日本史の「発明発見」06 瓦貨幣では心配ですか?

現代日本人がお買い物やサービスを手に入れようとする時、
まあ大抵は“一万円札”(紙幣)とか”百円玉”(硬貨)のような
「貨幣」を用います。
「いいや、ワシは“電子マネー”オンリーじゃ!」と言う方も
おられましょうが、ここは無理にでも話を合わせてください。
そうでないと先へ進めませんから。

さて、この貨幣を性格?によって分類すると、金銀などのように
その素材自体が商品価値を持つ「実物貨幣」と、紙幣のように
法律によってその価値を認めている「名目貨幣」ということになる
・・・そう書いてあるからそうらしいゾ。

その昔は、どの国どの地域でも「実物貨幣」が主流だったそう
です。 つまり、お買い物とはいっても、まだまだ「物々交換」の
延長線上にあったということでしょうね。

ところが、19世紀の初頭ころから、その価値を「金」に裏付け
させる方法(金本位制)での貨幣の発行を行うことが盛んになった
・・・のだそうです。

さらにはそれも窮屈だということで、裏付けとなる金と貨幣の
関係を完全に?切り離した貨幣制度へと発展しました。
アメリカ大統領の名前を冠した1971年の「ニクソン・ショック」が
まさにそれでした。

つまり、貨幣そのものの価値を安定させる作業は案外に複雑で、
その昔から世界中でそれなりの工夫やアイデアを積み重ねて
いたということなのでしょう。

ところが、とんでもない先見性を持った日本人がいました。
彼はこんな考え方を示したのです。
~政府(幕府)に信用があるなら、貨幣そのものの材質は瓦で
  あろうがカンナ屑であろうが何であっても一向に構わん!~

  注) 実際 とは言ったらしい?が、カンナ屑 の方はワタシの誇張

画像 画像






 ↑金貨幣 ↑銀貨幣 ↑銅貨幣    ↑瓦貨幣?

  応援クリックは→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓


つまり、こう考えたわけです。
~幕府が国民に信用されているかどうかが問題なのであって、
金貨(小判)自体の金含有率はさほど問われるものではないゾ~
 

元禄期に勘定奉行を務めていた 荻原重秀 (おぎわら しげひで/
1658-1713年)
がその人物で、当時としては世界でも突出した
このアイデアを実際に自らの政策として推し進めました。

いわゆる「貨幣改鋳」といわれる政策がそれで、慶長金・慶長銀
を含有率の低い元禄金・元禄銀に作り替えました。
同じ総量の金銀を使うのであれば含有率が低い方が、当然、
より多くの貨幣を作れるわけですから、世間に出回る通貨の量も
増えるということになります。

それが巡り巡って元禄の好景気を呼んだとされていますし、
その一方で、その差益は儲けとして慢性的な財政難に苦しんで
いた幕府のフトコロに。

ですから、この「世界最先端」政策?がもう少し長く続いたなら
国民全体がウハウハ気分に浸れるところでした。
ところがドッコイ、そうはならなかったのです。

~ええか、よく考えてもみよ! 「お粥」を「ご飯」とは言わんのと
同じで、金の量を減らした金貨(小判)なんぞ本物?の金貨とは
言えんだろうが!・・・幕府にこんな詐欺師?もどきの真似を
させおって、荻原重秀の奴メは一体何を考えておるんじゃ!
ええか、やっぱり金貨は昔ながらの本物?に戻すゾ!~


同時代の政治家・学者である 新井白石 (1657-1725年)
この考え方によって、萩原の「世界最先端」?政策は結局挫折。

~政府に信用あれば、貨幣は瓦でも構わん~
事実、現在の「紙幣」はこの思想に基づいて流通しています。
近代経済学がこうした考え方を示すより 200年以上も前に
荻原重秀はこれを唱え実行したのですから、現代ならまず
確実に「ノーベル経済学賞」といったところでしょう。

しかし、この人類史上でも指折りの「大発明大発見」が正当な
評価を受けたかといえば、実際はそうなりませんでした。
政敵?新井白石が、荻原の悪口放題の本をしっかり残したのに
対し、一方の荻原はそうしたものを一切残さなかった・・・この
ことも原因のひとつだったかもしれません。

ただ、この「瓦貨幣」制度?も必ずしも「完璧な仕組み」とまでは
言えず、その欠点として、やたら「デッカイ財布」が必要になると
いう点が指摘されているところです。




  応援クリックは→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓
         



---これまでの 「発明発見」 シリーズ--------------
217 日本史の「発明発見」05 欠陥品?リサイクル芸術 芸術品に大バケ?
211 日本史の「発明発見」04 昭和遺産?シャレでごんす フランス語と薩摩弁
193 日本史の「発明発見」03 偏諱(へんき)を賜う 出費ゼロでステータスを!
174 日本史の「発明」02 棲み分けを旨とすべし! 独裁を認めない心情
103 日本史の「発明」01 気配りされたアリバイ工作 ご先祖を否定せず
-------------------------------
ヤジ馬の日本史~超駄級・200記事一覧~ 前編「あ→と」巻 七転び八起き!
ヤジ馬の日本史~超駄級・200記事一覧~ 後編「な→ん」巻 あゝ七転八倒!
-------------------------------

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック