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zoom RSS 日本史の「微妙」08 どれがぁ?俳句川柳和歌狂歌

<<   作成日時 : 2018/07/20 00:10   >>

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下の二つの詩は両方とも五・七・五の十七音から成り立っていますが、
ジャンルで分けるなら別物の扱いになります。
□〜古池や 蛙飛び込む 水の音〜
◇〜一戸建て まわりを見ると 一戸だけ〜 もうお分かりのように、
「古池や・・・」は俳句で、「一戸建て・・・」は川柳です。
では、それをどこで見分けたらいいの?

実は俳句には、それなりに細々した御作法があって、
○「五・七・五」のリズムにする
○「季語」(特定の季節を表す言葉)を入れる
○必ず一か所に「切れ」を入れる →上句なら「古池や」の「や」がそれに該当
○余韻(言外に感じさせる趣や情緒)を残す

ただし、これから一歩でも外れたら絶対に「俳句」とは認めないゾ、という
わけでもないようで、たとえば、全国行脚の旅に出た俳人・種田山頭火
(1882-1940年)なぞはこんな作品も残しています。
○分け入っても 分け入っても 青い山
○どうしようもない 私が 歩いている
○へうへうと して水を 味ふ

これのどこが「五・七・五」なんだッ、と思わずツッコミみたくなりますが、
これらも「準俳句」とか「半俳句」は呼ばれることなく、立派(正当)な俳句
として扱われていますから話が見えません。

ですから、「季語」も「切れ」も「余韻」も不要な「五・七・五の詩」、つまり
「俳句」の原則・制約に縛られない詩を基本的に「川柳」と呼んでいる
ことになりそうです。
この差は、どうやら二つの詩の生い立ちの違いから生じたようで、
○「発句」が独立したものが「俳句」
○「前付句」が独立したものが「川柳」・・・こう説明されています。

ややこしいついでに、もう少し追ってみると、
○「発句」とは、連歌の「最初の句」(五・七・五)。
○「前付句」とは、これとは逆に下の「七・七」が先に決められているところへ
  付ける、頭部分になる「五・七・五」の句。

こうなると、「連歌」のこともちょこっとは知っておく必要があります。
○「連歌」とは、「五・七・五と七・七」を基盤として複数の作者が連作する詩。
  (鎌倉時代頃から興り、南北朝時代から室町時代にかけて大成された)

えらく面倒くさい「前フリ」はここで終わらせることにして、ようやく本題の
「川柳」です。
この五・七・五の詩「川柳」の創始者?は、江戸中期に活躍した前句付けの
点者(プロ審査員?)をしていた「柄井川柳」(1718-1790年)でした。
ただ、こうした詩にふさわしい名称を見つけられなかったのか、現在でも
詩自体は創始者?の名を採って、まんま「川柳」と呼ばれています。

しっかりお堅い原則・制約を抱える「俳句」に比べると、こちらの「川柳」には
一種の解放感があって、ちょいとばかり軽いノリになっています。
ですから、「純文芸・俳句」に対し「軽文芸(エンタメ)・川柳」といったイメージに
なるのかもしれません。

おそらくは、この軽やかさが歓迎されてのことでしょうが、現代においても
「川柳」の人気は一向に衰えを見せていません。
そのいい例が「サラリーマン川柳」(通称:サラセン/企画:第一生命)で
一般公募で集まった多数の作品の中から優秀な作品を選考し、さらには
それらの出版までする企画がもう30年以上も続いています。
ちなみに、先に挙げた「一戸建て・・・」も、同企画・第5回で選ばれた優秀作
からピックアップしたものです。

俳句と川柳には、違う点がもう一つあります。 
それは作者に対する呼び方で「純文芸・俳句(俳諧)」ともなると、「俳人」
(はいじん)「俳諧師」(はいかいし)などと大層立派な呼び方をされるばかり
ではなく、先の「古池や・・・」の作者・松尾芭蕉(1644-1694年)にいたっては、
俳人・俳諧師どころか、俳句の神サマを意味する「俳聖」なる特別称号?
まで授かっているのです。

「俳句」の作者が「俳人」・・・なら、こちらの「川柳」の作者を「川人」と呼ぶ
のかといえば、意外な?ことにそうでもないようです。 
「川人」では、(川に棲む)河童をイメージされそうで、それを懸念したのかも
知れません。 では、なんとお呼びしたらよいのか? 
どうやら下の字から「柳人」という呼び方もあるとのことです。
しかしこれでも(若い人には理解が及ばないイメージでしょうが)、いささかの
年配者なら、幽霊を連想しちゃうかも。
ですから、当たり障りなく「川柳作者」と呼んでおく方が無難かもしれません。

あ、今ちょっと気が付いたので念のために書き加えておきますが、「ハイジン」
「ハイカイシ」を闇雲に変換すると、「廃人」やら「徘徊し」なんて出てきて
しまうことがありそうですから、そのへんは予めお気をつけくださいネ。

松尾芭蕉05 柄井川柳02









俳諧師:松尾芭蕉/狂歌師:柄井川柳 

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さて、この俳句と川柳の関係に似ているのが、実は和歌と狂歌の関係です。
□〜銀も 金も玉も 何せむに まされる宝 子に如(し)かめやも〜
   ※銀(しろがね)/金(くがね)
□〜大海の 磯もとどろに 寄する波 われてくだけて さけて散るかも〜
◇〜歌よみは下手こそよけれ 天地の 動き出して たまるものかは〜
◇〜泰平の 眠りを覚ます上喜撰 たつた四杯で 夜も眠れず〜

上に□和歌2作品、下に◇狂歌2作品を並べてみましたが、では、どこが
違うの? 概ねのところ、こんな説明がされています。
「五・七・五・七・七」の音で構成されている点は共通していますが、
○和歌とは/漢詩に対して上代から行われた日本固有の詩歌。
○狂歌とは/社会風刺や皮肉やユーモアを盛り込んだパロディ風の和歌。

ですから、こちらも「純文芸・和歌」に対して、「軽文芸(エンタメ)・狂歌」の
イメージになりそうです。
少し補足を加えれば、和歌「銀(しろがね)も・・・」は山上憶良(660?-733年)
の作で、〜銀も金も玉もどれほどのことがあろうか。どんな宝も子供には
       遠く及びはしない〜
 こんな気持ちを詠っています。

片や、和歌「大海の・・・」の詩の「とどろに・・・」の部分は漢字にすれば
「轟ろに」となり、ごうごうと打ち寄せる波のダイナミックでエネルギッシュな
様子を表現しているそうです。 
さすがに「純文芸」だけのことはあって、このへんは抜け目がありませんね。

では、狂歌「歌よみは・・・」の場合、どうして「下手こそよけれ」なのか
分かりますか?
自慢じゃないが、筆者は(俄か調べですが)ちゃんと理解しています。
「古今和歌集仮名序(仮名で書かれた序文)にこんな一節があるからです。

〜(巧みな言葉は)力をも入れずして天地を動かし(たりすることだって)
  できちゃうんだぞ〜

そこで、この狂歌の作者(ペンネーム:宿屋飯盛)は、
〜(本当に)天地が動き出すようなことになってはたまらんから、歌の
  詠み手はむしろ下手っぴの方が無難だゾ〜
 こう歌ったわけです。
まさしく〜ユーモアを盛り込んだパロディ風の和歌〜として面目躍如の表現を
しています。

また、「泰平の・・・」の方は、幕末の「黒船来航」(1853年)に直面した幕府の
ドタバタぶりを揶揄したものですが、鋭いツッコミとともに、その文言には
ダジャレ?もたっぷり織り込まれています。

要するにこんな按配です。
緑茶の銘柄「喜撰」の上物のことを「上喜撰」といい、これが「蒸気船」に。
また茶も船も一杯二杯と数えるので、これが「四杯」。
ですから、表向きは「上喜撰の茶を四杯飲んだだけだが(カフェインの作用で)
夜眠れなくなっちゃった」
ところがその裏にはもう一つにはこんな揶揄が隠されているわけです。
「異国からの蒸気船がたった四杯来ただけで、国内が騒乱しちゃって、
 夜も眠れやせんゾ」

意味が分かれば、受け手は思わずニンマリしたことでしょう。
現代でいうなら、新聞に掲載される一コマ「風刺漫画」もどきの趣を備えて
いたと言えるかもしれません。

で、またまた、そうした作者の呼び方の問題に戻りますが、「和歌」の方には
「歌人」という立派な名称が用意されています。 だったら「狂歌」の方は?
「和歌」が「歌人」なら、「狂歌」は当然「狂人」?・・・
この呼び方は、ちょっとばかりマズいだろうに! 
ということで、「狂歌師」との呼び方もご用意されているようです。

以下は、ほんの余談。
かつて「趣味は俳句」と胸を張っていた若者が、俳句のルールである、
○五・七・五/○季語/○切れ/○余韻/もすべて完璧に織り込んだ
自信作を、〜うーむ、ユニークな川柳ですね〜と評されてしまった。
頭にきた彼は山頭火を見習うかのように放浪の旅に出てしまい・・・
えぇ、彼は「俳句」から「ヒッチハイク」に趣味を切り替えたわけです。



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