日本史の「アレンジ」13 ”生類”その微妙な法解釈

江戸幕府第五代将軍・徳川綱吉(1646-1709年)による悪名高き?
「生類憐みの令」※(1687年-1709年)は、とりわけ綱吉の干支で
ある「犬」に対して特別な計らいを見せました。

最終的には30万坪弱の広大な敷地に数百棟の「御犬小屋」を
建設し、ここへおよそ十万匹の「御犬様」を収容したわけです。
その御犬様のエサ、いや“御食事”には、一日分として
~白米3合/干しイワシ1合/味噌50匁~が与えられました。
 (御犬様もちょっと“喰い過ぎ”ではないのか?)

当の“お触れ“は「生類」、つまり、命ある動物の「殺生」を慎めと
いうのが基本的な精神でしたから、逆にこんな疑問も。 
では、その御食事?に供された「イワシ」は「生類」の仲間では
なかったのか? 

そんなはずはありません。
当初は犬・猫・馬・牛くらいの範囲でしたが、さらには鳥類・魚類・
貝類・虫類までをも含めての「生類」としていたのですから、
「イワシ」だけが仲間外れとは、ちょっと考えにくい。 

具体的には、このような文言もありました。
○食料用に魚介類を飼育・養殖して売ってはならない。
○生きた鶏・鳥・亀・魚・貝類を食用として売ってはならない。
○鳥類・家畜類は勿論、ノミ・蚊・蝿も殺生禁止。
○魚釣りは“厳禁!”  (ホントに?)

だったら、こんな状況下で御犬様の御食事?に「イワシ」を提供
したら、それこそ幕府自らがコンプライアンス違反?を犯したこと
にもなり、また御人間様?とて「魚を食す」などは「言語道断!」
ということになってしまいます。

となると、この法律を厳格に運用するなら、経済面では漁師の
失業、飲食店の倒産、また健康面でもタンパク質不足から病人・
死者の増加など、社会全体に大きな「パニック」を引き起こす
ことは必至で・・・う~ん、これは困った!

で、実際にはこんな理屈をもって現実的な対応をしたようです。
「生類(この場合は魚)の殺生は厳に禁止!」・・・ただし、
~既に死んでいる(魚の)場合は殺生に当たらない~


干しイワシ51 うなぎイラスト51








     干しイワシ            うなぎ

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早い話が「法解釈」?に頼った印象で、その意味では現代日本の
「憲法解釈」テクニックなども、元を辿ればこの「生類憐みの令」
に行き当たるのかもしれません。

つまり、獲りたての「イワシ」はばっちり現役?の「生類」だから
“アウト”だが、「干しイワシ」となれば、既に死んでいるので
“セーフ”いう解釈でしょうか? 
そう言われてみれば、確かにワタシも生きた「干しイワシ」
出合ったことがありません。

その目線で眺めるなら、先に挙げた条文?も、魚介類を初めと
して鳥類・家畜類・ノミ・蚊・蝿などの「殺生禁止」は細かく謳って
いるものの、死んだそれを「食べる」ことは禁止していないよう
にも見えます。 
もっとも「死んだ蠅」を食べる人はそうそう多くなかったようにも
想像されるのですが。

それはともかく、この「生類憐みの令」には、~些細なことを
取り上げて随分と多くの人を厳罰に処したとんでもない悪法~

というイメージが付きまとっています。

ところが、この法による処罰件数は20数年間の総数で数十件、
平均すれば年3~4件程度のレベルだったそうですから、やはり
これは、「取り締まって罰する」ための法律というよりは、むしろ
社会に「慈悲の心」を徹底させるためのものだったと見て
いいのでしょう。 
※実際、「動物」だけでなく、たとえば「子供(捨て子)」や「病人」など、弱者に
  対する「無慈悲な対応」を許さないとする理念(人命尊重)も備えていた。


要するに、数少ない特異な処罰に目を奪われてしまって、
ハナから「馬鹿げた悪法」と切って捨てるのは、いささか偏った
理解ということになるのかもしれません。

ちなみに「調理以前に死んでいなければならない」という建前?
があったことで、大いに困ったのがウナギ屋さんだったようです。
なぜなら、ウナギは死ぬとすぐ傷み出すからです。

そのためウナギをアナゴと称して売って、それで逮捕されると
いう、現代人からすればいささか“逆偽装”?もどきの事件も
発生したようです。

そこで前もってお伝えしておくのですが、実はワタシの生息地
には、名物「ひつまぶし」目当てのお客様が、毎日長蛇の列を
作るウナギの老舗「あつた蓬莱軒」があります。 
ですから、お近くへお立ち寄りの節には、どうぞ気兼ねなく
お声を掛けてくださいね。

いいえワタシが奢るのではなく、もちろんアナタに奢っていただく
魂胆なのですが・・・





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この記事へのコメント

古代子孫
2016年03月30日 12:29
いつも面白いお話で大ファンです。今まで生類憐みの令も真実はあまり問われていませんでしたね。芝居、物語、評価では極端な例を引いて誇張して意図的に犬公方、悪法と広めた気配があるということですね。新井白石あたりがやりそうなことでしょうか?この意見も極端ですね。動物愛護の始まり、世界でも初ということを言われたりもしています。この法令は当時の社会情勢を見てのいい法令だったというのがヤジ馬先生も強調したいところだったのではないでしょうか。こればかりではつまらないですので、別角度でお話しされています。ここがいいところです。死んでる魚はOKですね!述べられているようにあまり罰はないのです。犬を殺したり、いじめたりは現代と同じ感覚です。これは罰です。蚊を叩いて殺したから島流しとか死罪などと記録にあるとかも伝えられていますが、疑問ですね。もっと深刻な社会情勢があり、これは江戸幕府がなくなるまでこの法の本筋の方は続いたそうです。お犬様?とにかく江戸の町は野良犬が多く、糞もあちらこちらにあり、結構それを踏んづけてしまうことが多かったそうです。道路整備などを担当していた黒鍬者と呼ばれる最下級の役人?がメーンストリートは清掃はしていたそうです。大変ですね。”本当は”いい法令だったようです。ただ庶民には分かりにくい、運用する役人にも理解できない者がいたようににも伝えられていますね。いいことをしようとしても武士は勝手な面もあり、考えの差も大きく、それでついていけない法でしただしょうか。
2016年03月30日 18:20
いつも貴重なご意見をお寄せいただき
ありがとうございます。
「生類憐みの令」自体は、時の政府の
一種の政治公約・スローガンもどきの
ものだったように見ています。

その証拠になるのかどうか、尾張藩士・
朝日文左衛門などは、頻繁に「魚釣り」
を楽しんでいたことを堂々と日記に
書き残していますが、その「魚釣り」で
処罰を受けることはありませんでした。

その点は「時速50km」規制の道路を
60kmで走る車があっても、その多くは
見逃されて(大目に見て?)いる現代に
似たものがあるのかもしれません。

またご指摘のように、綱吉後の政権を
握った新井白石が、自分の政権を立派
に見せるために、「生類憐れみの令」の
悪口を言いまくったことも、「悪法」と
いう評判作りに結びついていると感じ
ます。
その意味では、綱吉時代を貶める目的
を見事に達成したことになりそうです。

ちなみに「古代子孫」さんは<ファン>を
自称して下さる方の第一号で、その嬉
しい気持ちをお伝えしたくもあります。
そこでご提案ですが、お近くへお越し
の節に老舗「蓬莱軒」で一緒にウナギ
でもどうでしょうか?

いいえ、私が奢るのではなくハナから
「古代子孫」さんに奢って頂く魂胆
なのですが・・・

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