日本史の「怪人」02 捏造された? ”親の七光り”

「国民栄誉賞」並みの業績を挙げた人物を父親に持つばかり
でなく、ひょっとしたら「天皇サンのお子」ではないかとの噂もある
のですから、若い頃からその一挙手一投足に注目が集まったと
しても不思議ではない・・・はずです。

ところが、その若い頃についてはよく分かっていない、ということ
ですから、それほど注目されてもおらず「超・著名人のご子息」で
あることも無視されていたことにもなります。
・・・ホント、不思議なことに。

その名を藤原不比等(659-720年)といい、蘇我入鹿暗殺事件
「乙巳の変」(645年)で大活躍?をした中臣鎌足(藤原鎌足)の
次男であり、また一方では、その時の相棒?の中大兄皇子
(天智天皇)の「ご落胤」ではないかとの噂もあるのですから、
それがもし本当ならハンパでない「毛並みの良さ」を誇る人物と
いうことになります。

しかも、中年以降には天皇家のプロデューサーのような立場、
つまり国家権力の中枢にいたのですから、「毛並みの良さ」だけ
ではなく、その実力の方も「怪人」並みのものを備えていたのは
確かでしょう。

それならなおのこと、幼い頃から利発だったとか、若い頃には
こんなに勇敢だったとか、とってもスケベだったとか、あれこれ
盛りたくさんのエピソードで飾られていてもよさそうなものですが、
そのあたりの情報がとんと少ないのです。


画像









 大織冠画像
 出展:興福寺

 上段/父:藤原鎌足
 下左/子:藤原不比等(弟)
 下右/子:定慧(兄)


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不思議といえば不思議なこの矛盾?を、さてどう解釈した
ものか? 最も考えやすいのが「経歴詐称」です。
それも「自分の経歴」ではなく、「父親の経歴」をです。

つまり、「親」を偉く見せることで、~自分はその「偉い親」の子供
であり、確かに『親の七光り』がありました~
と主張する、ひとつ
ヒネリを加えたテクニックです。

その目で見ると、不比等の父・鎌足が「乙巳の変」の功績をもって
「藤原姓」を賜ったことになっているのも、実はヘンなのです。

というのは、通説に従えば、父・鎌足が「藤原」を賜姓されたのは、
鎌足が息を引き取る前日のことですから、すなわち669年のことに
なります。

ところが、同じ名の都、「藤原京」へ遷都したのは694年。 
つまり、お話しの通りだとすれば、この「藤原京」は臣下が使って
いた「お古の名前」を付けた都ということになってしまうわけです。

プライドが高い朝廷がこのような命名をしたとは、少しばかり
考えにくいことです。 ※このへんのところは以前にも取り上げました。
                 (063~日本史の「謎解き」05 賜姓のアリバイ~


ですから、「賜姓・藤原」が成立するのは、当然、藤原京が都で
なくなった平安京遷都の710年以降のことになるはずで、つまり
「賜姓」されたのは、既になくなっていた父・鎌足ではなく、当の
不比等本人だということになります。

このように、肝心な「藤原」賜姓の経緯にも大きな「インチキ」?が
混じっているのであれば、「天皇サンのご落胤」という噂の方も、
その視線で眺める必要がありそうです。

「天皇サンのご落胤」とあらば、不比等が天皇家を切り盛りする
ことに、周囲の人間も後世の人間も大きな批判をすることが
できません。
ですから、それを見込んだ上で仕掛けた不比等自らの演出とも
考えられるわけです。

天智が妊娠中の女御を鎌足に下げ渡す際に、「生まれた子が
男子ならばアンタの子とせい、女子ならば朕の子としようゾ!」

というシチュエーションで生まれたのが不比等、とする物語も、
元はといえば、その言いだしっぺこそ不比等本人だった・・・
ような気もします。

つまり、直接的に「自分が偉い」とするのでは反発も招くでしょう
から、敢えて、~図らずも私には超・偉い父親がいたもので、
その『親の七光り』のお蔭をもってなんとかここまでやってこれ
ましたワイ~
と謙遜する姿勢を見せ、逆にちゃっかり自らの
立場の正当性を主張しているワケです。

そうしてみると、「怪人」?には「怪人」なりの気配りを必要と
するもののようです。
う~ん、歴史からは人生に対する姿勢も学べるのですね。

おっと、念のため申し添えますが、「親の七光り」とは、単に
「父親・鎌足がハゲ頭だった」というような底の浅い意味では
ありませんので、その点はくれぐれも誤解なきように。





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