ヤジ馬の日本史

アクセスカウンタ

zoom RSS 日本史の「付録」02 世の中には二種類の人間がいる

<<   作成日時 : 2017/09/15 00:20   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

随分と昔の映画の中にこんなセリフがあったことをヒョッコリ思い出しました。 
正義の人VS悪漢の対決が見せ場という、お約束通りの展開の「西部劇」で、
その中で正義の人が悪漢に向かって吐いたこんな言葉です。
〜世の中には二種類の人間がいる。 (建物に)ドアから入るヤツと
  (お前のように)窓から入るヤツだ〜


この作品で初めて使われたセリフかどうかはよく知りませんが、この後にも
これをアレンジしたようなセリフを再々耳にしました。 たとえば、こんな具合。
〜世の中には二種類の人間がいる。生きている者とかつて生きていた者だ〜 
あるいはこんな言い回しだったかもしれません。
〜世の中には二種類の人間がいる。 ベッドの上で寝る人間と墓の下で
  眠る人間だ〜


本来複雑であるはずの人間というものを、いたってシンプルでかつやや強引
に「二種類」に仕訳けしてしまうこうした感覚には、筆者なぞはそれなりの
遊び心を覚え、結構面白く感じたところです。
それはともかく、この言葉に倣えば、江戸時代日本にもまた「二種類の人間」
がいたと言えるのかもしれません。
本場中国から取り入れた儒教の「士農工商」という身分?がそれです。

しかしちょっと待て! 
「士農工商」ということなら四種類の分類になるのではないかえ。
確かに本場中国ではそういう考え方や扱いをしていたようです。
しかし、日本ではそのようには扱いませんでした。
なぜなら、「士農工商」という業態の感覚はあったものの、実際には外来の
概念ですから、オリジナルそのままの採用はできずに、結局日本では大きく
「士と民」(官と民)の二種類に認識された・・・こうした受け止め方のほうが
実状に近い認識かもしれません。

本家?中国でいう本来の「士」とは士大夫つまり官僚であり、指導者という
意味です。 要するに、めったやたらと難しい「科挙」試験に合格できた、
いわば少数のエリートたちのことを指しています。
ところが日本では、この「士」を「武士」の意味で捉えています。
その官僚であり指導者という立場を武士が担当していたこともあったの
でしょう。
しかし、中国においてはハナから「武士」という身分・階層がなかった
わけですから、まあ日本風にアレンジするのもやむを得ないところです。

では、その、「民」とは一体なんなのだ?
これこそが「士」以外の全部をひっくるめた「農工商」を指していました。
この仕訳が割合に厳格だったことは「農工商」それぞれの身分間?は比較的に
風通しがよかったのに、「士」との間の身分移動?はそうそう容易でなかった
ことからもよく分かります。

もっとも、しばらくの時代を経るとこうした膠着した官と民の境界?も「金で入手」
することが珍しくなくなりました。
例えば、商家の次男坊が武家の跡取り養子に入る、いわゆる「旗本株を買う」
という行為もあったことが、そうした風潮を証明しています。
しかしともかくも、「士」と「民」の間には月とスッポン、提灯と吊鐘ほどの隔たり
があることを、大切な建前としていたことは事実のようです。
つまり、江戸日本にもこんな状況があったと言えそうです。
〜世の中には二種類の人間がいる(いた)。 それは「官」と「民」だ〜

さて、その「農工商」、つまり「民」の中にも「百姓と町人」という、二種類の
呼び方がありました。
もっともこれは身分における分類ではなく、メッチャ大雑把にいうなら、主に
田舎(田畑のあるところ)に住む者を「百姓」と呼び、それとは異なり大概は
町に住むライフスタイルの人間(主に工・商従事者)たちを、文字通り「町人」
呼んだようです。

士農工商51 ポルポト51








(江戸日本)士農工商/(カンボジア)ポル・ポト

 にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓
↑応援クリックは↑

そんなら、その「百姓」とは一体何者なのだ?
現代では多くの場合「百姓=農民」と理解され、その上に「百姓」とは
「農民に対して幾分かの侮蔑を含んだ言葉」として、放送などでも極力使用を
控えているようです。

言葉は時代と共に変化する性質を備えていることを思えば、これもやむを
得ないことかもしれませんが、本来ここには「侮蔑」の意味合いは含まれて
おらず、文字通りに「百(多くの)姓」を意味しました。
つまり、現代風にいうなら「一般国民」を意味するほどの言葉だったと
考えられるところです。

ですから、ここに使う数字も「百」なんてチマチマ遠慮したものにせず、
「神サマ」に使った表現にならって、ドバッと「八百万(メッチャ多くの)姓」と
でもしておいたなら、後世における混乱も避けられたのかもしれません。
つまり、無用な遠慮?が招いた無用な混乱?ということにもなりそうです。

それはともかく、「二種類の人間」と言うものの、日本の場合の「士と民」
違いは比較的穏やかなものでした。
そう言えるのは、これより後、それも二十世紀に入ってからのこと。
「農本主義」を標榜した国家の中にはこの「二種類の人間」政策をシャカリキ
になって推し進めた国家もあったからです。

年配者にとってはまだ記憶に新しいところと思われますが、なかでもとりわけ
過激だったのが、中国カンボジアでした。
「毛沢東思想」の実践と見られたこの両国における行動にはまことに
凄まじいものがあって、ここでいう「二種類の人間」とは「指導者(共産党」と
「民(農民)」であり、それ以外は有害無益な存在として扱うものでした。
いわば「害虫」ならぬ「害人」?もどきの扱いをしたということです。

殊にポル・ポト(1928-1998年)の場合は、「国民に対する教育」はおろか、
「貨幣経済」そのものまで否定したほどでしたから、農業生産に貢献しない
教師やインテリ層なぞは国家にとって無益どころか極めて有害な存在として、
容赦のない徹底的な迫害・排除を加えました。
要するに、「害虫駆除」もどきの感覚で「害人駆除」?に努めたわけです。

このポル・ポト派(カンボジア共産党/クメール・ルージュ)の独裁体制下に
あった四年間(1975-1979年)で、カンボジアでは、当時の国民総数800万人
の内、命を奪われた国民の数は二百万人とも四百万人ともいわれたほどで、
実数は今もって把握できていない状況です。

一方の中国における「文化大革命」(1966-1976年)。
こちらにも負けず劣らずの激しさがあって、ご多分に漏れず各地で大量の
「害人駆除」?つまり殺戮が行われ、その犠牲者の合計は数百万人から
一千万人以上ともいわれています。 ホント、凄まじいったらありゃしない!

ですから、こういう出来事を眺めてみるとこんな言葉も浮かんでくるほどです。
〜世の中には二種類の人間がいる。 殺すヤツと殺される者だ〜

こうした「過激」な迫害や駆除?に比べれば、江戸日本の商人なぞは、
ある意味幸せだったかもしれません。
確かに、幕府には「商は詐なり」※として商業を軽視もしくは蔑視する傾向が
強かったものの、だからと言って「商人なんて害人?は皆殺しじゃ!」・・・
ここまでの暴挙に踏み出すことはなかったからです。
※商売なんて詐欺行為である/老中・松平定信(1759-1829年)の言葉

そこで早速筆者も、この「二種類の人間」という言葉にチャレンジしみました。
〜世の中には(筆者以外の人間には)二種類の人間がいる。 
  それは悪人と極悪人だ〜

おそらくは、こうした高慢ちきな姿勢が筆者の「地獄堕ち」を約束するので
しょうね。 そういうことなら、今からその覚悟を固めておかねばッ!



 にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓
↑応援クリックは↑



−−−これまでの 「付録」 シリーズ−−−−−−−−−−−−−−−−
432 日本史の「付録」01 旅人よ隠密バイトはいかが 合理的な人材確保法?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヤジ馬の日本史〜超駄級・400記事一覧〜 301−400編 颯爽ろくでな史!
ヤジ馬の日本史〜超駄級・300記事一覧〜 202−299編 堂々肩すか史!
ヤジ馬の日本史〜超駄級・200記事一覧〜 後編「な→ん」巻 あゝ七転八倒!
ヤジ馬の日本史〜超駄級・200記事一覧〜 前編「あ→と」巻 七転び八起き!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



民衆史の遺産(第9巻) 金属の民 [ 谷川健一 ]
楽天ブックス
金属の民 谷川健一 大和岩雄 大和書房ミンシュウシ ノ イサン タニガワ,ケンイチ オオワ,イワオ

楽天市場 by 民衆史の遺産(第9巻) 金属の民 [ 谷川健一 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

YOROZU 妄想の民俗史 [ 後藤正文 ]
楽天ブックス
妄想の民俗史 後藤正文 ロッキング・オンヨロズ ゴトウ,マサフミ 発行年月:2017年07月 予約締

楽天市場 by YOROZU 妄想の民俗史 [ 後藤正文 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
日本史の「付録」02 世の中には二種類の人間がいる ヤジ馬の日本史/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる