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zoom RSS 日本史の「言葉」21 幕末志士の日本史読本

<<   作成日時 : 2016/05/25 00:01   >>

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歴史書は大きく「正史」「外史」に分類されます。
この言葉を素直に受け止めるなら、「正史」とは「正しい歴史」を
意味し、これとは別に「外史」という言葉があるのなら、こちらの
方は「正しい歴史」以外の、まあ「歴史エピソード」ほどのものか
と解釈したくなるところです。
ところが、実際にはこんな定義になっています。

正史〜国家によって編纂された正式の歴史書〜
外史〜官命などによらずに個人・民間の資格で書いた歴史書。
     野史。(対義語→正史)〜


つまり国家が音頭を取ったものが「正」であり、民間のものは
「外」としているわけですから、「官尊民卑」の意識をこれほど
濃厚に表した言葉もちょいと珍しいくらいのものです。

この分類に従えば、有名な「日本書紀」(720年)や、その続編?
「続日本紀」(797年)などが「正史」に当たり、日本最古の歴史書と
される「古事記」(712年) (モロに「外史」と言い切れるかどうかは微妙
としても)
、少なくとも定義上は「正史」とは言えず、それ以外の
ものと見做されることになります。

また、1645年に水戸の黄門様の志によって始まり、二十世紀
に入った1906年にようやく完成を見た、261年がかりの壮大な
歴史編纂事業「大日本史」(全397巻)も、藩独自の取り組み
でしたから、区分としてはやはり「外史」に当たります。
徳川光圀(1628-1701年)御三家・水戸藩第二代藩主

さて、幕末と呼ばれるにはまだ間のある頃、こうした「外史」
中から、今でいう「ベストセラー」?並みの人気を集めた書物が
登場しました。
江戸後期の歴史学者・頼山陽(1780-1832年)による「日本外史」
(1829年)がそれで、「オレが直々に書いた歴史だぜ」と強調
したかったのか、敢えてそのタイトルを「外史」としていました。

幕末の薩摩藩士・中村半次郎(桐野利秋/1838-1877年)には、
この本にまつわる、まことしやかな上に、かつ割合よく知られた
エピソードがあります。
無学をウリ?にしていた(ようにも見える)半次郎は、冗談交じりに
こう語ったことがあるそうです。

〜自分が「日本外史」を読めたら天下をとってみせる〜
無学な自分には読めないが、他の者はみんなが読んでいる・・・
つまり裏を返せば、この時代の「ベストセラー」であったことの
証言?にもなっているわけです。


日本外史本01 日本外史頼山陽51








        日本外史               頼山陽

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では、その「ベストセラーブック」には何が書かれていたのか?
実際に読んだことはないので、以下はモロに受け売り?に
なりますが、その人気の秘密を挙げると、
○非常に分かりやすい平易な文章であった(らしい)こと。
○内容も、源平の時代から徳川氏の時代までを「武家盛衰史」
  のスタイルで取り上げ、全体を物語性に富んだ書き方にして
  いる(らしい)こと。

こう説明されると、「歴史書」というよりはなにやら「歴史小説」、
たとえば昭和のベストセラー山岡荘八著「徳川家康」あたり
を連想してしまいますが、案外そんなイメージだったのかも
しれません。 ※新聞連載1950-1967年/文庫版全26巻

確かに、山岡版「家康」も歴史小説としてだけではなく、一方では
ビジネス本としても評判となり、この時代の経営者必読の書・
バイブルのような扱われ方もされていましたからね。
それはともかく、全22巻の体裁を整え刊行された「日本外史」
中で、著者・頼山陽はこう主張している・・・(らしい)です。

〜平家が滅び、源氏・鎌倉幕府が滅びていったのは、結局の
  ところ、歴史の動きに取り残されて政権担当能力を失って
  しまったことが原因であり、当然の結果だッ〜


要するに、〜新しいパワーが歴史の流れを変えていくのだゼ〜
こう言っているわけですから、この歴史観が今まさに「尊王攘夷」
を目指そうとする志士たちに「意気燃ゆる」ものを感じさせたと
しても不思議ではありません。

尊王〜「天皇こそ日本の主権者だ!」
     (幕府なんぞは天皇の家臣であって、断じて主権者ではねぇゾ!)

攘夷〜「外国(人)は追っ払え!」
     (外国(人)は絶対に国内には入れねぇし、関わりたくもねぇゾ!)


こうした意識が、外国の威圧外交の前に腰砕けになった幕府の
軽視に結びつき、さらには天皇を中心とした日本人だけの国家
を作るべき、という思想・行動に繋がっていったのでしょう。

「日本外史」が分析していた盛衰論の通り、そうした流れの中で
歴史の動きに取り残されて政権担当能力を失った徳川幕府
ものの見事に滅んでしまったわけです。

ですから、この「ベストセラー歴史小説」?が、その後の歴史に
与えた影響は決して小さくなかったと言えそうです。 
ちなみに、その著者「頼山陽」って・・・(どうでもいいことですが)
肖像画を眺めて感じたことは、「ウ〜ン濃い髭面ッ!」でした。




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