日本史の「数字」03 ちゅうちゅうたこかいな

地域主催のイベントで参加してくれた幼な子たちに小さな袋に入った飴玉を
渡すことになりました。 おチビ様お一人につき10個づつの計算です。
そして、その土産を手渡す役を仰せつかったのが、なんと筆者だっだのです。


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  飴玉 / ちゅうちゅうたこかいな

御近所の方々の目線もあるので、普段の無愛想を貫くわけにもいきません。
そこで、幼子を前にして飴玉の数を数えるパフォーマンスです。
~ちゅうちゅうたこかいな、はい、お土産の10個ねッ~

よほど幼子たちの意表を突いた数え方だったものか、これがバカ受け。
当の幼子たちのリクエストもあって、ずうーっとこの数え方を続けるハメに
なりました。 まあそれはよしとしても、でも、
~この「ちゅうちゅうたこかいな」って、いったいなんのこっちゃ?~
そのパフォーマンスを演じた本人自身が疑問に。

自分の口から出したとはいうものの、その意味がまったく分かりません。
そこで、せっかくの機会ですからちょっと探ってみることにしました。
~「ちゅうちゅうたこかいな」とは、2個単位で数を数える数え歌の1種で
 あり、「ちゅう・ちゅう・たこ・かい・な」が「2・4・6・8・10」に
 相当する~


こんな説明で、さらにはこの語源についても諸説あるとされていました。
語源については捨て置くとしても、ふと頭に浮かんだ疑問はこれ。
~はて、先人たちは普通にはどのように数を数えていたのだろうか?~
少なくとも「ちゅうちゅうたこかいな」ではなかったはずです。
だって、これは「数え歌」と説明されており、言い換えるなら
「通常・正式な数え方」ではないことになるからです。

では現代と同様に「いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち・く・
じゅう」だったかといえば、これもまた違うようです。
この数え方は漢字を音読みした読み方になっているため、当然漢字が
伝わった以降に広まった数え方ということになるそうです。

だったら、その漢字文化に影響される以前の数え方があったわけだ。
そんなものがあったっけ? しかし、じつはそれほど大層なものでもなく、
「ひい・ふう・みい・よう・いつ・むう・なな・やあ・ここ・とお」 
これくらいの数え方をしていたとの説明です。

なるほど、この数え方なら、随分昔のことながら年配者が実際に使っていた
光景も記憶にあるゾ。
しかし、それはいいとしても、だったらこの先、つまり「十一」以降の
数え方はどうだったのだろう。
筆者の記憶にある年配者は、確かこんな数え方をしていたゾ。
「じゅういち・じゅうに・じゅうさん・じゅうし・じゅうご・じゅうろく
 じゅうしち・・・」
なんだ、これでは現代人の数え方と同じではないか。

それが違うということなら、では「(十一)とおひい・(十二)とおふう・
(十三)とおみい・(十四)とおよう・・・」のように、数の音を重ねた
表現をしていたものか?
もしそうだとしたら、「・・・(十九)とおここ・(二十)とおとお」まで
はセーフとしても、「二十」以降が俄然面倒臭くなってしまいそうだ。

だって、「(二十一)とおとおひい・(二十二)とおとおふう・・・」
なんて具合になってしまいそうですからねぇ。
いくら、昔のこととはいえ、「五十」や「百」という数字を扱わなければ
ならない場面もあっただろうから、これでは不便極まりない。

ところが、じつはこのあたりのことはよく分かっていないようなのです。
~まだ10より上の数を認識する必要があるほどには、列島の生活文化は
 発展していなかった~
 このくらいまでに古い時代なら、
~日本列島には、まだ10より上の数を数える言葉が存在していなかった~
ことも分からないではありません。


 kino_tsurayuki_01.jpg 紀貫之

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しかし、その後には、
~中国漢字文明が到来したことによって、ようやく10より上の数を認識する
 必要のある段階に達した~

なるほどそうかもしれんが、筆者にはイマイチ納得しがたい点もあるゾ。

この時代だって10より上の数、たとえば15などのカウントを必要とする
場面も日常においてはあっただろうに、その時はどうしていたのだろう?
そんな時には以下のような数え方もあったのではないかとの推測もあります。

~11は(とお・あまり・ひとつ)12は(とお・あまり・ふた)・・・と
 続いて、19は(とお・あまり・ここのつ)まで進み、20を(はた)~

しかしまあ、なんちゅうじれったい数え方なのだ。

なぜそんな推測が登場するかと言えば、平安時代の貴族・歌人である
紀貫之(868頃-946年?)による「土佐日記」(935年?)に
よく似た数え方が登場しているからだそうです。
ちなみに、この「土佐日記」とは土佐守の任を終えた貫之がその地を
離れ京都へ帰着するまでの55日間の旅を記したものと説明されています。

う~ん、土佐から京都まで55日、当時はやたら時間がかかったようですねぇ。
それに学校の授業では、女性に仮託した仮名文だったことが強調され、
この「土佐日記」はよくテストの題材にされましたっけ。
~男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり~
(男も書くと言う日記というものを、女である私もしてみようと思って
 書きます
) ここらへんのことですね。

話が逸れ始めましたが、要はこの「土佐日記」にこんな数え方が登場して
いるのです。 
~日にちの「二十一日(21日)」を、
「二十日あまり一日の日」(はつか・あまり・ひとひ・のひ)などと表現~


当時の普通の数え方としてそのように数えたものか、あるいは女性を
騙る覆面作家?として、少し「女性」を気取った表現にしたものか、
そのあたりは筆者には判断ができませんが、現代の率直無粋な数え方に
比べたら、それなりにややこしさが伴っていることまた事実です。

で、この数え方の延長線で推理すると、「二十九日」つまり
(はつか・あまり・ここのか・のひ)の次の日「三十日」を(みそか)
って数えていたのかもしれんゾということです。

では、日にちではなく日数、たとえば京へ帰着までの「五十五日間」を
なんて数えたのだろうか?
ひょっとして(いそか・あまり・いつか・のひ)ってか?
うわぁ、頭がクシャクシャしてくるなあ。

そこで閑話休題・・・現代の数字の数え方というか読み方について。
たとえば、携帯電話の番号「090-1234-5678」の数字をどう読むか?
大抵は(ゼロ・キュウ・ゼロのイチ・ニ・サン・シのゴ・ロク・シチ・ハチ)
くらいでしょう。
「090」の部分を(レイ・キュウ・レイ)と読む方がいないとまでは
言いませんが、おそらくは少数派のはずです。

ところがこれが、小数点が付く数字、たとえば「0.345」になると、これも
大抵は(レイ・テン・サン・ヨン・ゴ)となりそうで、こんどは
(ゼロ・テン・サン・ヨン・ゴ)と読む方が断然少数派のはずです。

単に語呂が良くて発音しやすいことがその理由とも考えられますが、
なぜそう発音するのかはよく分かりません。 
ただし確実に言えることがひとつ。
現代の幼な子にとっても、「ちゅうちゅうたこかいな」という数え方は、
語呂が良いばかりでなく、イメージする画像的にもメッチャ楽しいものが
あるのかもしれません。
なにぶんにも「ちゅうちゅうたこかいな」ですからねぇ。

えぇ、なんとなくウソっぽく感じるなら、アナタも幼な子を前にして何かを
数える際には、この「ちゅうちゅうたこかいな」で数えてみるとよろしいヨ。
筆者の経験からすればメッチャ受けるだけでなく、やんやのアンコールが
続くことでしょうよ、きっとなら。




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