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zoom RSS 日本史の「信仰」07 夫婦天皇の合葬は何のため?

<<   作成日時 : 2017/06/30 00:15   >>

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夫に当たる第40代「天武天皇」(生年不明-686年)とその妻だった第41代
「持統天皇」(645-703年/女帝)、このこの「御夫婦天皇」が眠る「陵」
(桧隈大内陵/奈良県)は、「合葬陵」?の形式になっているとのことです。 
※天皇の諡号はいずれも崩御後に付けられたものですが、便宜上 ここでは
  諡号を優先した表記にしています。

このことを現代目線で捉えるなら、こんな印象になります。
〜同じお墓の中で永遠の眠りについているのだから、生前はさぞかし
  「仲の良いご夫婦」だったのだろう〜

しかし、ちょっと待て!ホントにそう素直な受け止め方でよいものか?

妻・「持統」は「天智(第38代)天皇の娘」という歴とした血筋ですが、それに
対し夫・「天武」が自称?する「天智天皇の同父同母弟」という素性には
いささかの胡散臭さ?が感じられるからです。  たとえば、
○「天智の同父同母弟」という天武の自称?はホントのことなのか?
○天皇でありながら、天武はなぜ「生年不明」なのか?
○天智の娘(皇女)四人までもが、軒並み「天武の妻」に収まっているのは、
  いささか不自然ではないか?


後世の人が疑問を抱くこれら点について、持統はなにせ天智の娘であり、また
妻として天武の傍で生活をしていたのですから、「真相」?を詳しく承知して
いたものと思われます。

〜夫・天武は、ホントは「天智の同父母弟」ではなく、その血筋はとても
  じゃないが正統とは言えないものである〜
 「天武の正体」?を知る
妻・持統には、ひょっとしたらこんな思いがあったのかも?
〜私(持統)は天智の娘であるという正当な血筋にあるものの、皇位が
  夫・天武の血統に移ってしまったら、エライことだワ。
  だって、それでは純系の「万世一系」ではなくなってしまうものネ〜


そこで持統は、天智の血統を守るべく、皇位継承が自分の血筋から決して
外れることの無いようにありとあらゆる努力を費やしたのでしょう。
たとえば、天武後の皇位継承の最有力候補者であった大津皇子(663-686年)
は、天武崩御のなんと翌日に「自殺」しています。
これとて、持統が自分の子「草壁皇子」(662-689年)を皇位に就かせるべく
払った渾身の「努力」?だと見えなくもありません。
もっとも、この計画は肝心の「草壁」自身が若くして亡くなったことで挫折して
しまいました。

しかし、ここでガックリ落ち込んでいるようでは、天武血統排除という大事業?を
達することはできません。
ならばということで、皇位継承の有資格者・適任者がいたにも拘わらず、
今度は自分の子・「草壁」のそのまた子、つまり紛れもなく持統の血を引き
継いでいる孫「軽皇子」(後の文武天皇)に継承すべく策をめぐらせています。
とはいえ、「軽皇子」はまだ7歳・・・いかにも幼すぎて、到底周囲からの納得を
得られそうにもありません。

天武持統合葬51 出雲大社51







天武持統合葬陵(桧隈大内陵・奈良県)/出雲大社

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そこで持統が取った苦肉の策が、自らが即位することでした。
こうして文武が成長するまでの時間を稼ぐことで、皇位が父・天智→
(天武を飛ばして)→自分(41代・持統)→自分の孫(42代・文武)、という
自分が考える正統な血筋で継承されるように画策したわけです。

天武の秘密?を知る持統にとって、皇統における「天武の血」の徹底排除は、
「やり通さなければならない」ことだったのでしょう。 
そのために「祖母から孫へ」の皇位継承という前代未聞の超不自然な
方法までとったことになります。

ではなぜ持統は、それほどまでに違和感を覚えた夫・天武との「夫婦合葬」
を選んだのか?
これまでの天皇がそうしてきたように、持統もまた自分専用の「陵」?を
選択することもできたはずです。
そこで浮かび上がってくるのが「出雲大社」です。

「出雲大社」の主祭神は「大国主命」と言われています。
しかし、実際にはその脇には「御客座五神」と呼ばれる神々も鎮座されて
います。 では、いったい何のためにそこに鎮座されているのか?

実は、この「御客座五神」は敗者であり怨霊である「大国主命」が暴れ出す
ことのないように見張る、要するに勝者側の「監視役」とする説もあります。
(異説もあり)
だったら、いささか不可解な天武・持統の「夫婦合葬」の根底にも「出雲」と
同様に「怨霊信仰」があるのではないか?

つまり、持統はこう考えた?
〜私の血筋で皇位を継承していくことについては、自分の血筋を残せなく
  なった夫・天武は深く恨み、ひょっとしたら「怨霊」になるかもしれないワ〜


さりとて、自分の子々孫々に、そうした「祟り」が降りかかっては堪りません
から、
〜「怨霊」にならないようにするには、敗者・天武に負けないだけの力を
  備えた者(天皇経験者)が勝者側の「監視役」を務めざるを得ない・・・
  そして、その適任者は私の他にいないということなら、結局は「合葬」しか
  ないじゃん〜


要するに、持統は天武と同じ陵に入ることで、無念の意を持つ天武が怨霊
として暴れ出さないように監視する役、つまり、「出雲大社」における
「大国主命」に対する「御客座五神」の役目を買って出たのでしょう。
そう遺言したのかもしれません。
ともかく、これには「天武の血」を徹底排除したことに対して、持統自身が
幾分の後ろめたさを感じていたとも考えられます。

この「合葬」に対する「怨霊信仰」の他にも、持統は「宗教人間」の一面も
備えていました。 その傍証の一つとして「火葬」という持統の決断を挙げる
ことができそうです。

日本で初めての「火葬」(700年)と言われているのが僧・道昭のそれです。
実はその直後に、持統もこの目新しい葬送方式「火葬」を受け入れている
(702年崩御/703年火葬)のです。
もちろん、「天皇の火葬」は本邦初、開闢以来の出来事でした。

おそらく当時の人々には「遺体の焼却処分」としか映らなかったであろう
「火葬」を、早々と受け入れているのですから、その背景には何かしらの強い
「信仰心」を備えていたと考えるのが自然でしょう。

ですから、この「天武・持統の合葬」の真相?は、現代人の目には、ある意味
ロマンチックに、また「仲の良かった夫婦」に映るものの、その実は「皇統」を
巡るドロドロした水面下の政治戦争の結果だったということもできそうな気が
します。

もっとも現代では、夫婦であっても、
〜夫と同じ墓に入るなんて、そんなの死んでもイヤだわ〜と強く強く主張
される奥様方も決して少なくない・・・これもよく耳にするところです。



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