日本史の「ツッパリ」05黄門様のあてつけ

藩の後継者、すなわち「次期殿様」を決める段に「もめる」ことは
さほど珍しくもなく、もちろん徳川将軍家にもそれはありました。
その場面に登場したのが、テレビ「この紋所が目に入らぬか!」
で有名な水戸黄門こと、徳川光圀だったワケです。

お話は少しばかりややこしいのですが、この光圀は「御三家・
水戸徳川家」の初代藩主・頼房(家康・十一男)の三男で水戸藩
の二代藩主になりましたが、その相続の経緯には少しばかり込み
入った事情があったことから、長男・頼重の藩主就任を避けて、
三男・光圀を立てたと言われています。 ※次男・亀丸は早世?

画像 それなりのお家の事情があったにせよ、
 それでも光圀自身は「兄・頼重を差し
 置いて藩主に就任した」ことを随分と
 気にしていたようです。
 なぜそんなことが分かるかといえば、
 この後の光圀がちょっと手の込んだ
 ことをしているからです。黄門様の印籠
 出展:この紋所が目に入らぬか!~大徳川展 


それは、水戸藩主になれなかった兄・頼重の子・綱方を自分の
養子として迎え、この綱方が早世してしまうと、次にはその弟・
綱條を同じように偶して、とにもかくにも兄の子を次の「藩主」に
すべく手を打ったのです。

一方で、光圀の長男・頼常を光圀兄・頼重の養子としています。
つまりは、「光圀家の世継ぎ」と「光圀兄・頼重家の世継ぎ」が
スッカリ入れ替わったことになり、藩主の座を「本来の血筋」に
戻すべく計らった、というのはこのことを差しています。
しかし、なんでまたそんなことを?

もちろん、光圀が藩主の座を「本来の血筋」に戻そうとしたのは
確かですが、そればかりではなく、併せて将軍・綱吉に対する
「ご意見」の意味があったのではないか?という見方もあるよう
です。

さて、お話は将軍家に移ります。
三代将軍・家光は、自分の後を長男・家綱に譲りましたが、家綱
には子がなかったために、結局、その弟(家光・四男)・綱吉を
養子にする形で自分の後継者としました。
これには、家光次男・亀松は早世し、また、三男・綱重が家綱より
以前に死去していた、という事情が絡んでいます。

本来、その座に就ける立場でなかった者が、事情が重なって
ひょっこり・・・という点では、実は光圀も綱吉も同じ境遇でした。

ところが、この五代・綱吉の場合は「世継ぎ」に恵まれなかったこと
もあって、自分の後を娘・鶴姫の夫である紀州三代藩主・綱教に
継がせようと目論んでいた、少なくとも光圀の目にはそのように
映ったようです。

この綱吉の態度が、光圀の頭にカチンときました。
~本来なら、四代・家綱の後はその弟・綱重(綱吉の兄)が継ぐ
立場だったのに、先に死んだからたまたま綱吉にお鉢が回った
だけのことじゃないか!それなのに「正当な血筋」へお返しを
しようとしない綱吉の態度はまことにもってケシカラン!~

そう、確かに綱重にはきちんとした「世継ぎ・家宣」がいるのです。
そこで、冒頭の光圀の行動が、このように解釈されるワケです。
光圀は自らの行動をもって、あるべき出処進退の範を示したので
あり、つまりは綱吉に対して「当て付け」をしたのだ、と。

そのせいかどうかは分かりませんが、結局綱吉は「正統な血筋」
である綱重の子・家宣にその地位を「お返し」することになります。

そもそも、この光圀と綱吉の相性はあまり良くなかったのかも
知れません。 どこまでが事実で、どこからがフィクションなのか
分かりませんが、将軍・綱吉と光圀の関わりについては、こんな
エピソードも残されています。

光圀は、綱吉渾身の政策「生類憐れみの令」なんぞにまったく
頓着せず、肉類もムッシャムッシャと食べていたとか、また、野犬
(お犬様)の皮を剥いだ上に、それをわざわざ当の綱吉に送り
つけたとか、どちらにせよ結構「当て付け」がましい行動です。

綱吉にしてみれば~俺のやることになんでイチイチ突っ掛かって
くるのだ!まったく「イヤ味なジジイ」だゼ~の心境だったでしょう。
その意味では、綱吉にとって我が意のままにならぬもの、それは
「世継ぎ・人気・ツッパリ御老公」だったのかも知れません。

その光圀が、「水戸黄門」以外の面でも、たとえば、若い頃に
浮浪者を斬り捨てた経験を持つこと、最初にラーメンを食べた
日本人、さらには「大日本史」編纂の大事業に取り組んだこと
など、結構あちらこちらにその名を残しているのはご存知の通り。

そういえば、近頃は若い者に遠慮なく意見する老人の姿をとんと
見かけなくなりましたが、これってイマドキの若者が意見をされる
余地がないほどに優秀になったってこと?
それとも単に老人側のツッパリ不足が原因?

~日本史の「ツッパリ」04昭和軍閥の原点~
~日本史の「ツッパリ」03将軍と墓石入牢~
~日本史の「ツッパリ」02崇徳の憤懣遺言~
~日本史の「ツッパリ」01金銀入歯組~


あなたの1日1クリックで!→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ ←勇気凛々瑠璃の色!

あなたのホンネも→ 5バツグン 4よろしい 3まあまあ 2イマイチ 1スカタン
              ~励みになります。ご協力ありがとうございました。~

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック