日本史の「怪人」11 即身夜叉?晩年の壮絶!

生身のままで仏に成ることを「即身成仏」と言うなら、逆に
「即身夜叉」?という言葉があってもいいのでは?
ちなみに、ここでは「メッチャ怖い面貌」を「夜叉」と表現して
いますが、例えば20世紀アメリカの大富豪ハワード・ヒューズ
(1905-1976年)の晩年の姿なぞは、まさにそのイメージに重なる
印象です。

ヒューズは精神面で長年の「強迫性障害」を抱えていました。
それが、除菌されたハンカチを使わないことにはドアノブに触れ
られない、手洗いを始めるや血が滲むまでその動作を止められ
ない、さらに晩年には入浴さえ一切できないなどの原因になった
と言われています。 ※この様子は2004年映画「アビエイター」でも描写。
                 (ハワード・ヒューズ役/レオナルド・ディカプリオ)


こうした症状から薬物乱用に陥り、亡くなったときには背は縮み、
体はガリガリに痩せ細り、髪や髭や爪などは伸び放題、しかも
垢まみれの体からは耐え難い異臭を放つ有様で、とても即座に
本人だとの判定ができなかったといわれています。

そこでFBIの指紋照合などにも頼って、やっとのこと「本人確認」
にまでこぎつけたそうですから、まさに「即身夜叉」?そのもの
の面貌を呈していたことが想像されます。

それにしても、「世界の富の半分を持つ男」とまで称された
大金持ちが、庶民ですら手軽に味わえる「入浴」という楽しみを
手にすることができず、「即身夜叉」?に変貌したことを思うと、
「有り余るお金」より「そこそこの健康」の方がよほど大事という
ことになるのでしょうか。

さて、アメリカ版「即身夜叉」の代表がヒューズだとするなら、
日本の代表はやはり「崇徳」(天皇・上皇/1119-1164年)ということに
なりそうです。

ワタシは直接お目にかかったことはありませんが、この方も
~爪や髪(多分髭も)を伸ばし続け、生きながらに天狗になった~
とさえ言われるほどに凄まじい風体だったようです。
案の定というか、「崇徳」自身も「強迫性障害」?ならぬ、
「血統性障害」?ともいうべき複雑な事情を抱えていました。


ハワード・ヒューズ51 夜叉面51 崇徳上皇01 









  ハワード・ヒューズ      夜叉面            崇徳天皇

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戸籍?の上では鳥羽天皇の御子、ところが生物学的?には
鳥羽の祖父である白河法皇の御子(つまり鳥羽の叔父)「崇徳」
こうした境遇に立っていました。
しかも「崇徳」の母親は「鳥羽天皇の妻」ということですから、
不義密通がお盛んな家族のお話はホントにややこしい。

そうした天皇家のゴッチャゴッチャの対立が、やがては源氏・
平氏という武士団をも巻き込んでの「保元の乱」(1156年)にまで
発展し、その挙句敗者・「崇徳」は結局、島流しに・・・
ここまではよくある?(そうそうは無いかもしれんが)お話です。

さて敗戦により、讃岐国での軟禁生活を強いられた「崇徳」は、
この地で、「乱」による戦死者の供養と自らの行動を反省する
証として経の写本に没頭しました。

やっとのこと完成した膨大なこの写本を謹んで朝廷へ差し出した
ところ、疑心暗鬼の朝廷はなんとその「受け取り」を拒否!
ここに至って「崇徳」の怒りは爆発、つまりプッツンしたわけです。

売り言葉に買い言葉ということでもないのでしょうが、
~日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん~
「崇徳」はこのように説明充分・懇切丁寧な宣言?をしました。

要するに、天皇家を没落させて民がトップに立つようにしてやる!
ってところでしょうか?
おまけに「この経を魔道に回向(えこう)す」と血で書き込んだので
すから、ちょいとした迫力です。

天皇家出身の「崇徳」が実家を没落させてやると言ったからには、
これはもう、髪・髭ボウボウ爪伸び放題の面貌だけでなく、
気持ちの上でも完全に「即身夜叉」?の状態です。

で、「崇徳」の怨念はこの宣言?を見事に実現させました。
源頼朝が幕府を開いてこの日本を仕切り始めた姿、つまり
「民を皇となさん」(朝廷ではない民をトップに立てるゾ)がそれで、
これ以降は武士が政権を握り続け、朝廷は従来の権力を手放す
恰好で、「お飾り」の立場に転落?してしまったわけです。

この激しい怒りが収まるのは、明治天皇が当の「崇徳」に仁義を
切る(お詫びのご挨拶をする/1868年)まで待たなければならず、
「即身夜叉」?の憤死から実に700余年が過ぎていました。

このことからも分かる通り、髪髭ボウボウの体の「即身夜叉」?は
ご本人の死と同時に終焉しますが、「怨念」という心の「夜叉」
ず~っと長く続くようですから、皆様も他人様から妙な恨みを
買わないように、十分にご留意くださいね。





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---これまでの 「怪人」 シリーズ----------------
288 日本史の「怪人」10 火吹き達磨のトンデモ説 異様?な風貌の噂話!
273 日本史の「怪人」09 実在?架空?この人物 実在した意外な人物!
262 日本史の「怪人」08 洋学者”象山”の日本人離れ その面貌と大言壮語
215 日本史の「怪人」07 慶安のリストラ蜂起 無策政府には我慢がならぬ!
210 日本史の「怪人」06 戦国の起き上がり小法師 知恵と行動が復活の鍵!
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