日本史の「逆転」23 現代時流から江戸を見る

今年になってその存在を知った女性の一人に、地球温暖化がもたらす
リスクを世界に向けて訴えているスウェーデンの十代の環境活動家、
グレタ・エルンマン・トゥーンベリさん(2003年生)がいます。
その彼女夘の活動ぶりは、このように紹介されています。

  公共の場や政治家・議会に対して、気候変動の危機に立ち向かうため、
  すぐさま行動を始めるようにと呼び掛けている。
  そのスピーチは、極めて率直であるばかりか、両親に対してさえ
  飛行機旅行や肉の食事をしないよう説得するなど、日常生活においても
  二酸化炭素排出量の少ないライフスタイルを実践している。


そればかりか、彼女が国連気候変動会議で演説した昨年(2018年)などは、
その後に毎週世界のどこかで学生ストライキが行われたと伝えられたほどで、
この点からも彼女が備えた大きな影響力というものが想像されるところです。
その彼女が抱く危惧を大きく捉えるなら、「地球の自滅/人類の自滅」と
いうテーマになるのかもしれません。

こんなにも大きなテーマを理解しようとすれば、根底のところで科学的な
難しい知識も必要とされるのでしょうが、そこまでのレベルには到底到達
できない筆者なぞは、割り切って単純にこう受け止めています。
~いわゆる「ゼロ・エネルギー社会」実現を目標としているということか~

この認識は、おそらくは「当たらずといえども遠からず」なのでしょう。
だって、「二酸化炭素排出量」とか「国連気候変動会議」などの言葉を
聞かされれば、条件反射的に「エネルギー」問題を連想しますものねえ。

そこで思うのです。
もし、ゼロ・エネルギー社会を理想として活動をしているのなら、かつて
地球にそうしたライフスタイルを作り上げた文明国家が実在していた
ことを、彼女は知っているのかしらん?

えぇッ、ホントにそんな理想郷があったの?
もし知らないとしたらこう驚くのかもしれませんが、その正体は実は
江戸時代の日本なのです。 もっとも、
~江戸時代は、庶民が圧政に苦しんだ暗黒時代だった~とする暗黒史観も
ないわけではありませんが、およそ「ゼロ・エネルギー社会」という
観点からするなら、超優等生であったことは間違いありません。

地球温暖化対策に対する姿勢が積極的でない国などに対して、非難と
皮肉を込めて授与される「化石賞」を二度も受賞?した現代日本。
こうした現代日本とはひと味もふた味も違った存在だったのが、
江戸時代の日本でした。

こんな言い方の方が分かりやすいでしょうか。
~ゼロ・エネルギー社会を究極の理想郷とするなら、そんなもん
 江戸日本人がとっくの昔に実現していたゾ~


たとえば、江戸暗黒史観においては、愚行の象徴のように語られる
鎖国政策。 ちなみに、その「鎖国」とは、
~一般的には1639年の南蛮(ポルトガル)船入港禁止から、
 1854年の日米和親条約締結までの期間を「鎖国」と呼ぶ~

このような定義になっていますが、この間の日本は少なくとも200年以上に
わたって「ゼル・エネルギー社会」を実現させていたはずです。

なぜなら、鎖国とは原則的に「輸入/輸出」を行っていなかったことを
意味しているからで、もっと分かりやすい表現ならこうも言えます。
~この間の日本人が使ったエネルギーは、この列島に降り注いだ
 太陽エネルギーの分だけだったゾ~


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環境活動家 グレタ・トゥーンベリ/ 稲・田んぼの風景

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国内において、石炭・石油などの化石燃料を大掛かりに産出・利用していた
形跡もないし、鎖国の只中ですから当然輸入・輸出も行っていません。
いちばん身近な燃料だった薪や炭にしたところで、その原材料になる植物は、
その間に降り注いだ太陽エネルギーの分以上には成長できないのですから、
結局のところ伐採し使用できる量の上限は自ずと決まってしまうわけです。

食物だってその通り。
米や麦の農作物にせよ、はたまた海・川に生息する魚介類にせよ、その間に
降り注いだ太陽エネルギーの分しか生長できないので、収穫・漁獲・消費
できる分も、当然その範囲に限られてしまいます。

また「鎖国」という事情から、こうした物も一様に輸入も輸出もして
いないのですから、収穫・漁獲も結局は自分たちが消費できる分に限る
ことになります。
その節度ある生活態度ですから、結果として生態系に悪影響を与える
こともありません。

江戸日本人は、現代日本人のように遥かアフリカ沖にまで魚を獲りにいく
発想は持たなかっし、また造船規制もあって、そのような船舶を造ること
もしなかったからです。

しかしまあ、「ゼロ・エネルギー社会」は確かに地球環境に対しては
優しいのでしょうが、人間の生活はその分大変だったはずです。
暑さ寒さに対する対策も、必然的に「我慢」が基本になり、移動手段も
「徒歩」が基本になりますから、空調環境・車社会の慣れ切った現代人には
ちょっと耐えられそうもありません。

そう言えば、先のグレタさんが国際会議(COP25)に出席する際には、
環境への配慮から温暖化ガス排出量の多い飛行機の移動を避け、自然風力を
利用するヨットで20日間かけて大西洋を渡っています。

ただ、ウソかマコトかよく承知しませんが、そのヨットの船長自身は
飛行機を利用しての帰路だったというお話も小耳に挟みました。
それほどに現代においては、「ゼロ・エネルギー=不便」ということなの
でしょう。

ですから、ゼロ・エネルギー社会であった江戸時代とは、言葉を換えれば、
こうしたありとあらゆる不便を民に強いた政治だったとも言えそうです
から、これが「江戸時代暗黒史観」に結びついていくのかもしれません。

そして、そうした江戸幕府を倒した明治新政府側自身が、意識的で巧みな
世論誘導を図ったことも事実でしょう。
~庶民を苦しめ続けたトコトンの悪者だった前政権(江戸幕府)を
 倒したボクらこそ正義の味方である。 
 そのボクらがこの後を指導していくのだから、ありがたく思いなさい~


開国をしたことによって少しづつ外国を知り始め、さらにはそのマネゴト
にも手が届くようになると、国民が無邪気にはしゃいだのも事実です。
~ちょんまげ頭を叩いてみれば、因循姑息(いんじゅんこそく)の音がする。
 総髪頭をたたいてみれば、王政復古の音がする。
 散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする~


つまりはこう言っているわけです。
~ちょんまげ頭の人は昔の風習にまだこだわっているメッチャ古い奴で、
 長髪は少しはマシだが、それでも王政復古の頃止まりだぜ。
 その点、散切り頭にした人こそトレンディで文明開化の波に乗っていると
 言えるゾ~
 確かにはしゃいでいますねぇ。

そして、「江戸日本」は古臭くて不自由で愚かで不便なものとして否定され、
その陰にあった「ゼロ・エネルギー社会」と共に葬り去られていったわけ
です。

この江戸日本モデルから思うのは、地球温暖化を阻止するためには、
おそらく人類は並み並みならぬ不便に耐えなければならないだろうと
いうことです。
そう、グレタさんが実践したように化石燃料をバンバン燃やす飛行機では
なく、自然風力を利用した動きの鈍いヨットを選択しなければならない
わけです。

ですから、地球環境の面からすると、200年もの長きに渡って
ゼロ・エネルギー社会を維持し続けた鎖国日本を暗黒時代と捉えるのは
間違いということになり、むしろ現代目線からすれば、最先端の
ライフスタイルを構築していたことになりそうです。
さらには、現代のように自らを傷付ける必要もなかった地球自身にとっても、
まさしく「理想郷」だったのかもしれません。

ところが、こうした考え方に現代日本人が素直に同意するとは思えません。
なぜなら、「化石賞」を二度も受賞したばかりか、何しろ心の奥底には
こんな哲学?さえ沁み込んでいる国民ですからねぇ。 
~人命は地球より重い~ 
えぇつまり、現代日本人は、
~地球なんか無くたって人間は生きていける~と放言しているわけです。



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