しているそうです。
カリブ海・南米ベネズエラの沖に浮かぶ「トリニダード島」がそれで、
この「トリニダード」が「三位一体」を意味するスペイン語とのことです。

たったら「本地垂迹島」もある・・・のかどうか、その点については残念ながら
寡聞にして存じません。



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