日本史の「デジャヴ」20 昔の古墳は今のオンカロ?

先進国と称される各国では、原子力発電所の使用済み核燃料
など、いわゆる「放射性廃棄物」の処理に大変な苦労をしている
ようです。
なにせ、それが安全なレベルに達するまでには、ざっと10万年
の時間が必要とされているのですから、その間をキッチリ管理
することは確かに容易ではありません。

「地球史年表」(Wikipedia/要約)を参考にしただけでも、
◇約10万年前/現代人(ホモ・サピエンス)がアフリカを出て、
           世界各地に拡がった。
◇約 5万年前/クロマニョン人(新人)の登場。
◇約 3万年前/ネアンデルタール人(旧人)が絶滅。


要するに、「10万年」という時間は人類の「種類」?も入れ
替わってしまうほどの期間ということです。 それに、また、
◇約1万3000年前/日本列島が大陸から完全に離れた。
◇約1万2000年前/ナイアガラ滝の形成がはじまる。


このように、大地の形状すら変えてしまい、さらには、
◇ 約2万年前/農耕を覚えた人類により「環境破壊」が始まる。
◇約5000年前/初期の「文明」が現れる。
◇約 100年前/天体(彗星か隕石)が地球(シベリア)に衝突大爆発。

など、人間や環境そのものにも、それこそ「地球規模」の大変革
をもたらすほどに長大な時間です。

それなのに、現代人が考え出した「放射性廃棄物」に対する
処理方法は、あまりにも「幼稚で未熟」と言わざるを得ません。
例えば、近年話題になった北欧フィンランドの場合でも、
~太古の岩盤層を深さ500mまで掘り下げた先に、「オンカロ」
  と呼ぶ処分場を設け、核廃棄物で満杯になる約100年後に、
  入口を完全封鎖した上で、その10万年をじっと待つ~

※フィンランド語で「隠し場所」の意味/核心を突いた命名と言えるのかも?

実際、その「オンカロ」を取り上げたドキュメンタリ-映画
「100,000年後の安全」(英語原題:Into Eternity)では、最も危惧
されるシナリオとして、以下のようなことを考えているようです。
~現在の人類が姿を消したあとの未来の知的生物が処分場に
  侵入し、放射線が漏れ出してしまう~

※2010年国際環境映画祭(パリ)グランプリ受賞作品

過去を振り返っても、わずか数万年前には「クロマニョン人」が
登場し、「ネアンデルタール人」が滅んでいるのですから、決して
あり得ないことではありません。

しかし歴史を辿るなら、これとは別の心配もあって、こちらも
対策なしで放っておける問題ではないのです。
それは、~何を埋めたのか、人類自身が忘れてしまう~こと。
早い話が、たかだか1,000年ちょっと前に人類が築造した「古墳」
が、すでにその通りの状況を呈しているのですから。



古墳造山51 











(岡山県)造山古墳/被葬者・吉備政権首長?(推定)

オンカロ51











オンカロ(地下500メートル/核廃棄物処分場)

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~この「古墳」には一体「どなた」が埋葬されているのか?~
日本に存在する古墳に限っても、「これで間違いなし!」と
太鼓判を押せるのは、実際のところせいぜい一桁の範囲だと
言われています。

つまり、たかだか千数百年前の被葬者すら思い出せなくなって
いるのですから、現在の人類は、元々が「記憶力に劣った」、
あるいは、頼りないほどに「物忘れが激しい」生物ということに
なりそうです。
そんな人類に対して「十万年後まで記憶しておく」ことを期待
すること自体がハナから矛盾したお話になっています。

それはともかく、その「古墳」が総じて大きなサイズで築造されて
いるのは、その被葬者の備えた権力や、その国の国力を誇示
する意味もあったとされています。
しかし、さらにはこんな意識も重なっていたのでは?

~王は生前に大きな霊力を備えていたからこそ、その地位に
  就いたのであり、死んだ後もその霊力は「死穢」として大きい
  まま残っているはずだ~

※死の穢れのこと。かつて死は伝染すると信じられ、伝染させないためには
  「清め」が必要だと考えられていた。


逆の言葉なら、~死んだ王の「死穢」パワーは、常人とは比べ物
にならないほど、桁外れに強力である~
ですから、古墳の築造は当時に備えていた最高水準の技術を
駆使して行われたと思われます。
ここでうっかり「手抜かり」があろうものなら、恐るべき「死穢」を
浴びるのは自分たちですから、当然の気配りです。

そして、その恐るべき「死穢」が自分たちの世界(社会)まで拡散
することのないよう、「死穢バリア」として土をテンコ盛りにした。
・・・古墳がデカいのは、こうした理由もあったのではないか?

この辺の感覚を整理すると、こんな印象にもなります。
昔/王の「死穢の汚染」を拡散させないために、
   テンコ盛りの土で覆った最終処分場・・・これが「古墳」。
今/「放射性廃棄物の汚染」を拡散させないために、地下500m
   の深さに埋設する最終処分場・・・これが「オンカロ」
。  
もっと直截に言うなら~昔の「古墳」は現代の「オンカロ」である~

で、結局のところ、
古墳は、「死穢汚染警戒地帯」となり、そこへ近づく人間も
   次第に減って、やがて「被葬者」が「誰」だったのさえ
   分からなくなってしまった。
放射性廃棄物処理場は、「放射能汚染警戒地帯」となり
   そこへ近づく人間も次第に減って、やがて「埋設物」が
   「何」だったのさえ分からなくなってしまう。
こんなハメに陥る可能性も否定できません。

そしてある日のこと、「埋蔵金」との噂を聞きつけた新種人類?の
好奇心旺盛な若者達が「発掘」に挑みます。
~地下500mという厳重さからしても、なまじの量の埋蔵金では
  ないはずだッ!~


その若者チームが苦労の末に、幸運にもその「埋蔵金」?に
ぶち当たり、思わず「ヤッタァー!」
ここまでは良かったものの・・・ただ、時期が悪かった。
~埋めてから、たった「1万年」後のこと~だったのです。
つまり、「放射性廃棄物」はまだバリバリの現役。 あっちゃー! 

こうならないためには、あとは祈るのみ。
~どうか(十万年の間は)、深く静かにお眠りください~
この祈りは、制御不能なほどに強烈な死穢を放つと信じられた
「古墳被葬者」に対して抱いた、昔の人の素朴な心情と、ひょっと
したら同じものなのかもしれません。




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