日本史の「列伝」01 父チャンを超えたい症候群

親があまりに偉大、言葉を変えればスーパースター的存在で
ある場合、その子供は結構難儀な立場に置かれるものです。
~周りの連中はいつも親父と俺を「見比べ」ている~ こうした
雰囲気はなんとなく本人(子)にも伝わってくるから鬱陶しい。

たとえ本人に「親とは器が違う」という自覚、ある種の諦観が
あったにせよ、周りの「視線」はそれなりに気になるもので、
真面目な子ほど、過剰な?意識を募らせます。
~不肖の子供とは思われたくない、あわよくば父チャンを
  超える大仕事を成し遂げて周りの連中を見返してやりたい~


こうした心理状況を「父チャンを超えたい症候群」と呼びます。
※もっとも、これは学術用語ではなく、ワタシの造語ですから誤解なく。

実際、武田信玄の息子・勝頼(1546-1582年)も、そんな立場に
ありました。 さりとて戦国武将の中でも別格のスーパースター
である父・信玄(1521-1573年)と「肩を並べる」、ましてや
「超える」などは容易に叶えられることではありません。

結局、どこかで無理を重ねることになるのですが、勝頼は果敢に
それに挑みました。
いや「見比べ視線」を払拭し、それから解放されるためには、
そうせざるを得なかったというのが本当のところでしょう。

戦略的にはさほど重要な城ではなかったようですが、
かつて父・信玄が取り組んで、結局落とすことが出来なかった
遠江国・高天神城攻めに情熱を傾け、数年後、信玄死去の
翌年には、とうとうこれを落城(1574年)させています。

~父チャンが挫折したことを、今このボクが成し遂げたんだぜ~
勝頼からすれば、こういうことですから、これで一応は
「父チャンを超えたい症候群」を克服できたはずです。
つまり、父チャンに負けない実績を挙げたからには、もう周囲の
「見比べ視線」を気にする必要もなくなったということになります。

ところがすぐ翌年のこと、「長篠の戦い」(1575年)で、今度はこの
勝頼の武田軍が、織田・徳川連合軍に惨敗を喫しました。
いわゆる戦国最強・武田軍VS信長軍・鉄砲三千丁として、有名な
戦いです。


武田勝頼02 武田信玄52














     子・武田勝頼      父・武田晴信(信玄)/高野山持明院蔵

  応援クリックは→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓


この戦さで、父・信玄の遺産である優秀な将兵を数多く失って
しまったからたまりません。
勝頼にしてみれば、おそらくは呆然自失・意気消沈といった
ところで、再び「見比べ視線」が気になりだしたことでしょう。

ところが話は二転三転、そんな勝頼の目の前に、ひょっこり
「汚名返上」の機会が訪れます。 上杉謙信急死(1578年)
直後に勃発した、二人の養子・景虎VS景勝間の上杉家・
後継者争い、いわゆる「御館の乱」(1578年)がそれです。

景虎の義兄の立場にあった勝頼は、普通なら当然この時
景虎に味方すべきでしたが、なんと景勝と組みました。 
なぜ?・・・ 景勝の口から勝頼にとって「嬉しくて堪らん一言」が
飛び出したからにほかなりません。

景勝 ~ご味方頂けた暁には、ワタシはアナタの家臣になり
      ますので、どうぞよろしくネ、ねッ!~
勝頼 ~むむむ、父チャン、景勝の今の言葉を聞いたかや! 
      長年のライバル・上杉家を家来にするなんてことは
      さすがの父チャンだって出来なかった・・・
      それをこのボクがいま実現させたんだぜ!~


要するに「見比べ視線」に肩身の狭い思いをしていた勝頼は、
このことで周囲の者に「一発大逆転」を見せつけたつもりだった
のでしょう。 ところが、史実から逆算するなら、これは大きな
判断ミスだったかもしれません。 
なぜなら、上杉景勝を味方にした変わりに織田・徳川・北条など
名だたる実力者をはっきり敵に回す恰好になったからです。

案の定、武田家はジリ貧に陥り、しばらくはあがいたものの、
「天目山の戦い」(1582年)で勝頼自身が自害にまで追い込まれ、
結局のところ滅亡に至りました。

勝頼 ~父チャン見てくれ、父チャンが出来なかった
      “武田家滅亡”をボクは立派にやり遂げたぜ!~


多分こうは言わなかったと思いますが、時代に関わらず、偉大
過ぎる親を持った子供は、否(いや)でも応でも「見比べ視線」に
晒されることになり、ある意味「不幸」なのかもしれません。

ですからワタシは子供の「不幸予防」?ために、自らが「偉大な
存在」になってしまうことのないよう、ひたすら「凡人」としての
日々に徹しているのです・・・う~む、いささか徹しすぎたかもダ?






  応援クリックは→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓
          



-------------------------------
ヤジ馬の日本史~超駄級・200記事一覧~ 前編「あ→と」巻 七転び八起き!
ヤジ馬の日本史~超駄級・200記事一覧~ 後編「な→ん」巻 あゝ七転八倒!
-------------------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2015年02月02日 15:56
>言霊百神さんへ

ご紹介ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

この記事へのトラックバック