日本史の「謎解き」04三種神器と象徴

天孫降臨の際に天照大神から授けられたとされる鏡・玉・剣の
三ツの宝物「三種の神器」については分かっていないことも多い
ようですが、これもそのひとつでしょう。
~それぞれはいったい何を「象徴」しているのか?~


画像 写真出展:wikipedia三種の神器
 まず「三種の神器」を整理しておきましょう。
 ※それぞれにはいくつかの「呼び方」がありますが、
  今回は便宜上、下記の表記に統一します。

 鏡は「八咫鏡(やたのかがみ)」、どうも丸い
 形の鏡のようです。
 玉は「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」
大きな玉とも、長い緒に繋いだ勾玉(曲玉)とも言われています。
要するに、よく分かっていないということです。
そして、剣は「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」、文字通り剣。
※「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」という呼び方も割合に知られている。

おそらく、現代日本人の誰も見たことがないと思われる、
この鏡・玉・剣はいったい何を象徴しているのでしょうか?
それには、儒教に沿ったこんな解釈もあるようです。

鏡=知、玉=仁、剣=勇、の「三徳」を象徴している。
たぶん剣は近いのでしょうが、他については少しずれているような
気がします。 (※あくまでも、素人の直感です。)

たしかに、「剣」は天皇の強さ・武力、上の儒教解釈で言う「勇」の
象徴なのでしょう。 なぜなら、世界中どこでも「王」は強くて勇敢
でなくてはいけないからです。

また、この「剣」には「戦い」にまつわるエピソードが多いのも事実
で、須佐之男命(スサノオ)が怪物・八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を
退治したところ、その尾からこの剣が出てきた、というのですから
そもそも「発見」のキッカケ自体に「戦い」が関わっています。

また、日本武尊(ヤマトタケル)が賊衆に襲われた時、この剣で
葦を薙ぎ倒し、火を放って難を逃れました。 このことから、その
土地を焼津(やいづ)と命名したそうですが、これも「戦い」です。
つまり、「敵をやっつける」ために使う強力な武器ということです。

次に「八咫鏡」は、天孫降臨の際に、ニニギはアマテラスから
「これを私自身と思いなさい」との言葉を添えて授かりました。
(宝鏡奉斎の神勅) そのこともあって、一般的に太陽神の象徴と
理解されているようです。

たしかに、丸くて光る鏡が太陽を連想させるのは事実ですが、
本当にこれだけのことでしょうか? 前回の「鏡じかけの舞台」編
で指摘したように、むしろ「邪悪なものを跳ね返す力を備えた鏡」
であり、また日本神話「天の岩戸」にあるように、「弱まった力を
取り戻す鏡」
ではないのでしょうか?

つまり、鏡は霊界・怨霊(あの世)向けのパワーを象徴している
との見方です。
現代人にとってコワイものは「地震・雷・火事・親爺」程度ですが、
当時の人が一番恐怖したのは、間違いなく「怨霊」でしょう。

なにしろ、「あの世」から「この世」に向けて災いをなす、のですから
「この世」の人智・人力では如何ともしがたいワケです。
現代にたとえるなら、「暴走する原子力」を徒手空拳で制御しようと
するに等しい感じ?かも知れません。

ですから、わが身を守るために最重視したのが「対霊界・怨霊用」
ツールであり、これを外したラインナップは考えにくいのです。
つまり、「八咫鏡」は「対あの世用パワー」の象徴ということに
なります。

最後は「八尺瓊勾玉」です。
これには、鏡=日(陽)を、玉=月(陰)を表しているのではないか
という説がありますが、これもいささか迫力不足の印象です。
もっともっと「パワフル」なものを象徴しているのでは?

名称に注目してみます。
「八尺」とは、平たく言えば「デカイ」ということです。
では、何に比べて「デカイ」のでしょうか?
当然、国で一番(日本一?)デカイ、という意味に決まっています。

どこの国でもそうですが、一番デカイものを「所有」できるのは
「王」に限られますし、それが「王」の特権です。 もし、「王」より
デカイものを持つ者がいたら、当然そちらが「王」になります。

このような見方に立てば、(八尺瓊勾玉の実体がなんであれ)
それが「王の正当性」を象徴していることは明らかです。
もっと言えば、他の誰も肩を並べられないモノを所有することに
おいて、「カリスマ性」「神秘性」を象徴していることにもなります。

日本の場合、我が一族こそ「天壌無窮の神勅」を授かった家系
ですよ、ということです。 もし、そのことにクレームをつける輩が
いたら、こう言えばいいのです。 どちらの「玉」がデカイと思って
いるの? この時点でイチャモンは当然「取り下げ」になります。

ややこしいので、イメージしやすい言葉を変えておきましょう。
」は、あの世の悪霊・怨霊にも負けない「霊力」の象徴。
」は、王の地位にあることの「正当性・カリスマ性」の象徴。
」は、その王の「強さ」(実力・勇気・軍事力)の象徴。
要するに、こういうことに落ち着くのです。 メデタシ、メデタシ!

ついでに、その序列にも触れておきましょう。
一番は「鏡」-いくら正当性・強さを備えていても、あの世の
         「怨霊」には勝てないからです。
二番は「玉」-勝利者になるだけでは不十分で、日本の歴史は
         常にその「正当性」について吟味を加えています。
最期が「剣」-非武装の天皇家が永く続いていることを思えば、
         「強さ」は最も軽い要件と言えるのかも。
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(1)「八尺瓊勾玉」は、古くは瑪瑙(メノウ)のことです。
(2)昭和天皇・大喪礼の際「八尺瓊勾玉」の箱を持った従者は
  「子供の頭くらいの丸い物が入っている様に感じた」と証言。

もし、両情報が正しいとすれば、当然こういう疑問が涌きます。
このサイズのメノウのお値段は、いったいお幾らくらいだろう?
不敬であるぞ! アナタのお叱りの声が聞こえてくるようです。

~日本史の「謎解き」03鏡じかけの舞台~
~日本史の「謎解き」02綱吉の可視政策~
~日本史の「謎解き」01信長の財テク~


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この記事へのコメント

2012年03月27日 10:28
>「邪悪なものを跳ね返す力を備えた鏡」
そうですね~、私もそう思います。
一陽来複・・・災い転じて福となる・・・と言ってもいいかもしれませんね。
八尺瓊勾玉って、子供の頭くらいもある丸い物なんですか!
髑髏信仰と関係があったりして。

それと私はインテリアブログ(団地deインテリア)もやってるんですが、そちらで歴史に興味がない方でも楽しく読んでいただけたらと
歴史記事を書いてるんです。

そちらの記事も日本史同好会に参加させていただきました。
変なブログまじってる!などとおっしゃらずに、よろしくお願いします~。
2012年03月27日 18:14
おおッ!天袋が窓に変身!
発想がスゴい、座布団2枚!
ユニークで楽しいブログのご参加、大歓迎です。
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オープンジャンルで歴史を100倍楽しもう!
「日本史同好会」 管理人:住兵衛

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