日本史の「デジャヴ」14 前をまくれば一目瞭然!

相手の性別(男女)を判別する材料は、最初に髪型・衣装など
が多く・・・この基本スタイルは昔も今もあまり変わっていません。
ですから、「スキンヘッド」の上に、地味目な「衣装」に身を包んだ
「僧姿」に遭遇したりすると、一瞬その判別に迷いを生じることも
あるわけです。

だとすれば、一番手っ取り早い「男女の見分け法」はご本人の
「ナニ」を目視確認することになりそうですが、案の定歴史にも
それに関した面白可笑しい逸話が少なからず残されています。

たとえば、中流貴族・源顕兼(1160-1215年)による鎌倉時代
初期の説話集「古事談」には、こんなお話も・・・
随筆「枕草紙」の作者として有名な平安時代の女性・清少納言
(966頃-1025年頃)の体験?です。

清少納言の兄・清原致信(生年不肖-1017年)が、二十名ほどの
騎兵・歩兵に館を襲撃された時のお話ですが、実はこの折
すでに出家していた清少納言もその場に居合わせていて、
運悪くこの騒動に巻き込まれてしまいました。

なにしろ兄・致信を標的にした「襲撃」ですから、襲う側も異様に
殺気立っており、ヒョッコリ手違いなぞがあろうものなら、家内の
者にも危険が及びかねない修羅場です。

~あわわ・・・うっかり「男」に見間違えられようものならワタシの
  命もありゃせんぞッ!~
こんな思いに捉われた清少納言は、
とっさに裾をまくり上げるや、兵士に「ナニ」を晒して男ではない
ことを納得?させ、この難を逃れた。

このお話、さすがに面白すぎる印象ですが、この時(1017年)
清少納言は年齢もとうに五十路にさしかかり、さらには地味な
僧衣をまとっていたでしょうから、相手の「うっかりミス」(男女の
見間違い)
を心底心配した・・・この辺の心理描写には妙に納得
できるものがあります。

人生最大のピンチ?に「恥ずかしい」とか「はしたない」とかの
贅沢が言えるはずもなく、とにもかくにも「女であること」を証明
するためにとった必死の行動だったということでしょう。
実際、この襲撃によって「男である」兄・致信は殺されています。

しかし「男女の別」を間違えられて迷惑を蒙るのは、何も女性に
限ったことではありません。
男性にも同様なお話があるのは、むしろ自然なことです。


仙厓ゆばり合戦51  どこが違うの61 










     「ゆばり合戦」/仙厓       どこが違うの?違いがハッキリ!

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そこで、探してみると・・・やっぱり、あるものですねえ。
江戸時代の禅僧・仙厓義梵(1750-1837年)が、よく似たエピソードを
お持ちでした。

洒脱な絵画?書?「○△□図」、あるいは
~よかろうと思う家老は悪かろう もとの家老がやはりよかろう~
の狂歌などで知られた方です。 ただし当然ですが、こちらは
「女性と間違えられた」というお話になっています。

仙厓が江戸から博多への帰途、箱根の関所にさしかかったと
思ってください。 ところがどう見間違えたものか(多分、剃髪と僧衣)
番所の役人が仙厓にこう問いただしました。
~お主ッ、もしや尼僧ではあるまいなッ、面を上げいッ!~

まあ「入り鉄砲出女」という意識があっての尋問だったかもしれま
せんが、いずれにせよ清少納言の場合と同様に、剃髪僧衣では
「男女の別」が判断できなかったということでしょう。

~ほい、わしゃあ尼僧ではなく、歴とした男僧?じゃあ~
仙厓も素直にこれくらいの返事をしておけばいいものを、
無言のまま、いきなり衣の裾をたくし上げるや、股間の「ナニ」を
突き出して、「男であること」の証明に及びました。

これには、役人も度肝を抜かれて呆然・・・仙厓は当然とばかりに
悠々と関所を通過したとか。
つまり、歴史は次の「真実」を示していることになります。

女性(清少納言)の場合にせよ、男性(仙厓義梵)の場合にせよ、
~「男女の別」の証明は、言葉で説明するより「ナニ」を目視確認
  させることが最も説得力のある方法である~


ただしこの鉄則?は、社会の性の仕組みがシンプルだった
「昔」の時代だからこそ通用したのであって、「同性婚」とか
「性別違和(性同一性障害)」などの新しい概念が誕生し続け、
遥かに複雑な「性構造」になった現代では通用しない?のかも
しれません。

~「女性」とは、「男性」に次ぐ第二の性に過ぎないのか?~
ボーヴォワール女史(1908-1986年)が著作「第二の性」(1949年)
もって問題提起した「性」の、20世紀後半以降の変貌には、実際
目を見張るものがあって、おそらく近い将来には「第三の性」?
とか「第四の性」?もどきの新しい概念も登場するのでしょう。
それどころかとっくに登場し、とっくに定着し始めているのかも・・・

それを思えば、単に「前をまくれば一目瞭然!」で男女の別を
証明した清少納言仙厓義梵の振舞いには、まことに牧歌的
な風情があって・・・これも、「ああ昔は良かった」のクチか?




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---これまでの 「デジャヴ」 シリーズ---------------
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274 日本史の「デジャヴ」12 神懸かりは突然コケた 神様?の脆弱な足元
249 日本史の「デジャヴ」11 姉と弟の微妙な”誓約” あぶない家族関係?
239 日本史の「デジャヴ」10 明治リベンジ成就編 雌伏×年どすこい復活!
221 日本史の「デジャヴ」09 怪しき肖像画は続く その肖像は私に非ず!
205 日本史の「デジャヴ」08 偉人英傑も神仏にすがる 誰にもチビる思いは
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036 日本史の「デジャヴ」01 天皇家編 ふたりの天皇の不思議な共通点!
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