日本史の「ツッパリ」11 切腹がなぜ名誉なの?

あまり楽しくない話題で恐縮ですが、時代劇の「切腹」シーンを
見るにつけ、~なんでこれが「武士の名誉」であり、
「ありがたき幸せ」なんだろう?~
という疑問に囚われます。

もっとも、「切腹」にもいくつかのパターンがあるようですから、
ここでは、~戦さもなくなった平和な江戸時代のことで、しかも、
主君などからペナルティとして申し渡される「切腹」~
に絞ります。
つまり、自身や部下に失敗・落ち度があった場合に、その責任を
取る(取らされる?)形で実施される懲罰刑としての「切腹」です。 

実際には「介錯」が伴うようですから、「形の上」だけのことに
過ぎないのかもしれませんが、それでも確かに他の刑とは違って
「他人の手によらず自らの手で処置」できるという利点?は
あります。

実際、「百叩き刑」で赤の他人からメタメタの目に合うのでは、
口が裂けても~ありがたき幸せ~なんてセリフが吐けるはずも
ありませんからね。

それにしたところで、懲役10年が5年に短縮されたわけでもなく、
最も重い「死刑」に変わりはないのですから、どこがそんなに
~ありがたき幸せ~なのでしょうか?
そこで思い当たるのが、この言葉~武士は食わねど高楊枝~

意味は、~武士たる者、たとえ貧しい境遇にあろうとも、臆せず
気位を高く保つべきだ~
ということですから、端的に言えば、
江戸期の武士特有のプライド?見栄?・・・つまりのところ、
「やせ我慢(ツッパリ)の美学」ということになりそうです。


画像















 切腹の様子(明治時代の芝居より) 出展:wikipedia
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~切腹のありがたさ~も、この「やせ我慢(ツッパリ)の美学」
通じているのではないでしょうか?

建前としては、「軍人」ということになっているものの、実際には
戦さのない平和な世の中で「官僚」に変身?して、本来の姿を
見せつける機会を奪われてしまったのが江戸期の武士です。

~死をも恐れぬ勇敢さとやらをどこへ忘れてきたのさ?~
巷のこんなツッコミには、武士としてもさすがに肩身が狭い。
こうなると、身分最高位の武士たる者の威厳を保つためにも
「勇敢な姿」を見せておく必要が出てこようというものです。

~やい、指先の刃物傷でさえ痛いの痒いのと騒いでいる君たち
町人諸君よ、僕達武士を見なさい!指先どころか、自らの腹の
真ん中に刃物を突き立てて命を絶つだけの覚悟を持っている
のだ、しかも「麻酔なし」でだゾ、どうだ、参ったか!~


ですから、「切腹」は「官僚武士」を「勇敢なる軍人」へ戻すための
演出?儀式?ともいえそうな気がするのです。

命を絶つだけなら、「服毒」でも「首吊り」でも「身投げ」でもいくら
でも方法がありそうなものですが、敢えて刀という戦闘武器?
こだわっているのは、そこに意味があるのでは・・・

~罪やミスを犯したかも知れないが、その最期だけは本来
  あるべき勇敢な「軍人」として送ってやろうゾ~

これが切腹判決を言い渡す主君側の「温情」ということになり、
逆に、切腹させられる者にとっては、その「温情」を受けられる
だけの功績を評価されたということになります。

ですから、「切腹」を申し渡された側としては、本来の「軍人」と
しての扱いと、もうひとつ、それまでの勤めの好評価に対して、
仮に本音ではないとしても、~ありがたき幸せ~と返礼
しなくてはならないのでしょう。

「切腹」を避けたがために、「百叩き刑」でデコボコに腫れあがった
形相・身体を他人の目に晒すなんてことでは、武士たる者の
矜持、「やせ我慢の美学」に反する、といったところでしょうか。

それはともかく、昔は切腹は、同時に「命」のジ・エンドを意味
しましたが、現代では、いわゆる「切腹(開腹手術)の度に元気を
取り戻す人もいるのですから、いやあ、本当に時代も変わった
ものですねぇ。







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---これまでの 「ツッパリ」 シリーズ---------------
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144 日本史の「ツッパリ」09 地球の上に朝が来る 驚天動地のキリスト教!
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126 日本史の「ツッパリ」07 天武系百年のストレス人生 薄幸と断絶が!
109 日本史の「ツッパリ」06 心頭滅却すれば・・・ 心の持ち方が肝要なのだ!
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