日本史の「怪人」01 西鶴の超人技は本当か?

江戸時代の小説家?井原西鶴(1642-1693年)は、一時期、
俳諧の「短時間・量産」に凝って、1677年には一昼夜でなんと
1,600句の大記録?を打ち立てました。

ところが、どんな分野でも挑戦者は現われるもので、
その数ヵ月後にはこの記録も破られ、そればかりか、その後も
続々と新記録?が誕生し、西鶴の記録は完全に過去のものに
なってしまいました。

いわば、東京オリンピック(1964年)の100Mでボブ・ヘイズが
作った新記録「10秒0」が、その後次々と塗り替えられて、
半世紀後の現在、ウサイン・ボルトの「9秒58」が世界記録に
なっているようなものです。

で、西鶴はその後も「新記録」?更新に挑み続け、1684年には
とうとう「一昼夜23,500句」という破天荒なレベルに立ちました。
この記録は自分でも満足できたものか、以後は自ら「二万翁」
名乗ることもあったとか。

それにしても、問題はこの「23,500句」という、とてつもない
数字です。
はたして、これをそのまま鵜呑みにしていいものかどうか?

画像















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ちょっと計算してみましょうか?
「一昼夜」ということですから、まあ単純に24時間と押えてみます。
すると、24時間×60分×60秒で、合計は86,400秒。
この間に作った句が23,500句ですから、単純に割り算をすると、
一句あたりの所要時間は、なんと3~4秒程度になります。

試しにワタシ自ら、五・七・五を音読してみましたが、それでも
一句あたり3秒ほどの時間を要しました。
この点は、いかにヘソ曲がりでアマノジャクな方でも、ご自分で
お試しになれば素直にご納得いただけると思います。

その上、西鶴の場合はとにかく創作しながらの音声発表?
(時間を考慮すれば、たぶん筆記は省略か?)というマルチ作業?の
ハズですから、かなりたいへん。

つまり、口で音声発表する間に、頭では次の句を創っていないと
間に合わないわけですから、その間は肉体も頭脳もその両方を
フル回転させていたに違いありませんし・・・おお、そうだ、
その間隙を縫って呼吸をしておくことも忘れてはなりません。

これを忘れると、必ず白目をむいてぶっ倒れます。
う~ん、この超過酷?な状況を一昼夜続けた・・・ってか?

そして、この記録達成後の西鶴は「俳諧」から身を引くことに
なります。
その理由については、普通こう説明されています。
~一晩のうちに万もの数の作品が作れてしまうようなこんな
底の浅い「俳諧」なんぞに、断じて明るい未来はない!~


要するに、西鶴は~俳諧なんぞは文学・芸術ではない~
見切りをつけたわけです。

事実、その後の西鶴は小説?に傾斜し、現在では、
「日本最初のベストセラー作家」?の異名を頂戴するほどの
ものですが、しかし、この「理由」は本音だったのでしょうか?

ある人(つまりワタシ)はズバリ、「それは違う!」と見ています。
西鶴は多少気取った「理由」を採用しましたが、飾らず言うなら
その時の体験があまりにも過酷だったために、
強度の「俳諧トラウマ」を発症したに違いないのです。

つまり、この後の西鶴は「俳諧」と聞くだけで、その時の「恐怖の
ヘロヘロ感」と「悪夢のヨレヨレ感」に襲われるようになったことが
転向の最大の理由だと、受け止めているわけです。

しかし、「一昼夜23,500句」という記録?が、もし本当だとしたら、
とても人間技とは思えず、むしろ超人技?怪人技?と形容する
ほかありません。

さて、芸術・俳諧(現在は「俳句」)とはいうものの、実はそれほど
難しいものでもなく、五音の後ろに「根岸の里の侘び住まい」を
くっ付けると、それなりの体裁になるって聞いたことがあります。

こんな調子。
~○○○○○ 根岸の里の 侘び住まい~ あっ、なるほど!

もうひとつ、これが川柳?になると、お笑い芸人が一時期TVで
よくやっていたように、こんな方法もありました。
~××××× それにつけても 金の欲しさよ~





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033 滅亡☆謎の名前 イエス・キリストの話は日本にも伝わっていた!
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ヤジ馬の日本史~超駄級・100記事一覧編 神話から戦後まで一挙公開!
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  • レイバン

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