日本史の「ツッパリ」01金銀入歯組

「太平の世」にカジを取り始めた江戸幕府に対して、
不満を持つ旗本は少なくなかったようだ。
旗本には、神君・家康とともに戦ったことでこの天下を
作った、という自負心があったからである。
太平を是とする世の中は、この武勇を遠ざけることに
つながり、旗本にすれば「我らの働きが正当に評価されて
いない」という受け止め方になる。


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~イラスト素材百貨~
この「乱世を懐かしむ」心情を抱く者にとっては、
太平の世の身動きの取れない閉塞感がうとましい。
その不満の意思表示として、旗本の若い者の中からは
集団を組んで無頼を働く者も出てくる。 これが「旗本奴」だ。
幕府の意向などお構いなしに無視し、外様大名などにも
平気で喧嘩を売ったりしたそうだから、お家断絶・死罪をも
覚悟した無頼ぶりである。

一方「町人」側からも、ド派手な衣装をまとい江戸の町を
闊歩するような無頼の徒が誕生する。 これが「町奴」だ。
町人の分際でありながら、こんな怖い旗本奴にも平気で
突っかかっていったそうだから、これも「斬捨御免」を覚悟した
上での命懸けのツッパリである。

両奴とも、太平の世の常識・規範を突き抜けたところに
自分たちの居場所を見つけたと言っていいのかも知れない。
身もフタもない言い方をすれば「どうでもいいようなこと」
「くだらないこと」に命を張った生き様を是とした、ということだ。
これが、一種の美学「男達(おとこだて)」という概念にまで
昇華されることになる。
この概念は結構奥深くて、私なぞにはとても充分な理解が
及ばないが、要するにその根底には「死を恐れない」ことは
「カッコイイ」こと、とするポリシーがあったようだ。
ある意味、「軟弱」幕府に対する皮肉・面当てである。

江戸庶民の注目を集めたという、旗本奴の頭目・
水野十郎左衛門と町奴の頭目・幡髄院長兵衛の、
命を張った「男達(おとこだて)」の対決について
ご関心の向きは一度調べてみてください。
きっと「男達(おとこだて)」の一端がうかがい知れるハズだ。

さて、ではどのくらい「どうでもいいようなこと」「くだらないこと」に
命を張って当たったのか?
ハッキリ言えるのは、これはもう現代人の常識を遥かに超越した
とんでもなく「シュールな世界」であるということだ。

たとえば、旗本奴の中に「金銀入歯組」と名乗るグループが
あった。 これを冗談話だと突き離してはいけない。
そのグループのメンバーであることの身分証明書?は、
文字通り上が金歯下が銀歯の「総入歯?」である。
これだけでも結構凄まじいではないか。
※但し、その「入れ歯」の仕様?やメンバーについては
  異説もあるようなので、ここに付記しておきます。


もし「総入れ歯」が事実だとしたら、今の歯をそっくり抜くことも
おそらくはマトモな麻酔もないままで行われたハズだ。
なぜなら、その激痛を避けたいと思うココロ自体が、すでに
「男達(おとこだて)」に反していることになるからである。
歯一本治療するのにも、腰が引けてしまうようなアナタや
ワタシには、終生マネのできることではないゾ。

で、その「整形手術」が首尾よく成功したとして、
イケメンになれたのか? なれるハズもない。
上が総金歯下が総銀歯の、その「顔面」を想像して欲しい。
「ばかばかしい」などという月並みな評価では
推しはかれない、まったくトンデモなく超越した世界である。

この旗本奴や町奴による究極の「ばかばかしさ」が、ひとつの
「文化」としてそれなりに認知されたのは、そのウラに自分の
所業が咎められたその時には「自らの命」をもって精算すると
いう「潔さ」がキッチリ担保されていたからではないのだろうか?
単なる「ヤンチャ」ではなく、軍事政権であるハズの江戸幕府が
打ち出した「軟弱」な新方針に対する、究極の「確信犯?」で
あったのかも知れない。

「シュール」な感覚を絵画程度で表現したダリやピカソに
比べたら、それを生身で表現したこの「金銀入歯組」の方が
断然に格上であるゾ。
そんな「つまらんこと」を自慢してどうなる?ってか。
アナタはわかっていない!
この「ツッパリ」こそが「男達(おとこだて)」なんですヨッ。


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