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zoom RSS 日本史の「言葉」02敵国降伏

<<   作成日時 : 2012/01/20 08:00   >>

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中国・元(げん)は二度に渡ってこの日本を攻めた。
有名な「元寇(げんこう)」である。結果はご存知の通り元軍の
敗北、すなわち結果的には日本側の勝利であった。
ところが、その後日本側ではその「勝因」についての意見が
大きく分かれることとなった。 なんで?


画像 初めに、この元寇が鎌倉幕府の時代、
 すなわち「13世紀の出来事」だったことに
 注意を払っておく必要がある。
 要するに、ずっとずっと古代の原始的政治の
 時代ではなかった、という点である。

鎌倉武士の奮戦を目の当たりにした元軍は、陸地での野営を
断念し、船中での寝泊りを余儀なくされた。
鎌倉武士がいる陸地では大きな危険がある、と判断したためだ。
そこを襲った暴風が、元船と元軍に壊滅的なダメージを与えた。

だから、いわゆる「神風」が吹いたにせよ、結果として元軍を
船中にまで追いやった鎌倉武士のガンバリ自体は大いに評価
されてもいいハズだ。
元軍が野営を実行していたら、船の被害はともかく人的被害の
面ではこれほど大きくならなっかただろうから、普通に考えれば
こうなる。

ところが、そのような道筋では考えない人々がいた。
当時の朝廷・貴族のお歴々である。 では、どう考えたのか?
「元軍を撃退できたのは、我々の力によるものであって、決して
鎌倉武士の活躍によるものではない!」
心からこのように信じ、またそれを強く主張したのである。

では、この朝廷・公家が言うところの「我々の力」とは、一体
なんなのか? それがこの「敵国降伏」である。
亀山上皇の手によるこの「敵国降伏」の額は、現在でも
博多・箱崎宮の門に掲げられているらしい。 ※写真

いったい、朝廷・公家のお歴々は何を言いたいのか?
簡単に言えば、こう主張したかったのである。
「元軍を撃退できたのは、全国各地の寺社・仏閣において我らが
熱心に敵国の降伏を祈願・祈祷をし続けた賜物である!よって、
元軍の壊滅と鎌倉武士の行動とはまったく無関係である!」
要するに、鎌倉武士の貢献度はゼロ査定だったということだ。

苦労の挙句、やっとの思いで国を守ったのに、この言われ方では
最高司令官・北条時宗もさぞかしカックン・ショックの思いが
あったのだろう。 緊張の糸がプッツンしてしまったものか、
二度目の元寇から三年も経たないうちに死んでいる。

現代人から見れば、この時の朝廷・貴族の言い分はやや異様に
聞こえるが、13世紀においてすら朝廷・貴族のお歴々は心から
このように信じていた、ということである。
その証拠に、時宗は朝廷から何の御褒美も貰えなかった。
※明治時代になってやっとその働きは評価されたそうである。

だから、この「敵国降伏」というキーワードは、「言葉に出せば、
現実もそのように動く」と信じる日本人の「言霊(ことだま)信仰」
の深さを示す典型的な事例と言えそうだゾ。

科学万能の現代においても、受験生の家庭では、その時期に
「すべる」とか「落ちる」などの言葉を極力慎む姿がある。
また、結婚式では「切れる」「別れる」などはタブーの言葉として
扱われている。 科学的見地からすれば、まったくの「迷信」に
過ぎないコトを知っていながら、それでもなお、要するに発した
言葉が「現実」を引っ張ってきてしまうことを、現代日本人も
無意識のうちに恐れ避けているワケだ。

このことは、日本人の「言霊(ことだま)信仰」が、古今を問わず
いかに根強いモノであるかを如実に物語っている。
だから、今から七百年以上も昔に「敵国降伏」の祈願成果を
信じきっていた朝廷・貴族と、科学的知識を有する現代日本人
との間には、なんらの差も違いもないのであるゾ。

要するに、自らがそれを自覚していないだけであって、日本人は
ずっと大昔から現代まで「言霊(ことだま)」という強力な信仰の
中で生きている、ということだ。
その意味では、日本人は21世紀の現在でも「言葉」に対しては、
唱えれば叶う、願えば叶う、というアラジンの「魔法のランプ」的
なイメージを抱き続けているのかも知れない。 ウブなのだ。

夢を壊すようで申し訳ないのだが、日本人好みの言葉である
「ガンバリ続ければ、夢は必ず叶う」なんていうモットーも、
そう信じたいだけのことであり、端的に言えば単なる「ウソ」で
あって、その正体は「言霊信仰」に過ぎないのであるゾ。

頑張っても決して宝クジに当たらないワタシの人生がそのことを
如実に証明している。幾分ヤケクソ気味になってスマン!

〜日本史の「言葉」01もったいない〜


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