日本史の「例外」03 時代区分を眺めれば

「時代区分」の名称って、それなりの規則性に沿って命名されていると
ばかり思っていたのですが、必ずしもそうではないようですね。
ずっと昔の昔の大昔は、まあじゃ害するとして、一個の国家としての体裁が
整い始めて以後の時代については、その折の政権中枢の所在地を冠するのが、
ごくごく一般的なパターンだと思っていたのです。

というのは、たとえばこんな具合の「時代区分」になっているからです。
奈良時代(710 -794年) 平城京(現:奈良県)を都とする
平安時代(794-1185年) 平安京(現:京都府)を都とする
ただし、厳密に言えば、この時代の都は、必ずしも一か所に固定されて
おらず、実際にはたびたびの遷都を繰り返していたようですが。

確かに、その遷都のたびごとに別の「時代区分」に仕分けすることにすれば、
やたらとその数が増えてしまうでしょうし、併せてそれを把握する作業も
却って煩雑になるために、この程度にまとめたということかもしれません。
そういうこともあってか、この「平安時代」について言えば、400年近くの
時の流れをひとくくりにしています。

しかし、その「400年」という時の長さを現代に当てはめてみると、
なんと、江戸幕府の創立者・徳川家康(1543-1616年)が没してから、
たった今現在までとほぼほぼ同じ期間なのです。
現代ほどにめまぐるしい忙しさはなかったにしても、これではさすがに
長過ぎる印象になります。

筆者に限らず、そんな印象を抱く人は他にも大勢いるようで、実はこの
「平安時代」の中には、さらに小分けされた時代区分まで設けられている
のです。 整理してみるとこんな案配です。

律令国家 ( 8世紀後期-10世紀初頭) 個人を徴税対象に。
王朝国家 (10世紀初頭-12世紀後期) 原則は土地課税。
平氏政権 (1167-1185年) 政治的実権を朝廷以外の武士が握る。
要するに、国家構造やら政権の性格の違いなどに注目するとこうなり、
そして、上記の3区分を統合したものを「平安時代」としている格好に
なっています。
たった今、そのことに気が付いたので今初めて驚くわけですが、
「時代区分」って意外とややこしいこと構造になっているのですね。

ところが、「時代区分」の中にさらに細かな「時代区分」が設けられて
いるケースはこればかりではありませんでした。
たとえば、「室町時代」 (1336-1573年)もモロにそうした構成で、
ここには、「南北朝時代」(1336-1392年)ばかりか、
「戦国時代」(1467<1493>-1590年)、さらにはその後に続く
「安土桃山時代」(1573-1603年)とも、ボーダーレスで重なっている
のです。

言葉にすれば、「室町時代」の後ろの方に「戦国時代」があって、
その「戦国時代」の後方部には、すでに「安土桃山時代」が進出して
きているという案配です。
~だったら、なんのための「時代区分」なのだ~
筆者なぞは、こう居直りたくもなるほどの煩雑さです。

それはともかく、「時代区分」の名称は、必ずしも政権の本拠地を示した
ものになってはいません。
「鎌倉時代」(1185-1333年)の直後には、なんと「建武の新政」
(1333-1336年)と銘打った独立した「時代区分」が設けられているのです。
しかも、その「時代」の期間を探るなら、たったの数年間のこと。

その数年間を「鎌倉時代」(1185-1333年)にも、
「室町時代」(1336–1573年)にも編入できない事情があるということなら、
「建武の新政」などとイレギュラーな命名ではなく、せめて「建武時代」
ほどの分かりやすい名称にしておくべきでは?

その方が、すっきり・スマートな印象になるのは一目瞭然です。
なぜなら、「○○の新政」などと妙に特異な名乗りをしている「時代区分」
なんて、後にも先にもこの数年間だけですものねぇ。
こうした「こだわり」が、日本史を必要以上に複雑怪奇なものにして
いなければ幸いですが。

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  黒船来航1853年/   占領軍来日1945年/

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さて、もう少し、ヒツコク追ってみます。
たとえば「江戸時代」(1603-1868年)もその通りですが、いかに
「泰平の世」の265年間だったとしても、やはり時代のうねりは避けられる
ものではありません。

そうしたことから、この「江戸時代」を三つに分割して受け止める方法も
あるようです。
幕府初期(1603-1639年)幕府創立から南蛮船入港禁止まで。
鎖国時代(1639-1854年)南蛮船入港禁止から日米和親条約まで。
幕末時代(1853-1868年)黒船来航から幕府解散まで。

ちなみに、上記の「黒船来航」(1853年)とは、
~泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四はいで夜も寝られず~
狂歌にも歌われた、あのペリー艦隊の訪日を指しています。

実際、この幕末期の15年間で、日本は「近代化」に目覚めました。
というより、「黒船」を実見することで泰平の眠りから覚めて、それなりに
ビックリはしたものの、近代化というテーマに目覚めるまでには、
その後15年もの歳月を必要とした、と言った方が実情に合っているのかも
しれません。

しかし、とにもかくにも江戸幕府を解散させ、新たに明治政府を樹立した
ことで、国体が大きく変革した「新時代」を迎えたことは事実です。
そして、この江戸幕府解散以後、現在に至るまでの「時代区分」は、
普通以下のようになっています。

明治時代(1868-1912年)/○大正時代(1912-1926年)/
昭和時代(1926-1989年)/○平成時代(1989-2019年)/
令和時代(2019年~  )/
もっとも、昭和時代には「戦争」による極端な社会変革を体験しました
から、この「昭和時代」の中には、
○GHQ占領下(1945-1952年)という、時代区分も設けられています。

しかし、これは元号を優先させただけの、安易に過ぎる「時代区分」法と
いうべきで、筆者なぞは大きな不満を感じています。
これでは元号が変わったことは分かるにせよ、政治体制の変化をイメージ
させるものが何もないからです。
不満の原因は、要するにこの点なのです。

江戸幕府解散以後の政治体制はメッチャ大きく変わっています。
だったら、「時代区分」の名称も、元号に拘り過ぎるのではなく、
むしろ、その変化を前面に出したものにするべきでしょう。
では、どのように?

これは筆者の独断専行によるひとつの試案ですが、こんな
「時代区分」があってもいい気がしています。
帝国主義時代(1868-1945年) 大日本帝国憲法下の国家像
非占領下時代(1945-1952年) GHQ占領政策下の国家像
民主主義時代(1952年~  ) 日本国憲法下の国家像

GHQ(連合国総司令部)占領下時代の以前と以後においては、その国家像が
まるで違うものになっているのですから、そうした歴史の現実に密着した
「時代区分」の名称になっていると自画自賛の面持ちです。
少なくとも、単に元号を並べただけの方法に比べたら、それなりの
存在価値は認められるような気がします。

さて、上欄にある「非占領下時代」の約7年間の、主権を失った国家像と
いうものは、おそらくは現代日本人の常識にはなっていないと思われます。
なぜなら、現在の「時代区分」方法だと、昭和時代の中で起こった
7年間のエピソードもどきの受け止め方になってしまうからです。

逆に言うなら、「昭和時代」という「時代区分」方法は適切とは言えない
ことになりそうです。

だって、ちょいと眺めただけでも、「その前」と「その後」の時代が
まるで異質なものになっていることは一目瞭然ではありませんか。
 天皇主権→国民主権 /軍備拡張→軍備縮小(否定)/
大日本帝国→日本国  /男尊女卑→男女平等/農業立国→工業立国/
これらの大変化はすべて「非占領下時代」、つまり日本が独立国家で
なかった時期を境にして起こっているのです。

もちろんそれは日本国民自身が好んで選択した道ではなく、占領軍主導
だったかもしれませんが、ともかく大変革という事実については決して
否定できるものではありません。
あるいは、外国の手を煩わせた結果に現在の国家があることを潔しとせず、
わざと忘れたフリをしているのでしょうか。

もしそういうことだったら、品のない表現で恐縮ですが、現代日本人の
「ケツの穴は小さい」と言わざるを得ません。
念のためですが、上の言葉は肉体的な「肛門のサイズ」を指摘している
のではなく、類語として、意気地のない/根性無しの/気弱な/
気概のない/ヘナチョコの/などなどが挙げられるように、要するに
そういうことを言っているのです。



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