幸運な国家 Part参

江戸時代の「キリスト教弾圧」の話になると、大抵は「幕府の悪政」
と評価される。 現代の日本では、キリスト教=愛の宗教、という
イメージが定着しているためだ。 しかし、この時の「宗教弾圧」
が歴史的結果として日本国民の幸福を守ったことは、もっと正当
に評価されるべきではないだろうか。


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その当時のキリスト教を「愛の宗教」と捉えることは、これは
完全に思い込みである。
そんな「ナマやさしい」代物でなかったことは、現在の南米大陸の
諸国がそれを証明している。
「宣教師」の入国によってその第一歩が始まり、時期をみて、
圧倒的な本国「軍事力」が投入され、やがてはその国独自の
宗教・言語・文化までをも席巻するのである。
インカ帝国の滅亡などがいい例だ。

問題は、多数の原住民を殺したとしても、そこに「罪悪感」の
カケラもないことだ。
なぜなら、教義の上では「キリスト教」を信じようとしない者は、
神の教えに背く者、即ち「人間」ではなく「悪魔」ということになる
からである。
だから「神」信じようとしない者を征伐してどこが悪い、との
言い分になる。この独善! しかし、これでは実際かなわんゾ。

日本なら、新しい神様が来たところで従来の神様と仲良くやって
いけばいいじゃないか、ということになる。
現に、新しい宗教・仏教が伝来したときも日本人はそれまで
信じていた神様を排除することなく、割合すんなりと受け入れて
「神仏混淆」となった。

しかし、この当時の「キリスト教(カトリック)」は、この点が決定的
に過激(日本人から見れば)である。
「神」は唯一であり、その他には「神」はあり得ないワケだから、
「神仏混淆」なぞ認めることは言語道断・論理破綻である。

しかもその上に、「キリスト教」を広めることは即ち「神」の祝福を
得られることなのだから、歯止めが効かない。
ああじゃこうじゃ、とは言わせないのである。

しかし、ありがたいことにこの時代の日本のトップ(信長も秀吉も
家康も)は、この「独善」には不快感を示した。
確かな情報を持っていたものか、あるいは直感的なものだった
のかも知れないが、これが「幸運」だった。
※現代のキリスト教のことを言っているのではないので、誤解なきよう。

この「キリスト教」問題は、結局江戸幕府による「禁教・弾圧」に
まで発展していくのだが、これ以外に方法はなかったように
思える。

従来の宗教のように、他の神様と仲良くその枠内に納まってくれる
ものなら、それはそれで構わないのだが、その日本ルールを無視
して、第一歩に「宣教師」を送り、頃合いを見計らってその次には
必ず本国から「軍隊」を派遣する、という「侵略のシステム」を機能
させないためには、結局のところ「関わりを持たない」ことしか
ないではないか。

それでも、この時の「キリスト教弾圧」をもって、幕府の「悪政」ぶり
を声高に指摘する向きも少なくないようだが、率直に言えば、
いささかナンセンスな見解である。

まさか、日本がインカ帝国のように独自の宗教・言語・文化まで
をも失い、滅んでしまうことを望んでいるワケではあるまい。
それとも、古臭い「日本語」を話すよりは、新しい「スペイン語」や
「ポルトガル語」を話していた方が、あるいは、神様仏様みんな
仲良くの「神仏混淆」よりは、なにが何でも「キリスト教(カトリック)」
一辺倒の信仰スタイルの方が日本人にはマッチしていた、とでも
言うのだろうか。

繰り返しになって大変恐縮だが、キリスト教=愛の宗教、という
現代のイメージは、あの時代の「キリスト教」の実態をまったく反映
していない善意の「幻」なのである。
この危機一髪の時代に、トップが断固として「国家の方針」を
貫いたことで、ずっと後の我々21世紀の日本人もその恩恵に
あずかっていることになる。 

しかし、思いがけない幸運には必ず「後遺症」が伴う。
PartⅠ「戦後占領」では幸運の裏面として、国家の自存自立の
気概を見失しなわせ、PartⅡ「軍事政権」では、国防意識を希薄
にし、本編PartⅢ「宗教弾圧」の幸運の裏返しは、日本国民を
見事なまでの宗教オンチにしたことである。 <了>

日本国は確かに「幸運」に遭遇したことがある。
しかし、日本国民である私は「幸運」に遭遇したことがない。
「宝クジ」に当たったことがないのが、何よりの証拠である。


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