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zoom RSS 日本史の「陰謀」23 正史だってウソをこく

<<   作成日時 : 2017/10/30 00:01   >>

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なにも推理作家・横溝「正史」(1902-1981年)氏がウソコキであると言って
いるわけではありません。
そうではなく、ここでは歴史を語る際によく使われている歴史用語で
〜主に国家によって公式に編纂された歴史書〜と定義?されている
「正史」を指しています。

この「正史」の対義語としては「野史」という言葉があって、こちらは
〜民間で編まれた史書〜という意味になるようです。
正史野史。 ただ、この二つの言葉を並べられたら、よほどのヘソ曲がりで
ない限り、まあ大抵は「正史」の方に信頼を寄せるものです。 
なにせ、〜国家が威信をかけて編纂した歴史書〜ということであり、しかも
その字面たるや「正しい歴史」となっているのですから、比べればやはり
民間編纂の「野史」の勝ち目は薄い。

ところが、この「正史」にも実はゴマカシやウソが結構混じっているというのも
ある種の常識になっています。 そりゃあ、そうでしょう。 
国家が「歴史を記す」といったところで、実際の作業には、生身の人間、
しかも歴史の「勝ち組」側が携わるのであり、「負け組」はいつの場合も
「お呼びじゃない」・・・というわけですから、多少険のある言い方をするなら
〜ウソのこき放題!〜と言えなくもなさそうです。

話題が少し逸れますが、そうした傾向を21世紀日本で挙げるなら、
2011年「東日本大震災」の際の「原発事故」に対する政府発表にも幾分
そうした気配が感じられました。
海外では早い段階で「メルトダウン(炉心溶融)」という言葉と共に、
容易ならざる事態であることが報道されていましたが、国内における
政府発表は、ことの重大性を意識的に薄めた感じで発信されていたから
です。

確かに社会的なパニックを避ける意味では、必要な対処だったのかも
しれませんが、それでも、これも一種のゴマカシでありウソであったことは
否めません。
報道力がこれほどに発達した21世紀現代ですら、こうしたことはままある
のですから、これがそうでない環境、つまり、マスコミや電波報道などの
情報発信力が未発達の昔ともなればウソやゴマカシは「あって当然」で、
〜嘘や偽りは一切なく、内容全ては字面通りに「正しい」〜
こんな捉え方にはさすがに無理を感じるところです。

遥か昔の「正史」である「日本書紀」を眺めてみても、そうした印象は
避けられません。
その「日本書紀」とは、こんな説明になっています。(Wikipedia抜粋)
〜日本に伝存する最古の「正史」(全30巻/系図1巻)で、神代から
  第41代持統天皇(645-703年)※の時代までを扱っており、
  奈良時代(720年)に成立した〜

※第38代天智天皇の娘であり、第40代「天武天皇」の皇后

「正史」とはいいいながら、全30巻の内の2巻を「天武天皇」に費やしている
構成を見ても、またその責任編集?の任に当たったのが天武の皇子で
ある舎人親王(676-735年)だったことからしても、少なからず自分のオヤジ
「天武をヨイショ(顕彰)する」含みがあったであろうことは容易に想像できる
ところです。

ところが、顕彰?といいながら、実はこの「正史」にはなんとも不思議な
ゴマカシが含まれています。
スポットライトを当てるべきその主役?である「天武天皇」の、なんとその
「生年」が記されていないのです。
お手元に歴史本があったら、念のために確認されるとよろしいが、没年の
方は「686年」と明記されているにもかかわらず、誕生した年は「生年不明」
となっているはずです。

当時この言葉が使われていたかどうかは別として、この国においては、
「天皇」とは国家の最高権威者・権力者を意味していました。
しかも、この場合の「天武天皇」は、いうなれば「日本書紀」の主役?の座を
占めているのです。
あぁそれなのに、その主役?天皇の「生年が不明」なんてことは、普通に
考えれば、メッチャ不自然なことだと言わざるを得ません。
つまりは、昨今よく目にする国会証言と同様で、要するに「生年」ついては
「記憶にございません」という態度でゴマカシていることになります。

天皇天武61 天皇弘文01










第40代・天武天皇/第39代・弘文天皇

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気合を入れて編纂したはずの「正史」に、なぜ天武の「生年」が記されて
いないのか?
個人が取り組んだ仕事ならともかくも、この場合は「正史編纂」の専門チーム
が国家の威信をかけて取り組んだプロジェクトですから、「うっかりミス」は
さすがに考えにくい。 そうすると、
〜本当の生年を書き込むと、天武の主張である「天智天皇の同母弟」という、
  そのアリバイ?が崩れてしまう。 これを心配した結果のこと〜
 
そう見るのが最も妥当ということになりそうです。

なにせ、天武の「正当性」の全ては、「天智の同母弟」であるとする自身の
主張に担保されているのですから、うっかりした発言をしようものなら、
それが根底から崩れてしまいます。
そうなるとやはり「記憶にございません」というシンプルな釈明?が最も
安全な策だったということなのかもしれません。

この正史「日本書紀」には、この他に「ウソ」もありそうです。
天智天皇亡き後、天下の最終勝者を決めるべく天武(大海人皇子)が乱を
起こして戦った相手を、兄?天智の遺児を「大友皇子」(648-672年)と記して
いる点です。

つまりこう言っているわけです。
〜この戦い※「壬申の乱」(672年)は、私(大海人皇子/後の天武)対
  先代天智の皇子・大友とい形で対決したものであり、要するに
  「皇子VS皇子」の形の正統?な権力闘争でおましたんですぜぇ〜


ところが、これだと天智崩御からこの「壬申の乱」に至るまでの数か月間、
大友皇子は後継即位することなく、「天皇空位」の状況が続いていた・・・
現代風にいうなら、数か月間の「完全政治的空白」があったということに
なります。

〜要は両者が激突した事実が大切なのであって、その時点で大友皇子が
  即位していようがいまいが大した問題ではないじゃん!〜

現代人なら、誰しもこう考えたいところです。 ところがギッチョン! 
日本の歴史の場合はそういうわけにもいかないのです。

なぜなら、「(大友)天皇VS皇子(大海人)」という構図の戦いなら、これは
紛れもなく天皇に敵対する「大逆」※の行動になってしまいます。
こうした行動は、この国においてはどんな理由をつけようと逆立ちしようと、
断じて認められることではありません。
それは、理論や屁理屈を超えたこの国の「信仰」そのものだからです。
※大逆=※君主に対する殺傷行動

そこで、「大海人皇子(後の天武天皇)」側は考えた。
〜「皇子VS皇子」の戦い。 これなら「大逆」には当たらず、単なる「権力闘争」
  ということになるゾ・・・これで行こう!〜 
ですから、「大友皇子」は皇子のまま
いまだ「即位」には至っていなかったことにする必要があったわけです。

これが何事もなくそのまま過ぎていあたら、それこそ「迷宮入りの時効」事件?
として、天武側にとっては「万事メデタシ」の運びでしたが、こともあろうに、
「乱」から千二百年も経ってから明治新政府がいささかの疑問を抱きました。

その結果、〜大友皇子はやっぱ即位していた(だろうゾ)〜という結論に至り、
天武が主張した「(大友)皇子」に対し、遅ればせながら「弘文天皇」という
諡号を追号(1870年/明治3年)したのです。
ですから、それまでにもこの間の「天皇空位」を疑問に感じていた人も
少なからずいたのでしょうが、それでも建前としては、
〜「正史」が皇子としているからには、そうなのだろうう〜として、この
「正史」のウソ?は暴かれることはなかったということになります。

ですから皆サンよ!
「正史だって(緻密な)ウソをこく!」のですから、週刊誌に大雑把なウソが
書かれていたとしても、それにイチイチ腹を立てるのはまったく野暮な
振る舞い・・・こうした「大人社会の真理」が導かれるわけです。



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