日本史の「微妙」12 日本もじ文字バラエティ

普段はあまり意識しないものの、現代日本人が使っている「文字」は案外に
ユニークな代物なのかもしれません。
まず第一に、他の文字に比べ、その種類が結構豊富なことです。

思いつくまま並べても、漢字・ひらがな・カタカナはずっと昔からが
ありますし、明治以後のことなら、アルファベットを利用したローマ字
いう表現方法も提供され、さらに現代では絵文字なんて代物も、
その仲間に加わりつつあります。

さて、古の日本民族が最初に「文字」という認識を持った対象は、
近所の「超大国・中国」御用達という環境もあって、おそらくは「漢字」
だったでしょう。
ひょっとしたら、それ以前や以後に、「漢字」以外の文字に接したことが
あったと考えられなくもありませんが、仮にそうしたことがあったにせよ、
その事実とその文字自体が現在まで伝わっていないのですから、やはり、
日本民族最初の「文字との遭遇」は漢字だったと受け止めてよさそうな
気がします。

それはそれはずっと大昔のことになりますが、邪馬台国女王・卑弥呼
(生年不明/没年242年~248年)に対し、すでに中国皇帝が「親魏倭王」
との称号を与えたという事実があるそうです。

そういうことなら、おそらくは、卑弥呼自身もその「字面」そのものに
接したことがあったのでしょうが、ただ、卑弥呼時代の民族文化のレベルが
これを「漢字文字」だと認識できるところにあったかのかどうかは、
また別の問題です。

そもそも、日本民族にとって、その漢字なるモノは、決しては使い勝手が
良いとは言えませんでした。
そりゃあそうでしょう、昔の昔から使っている自分たちの言葉を、
「漢字」という純製外国品?で表そうとする試みは、まさに「木に竹を接ぐ」
作業ですから無理もありません。

それほどに不便極まりないモノなら、それに拘ることなく、えいやっと
ばかりに棄ててしまう選択肢もあったはずです。
ところが、先人たちはそうはせず、そうした漢字から、新しく派生品?
を生み出した上に、それを活用する方法を採りました。

漢字を基にして、新たに「ひらがな/平仮名」「カタカナ/片仮名」
派生(スピンオフ)させたわけです。
これら複数種類の文字を使い分けることで、文字環境が飛躍的に「便利快適」
になったばかりか、元祖?漢字を「真名」、つまり本物の文字と呼び、
そこからスピンオフさせた文字を「仮名」、つまり便宜的な文字と呼ぶよう
にもなり、ついにはTPOの則して使い分けまでするようなりました。

その仮名誕生の経緯をメッチャ大雑把に示すなら、ザっとこんな感じに?
基にした漢字を、そのまま書き写したのが楷書体、それを少しばかり崩した
書き方が行書体、さらに極端に崩したのが草書体となり、これをもう一段
突き進め、超草書体というかシュール草書体というか、そのレベルに達して
できた文字を「ひらがな/平仮名」としました。

そんなら、もう一方の「カタカナ/片仮名」は?
~基の漢字の一部分(パーツ)を採ったものがそれだ~
いささか素気なさすぎる説明かもしれませんが、要するにそういう成り立ち
をしています。

さらに言うなら、この文字バラエティには、ローマ字表記も挙げておく
必要がありそうです。
明治以降の日本では、アメリカの医師であり宣教師であったジェームズ・
カーティス・ヘボン
(1815-1911年)が考案したヘボン式ローマ字が、広く
普及するようになりました。

nunber_kanji_01.jpg number_arabic_01.jpg
  「漢数字」(大字)/   アラビア数字

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もう一つ、触れておきたいのは数字の表記です。
明治以前の日本で使っていた数字は漢数字でした。
もっとも「漢数字」なんて改まった名称が必要になったのは、実は
「漢数字」ではない数字、いわゆる「アラビア数字」が紹介され、それが
普及したことで、二つを区別する必要に迫られたからです。

それはともかく、一・二・三・四・五・・・と表記するのが「漢数字」で、
それとは別に、1・2・3・4・5・・・の表記方法が「アラビア数字」と
いうことになります。 

そして、その「アラビア数字」については、こう説明されています。
~0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10個の数字。インドで考案され、
 アラビアを経てヨーロッパに伝わった。 インド数字。 算用数字~

ウーム、こういうことなら、善良無垢な市民につまらぬ誤解を与えない
ためにも、「アラビア数字」との名称は「インド数字」と改称すべきかも
しれません。

しかし、一方の漢数字にも、いささかマニアックな問題があるのです。
それは、通常仕様?とは別に「大字」と呼ばれる表記方法があることです。 
そりゃまた、なんのこっちゃ? 

このような説明になっています。
~大字(だいじ)とは、単純な字形の漢数字の代わりに用いる漢字~
何を言っているのか話が見えていない人には、さらにダメ押しの説明も。

~例えば、領収書に「金一万円」と書くと、後からそこに「|」を書き
 加えて「十万円」にしたり、「二」を書き加えて「三」にしたりする
 改竄が容易に可能である~
 
そうしたことを防止するために用いる(字画の大きい)数字ということです。

その大字とされる文字が結構ユニークで面白いので、ついでのことに並べて
みると、こんな案配になっていました。
0→零/ 1→壱/ 2→弐/ 3→参/ 4→肆/ 5→伍/ 6→陸/ 7→漆/ 
8→捌/9→玖/ 10→拾/ 100→陌/ 1,000→阡/ 10,000→萬/

ただし、~日本の法令で定められているのは「壱/弐/参/拾」のみである~
とのことですから、これらを使いこなすには、それなりの経験が必要かも。

さて、こうした「漢数字」と「アラビア数字」をよくよく眺めまわして
みると、その使われ方に、根本的な違いがあることに気が付きます。
「漢数字」が基本的に縦書きであるのに対し、一方の「アラビア数字」は
横書きを原則としている点です。

そして、そのルールをさらに神経質に追及してみると、縦書き漢数字は、
「上から下へ」と書き送り、横書きアラビア数字なら「左から右へ」が
原則になっていることに気が付こうというものです。
もっとも、小切手などのように漢数字を横書きにする場合もありますが、
その場合でも、少なくとも「左から右へ」の基準は遵守されています。

文章を「右から左へ」書くのを基本にしているアラビア語が現に存在して
いるのですから、この「左から右へ」も、単に「日本仕様の習慣に過ぎない」
と、言えば言えそうな印象にもなります。

ところが、実際にはそうとも言い切れない雰囲気もあるのです。
文章を「右から左へ」」書く様式を基本としている、そのアラビア語にして
からが、「アラビア数字」の表記法は国際基準に沿った「左から右へ」を
採用しているとのことです。

要するに、アラビア語の新聞などを読む場合は、文章部分は視線が
「右から左へ」と流れ、数字部分になるとその箇所だけ、目玉が
「左から右へ」と逆行するというわけです。

ところが、このことに驚く資格は日本人にはありません。
だって、それ以上に複雑怪奇な書き方読み方を平気でこなしているのです
からね。

たとえば、お手元の新聞を御覧なさいな。
本文は「縦書き」ですが、文字群全体の流れは「右から左へ」、見出しに
至っては、縦書きも横書きも呉越同舟?
また、寺院のお堂や、老舗を気取った店舗の横書き看板には「右から左へ」
のレトロ風がまだまだ多く残されていますし、さらにちょっとタイム
スリップしてみるなら、新聞の横書き見出しも「左から右へ」が主流だった
時代もあったのです。

そのめまぐるしいほどの多種多様・多彩混在の有様を、苦も無く器用に
使いこなしている日本人の臨機応変ぶりには、むしろアラビア人の方が
吃驚しちゃうかもしれません。

要するに、現代日本においては文字の種類が多いだけでなく、その書き方
にも多彩な方法が用意されているということであり、今回のタイトルを、
三種の文字を全部採用した「日本もじ文字バラエティ」としたのは、
そのことを強調する意味合いもあっての次第です。
悪しからず、ご了承くださいネ。



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