日本史の「デジャヴ」15 日本版?”アーミッシュ”

信仰・宗教というものは、その部外者にとってはなにかしらの
シュールさ?違和感?を覚えるものです。
たとえば牛を神聖な生き物として、その殺生を禁じているインドの
人たちからすれば、あちこちに「牛丼屋」が立ち並ぶ日本の
町並みは、違和感に満ちたまるで「地獄の風景」といったところ
かもしれません。

それと同じことで、便利・快適を究極の善?とする現代日本人
からすれば、昔ながらの質素・不便を今もって受け入れている
「アーミッシュ」の生活ぶりなどは、まさに理解に苦しむところ
なのかもしれません。
※主にアメリカに居住するキリスト教の一派で、移民当時(18世紀初頭)の
  生活様式に従った日常生活を続けている。


自分たちの信仰に反すると判断すれば、その新しい技術や製品
を取り入れることを厳として拒否するのが「アーミッシュ」の人
たちのライフスタイル・・・ ですから、日本人が大好きな文明の
利器?電話器・電化製品・自動車などはハナからトンデモ物?
ということになって、21世紀の現代でも基本的には自ら進んで
使うことはありません。

移住した頃の、すなわち300年前そのままの生活を「是」とし、
「新しい快適・便利」?をひたすら避けようとしているのですから、
便利大好き人間の日本人はどうしてもこんな感想を。
~ふうむ、なんという不便・理不尽・頑固な信仰なのだ~

ところが、少し前の「江戸日本人」(17世紀初頭~)なら、こうした
信仰?を割合素直に理解できたのかもしれません。
なぜなら、その頃の日本人は本場「アーミッシュ」と同じように
「昔を是」とする生活態度を守っていたからです。
しかも時代からすれば、むしろ百年ほど「先輩」に当たります。

~ご先祖様が営んでいた生活こそ人間本来の生活であり、
  ご先祖様が用いることのなかった新しい「便利・快適」を追求
  するなんぞ、人間としての「道」を踏み外しているッ!~

江戸日本人は「儒教」に則った?こんな信仰・考え方を大切に
していました。



アーミッシュ01 牛丼吉野家51









    「アーミッシュ」の馬車       立ち並ぶ「牛丼屋」

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その「儒教」の最高の徳目は「孝」、つまりご先祖様の生活態度を
お手本とする考え方ですから、それを律儀に守ろうとするなら、
必然的に「新便利・新快適」は敬遠することになります。

ただ、ともに「自給自足」生活という共通点を持ちながら、本場?
と日本版?の間に横たわる「百年」という時間差が、とてつもなく
大きな違いを生み出した点もあります。
上の写真にある「馬車」がそれです。

本場?アーミッシュの場合、自らの身体で歩く・走る以外の唯一の
交通手段が、この「馬車」と言っていいのかもしれません。
しかも「屋根付き馬車」は、子供・青年には認められず、大人に
ならないと使えないという「格式」まで設けているのですから、
つまりは日常生活における最重要道具の一つとして扱ってきた
ことになります。

しかし、日本版?“アーミッシュ”は、とうとう最後までこの「馬車」
という交通手段を用いることはありませんでした。 
理由は簡単で、ご先祖様がこれを使っていなかったからです。

ご先祖様が使っていなかったのに、自分たちが「これは便利だ
快適だ」として使うことは、尊敬すべきご先祖様の「顔を潰す」こと
であり、「人の道を踏み外す」ことですから、絶対にできることでは
なかったということでしょう。

実際、交通手段としての馬車が実際に登場したのは明治時代
(1869年/明治2年)に入ってからのことで、東京~横浜間の
「乗合馬車」が最初ということになります。

つまりこの瞬間に、「文明開化」の方により大きな価値を見い
出し、それまで守り続けてきた「孝」を古臭いものとして切り捨て
たわけですから、言葉をかえるなら、従来抱いていたご先祖様
に対する「尊崇の念」も、これを境にどこかへ捨てちゃったとも
言えそうです。

かくして、先輩である日本版?“アーミッシュ”はその終焉を迎え
ましたが、どっこい後輩である本場?”アーミッシュ”はそれほど
ヤワではなく、今もってバリバリの現役です。

先端技術に媚びることのないこうした人たちが、21世紀の現在も
同じこの地球上に住んでいるという事実・・・ひょっとしたら、
そこには新興宗教「先端技術教」?に心酔する現代日本人に
対するある種のメッセージが隠されているのかもしれません。




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