将軍☆謎の行動

常識やモラルというものは「時代」によって幅がある。
現代ではごくごく「常識」の範囲内と認められている
女性の水着姿も、ひと前なら「わいせつ」風に受け止められた
かもしれない・・・ことなどが分かりやすい例だ。
では、たとえば「通り魔」はどうか。


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出展:Atnet Japan!
現代なら、言うまでもなく卑劣極まる凶悪犯罪である。
では、戦国の空気を色濃く残していた時代においても
その受け止め方が現代とまったく同じだったか、と言えば、
やや疑問が残る。

※以下はすべて「その時代」の感覚について
※述べているものであって「通り魔は仕方のないこと」などと
※言っているワケではないので、くれぐれも誤解のないよう、
※念のためにお断りをしておきます。


たとえば、今ここに二人の野球選手AとBが
いたとしよう。野球大会がいつ始まるかは未定である。
ここで二人の選手がそれぞれの心構えを述べた。
A選手「大会がいつ始まるのか分からないので、
     毎日練習を重ね、その時に備えています」
B選手「大会がいつ始まるのか分からないので、
     毎日の練習はしていませんが、その時になれば、
     きっと上手くできるはずです」
さて、アナタはどちらの心構えに同感できるだろうか?

ここで、話は突然徳川三代将軍・家光に移る。
家光の時代は、まだ戦国の世の気風が色濃く残っていた。
なにせ「大阪の陣」から数年しか経過していないのだから、
これは至極当然のことである。

その家光が「辻斬り」をしたことは多少知られた話で、
今で言うなら「通り魔殺人」である。
「おいおい、テレビドラマでもあるまいに将軍様が
辻斬りをするのかヨ」と、言いたくなるアナタの感覚は、
平和な時代においては至極まっとうなモノである。
繰り返しになるが、家光の時代は「大阪の陣」の
大乱からまだ何年も経っていないのである。

宿敵・豊臣家だけはやっとの思いで滅ぼしたものの、
薩摩や長州はまだ屈服させられずにいた状況であり、
胸を張って「天下泰平」と言えるほど幕府の基盤も
安定していない。
ということは、客観的に見ても再び「戦乱」が起こる
ことが充分にあり得た時代なのだ。

そこで、前出のA選手とB選手の心構えを
比べてみるとよく分かるのではないだろうか。
そう、家光はA選手なのである。
いつ「戦乱」が起きるようなことがあっても、
死ぬか生きるかの戦場で腹のすわった行動が
できるように結構ハードなトレーニングを積んで
いたのである。
少なくとも、本人はそのつもりであったと思われる。

いくら激しい鍛錬でも道場ではダメだ。
人を殺すことを「実際に体験」しなければ、イザの段に
びびってしまうことだってあり得るのだ。
武家の棟梁としてそれは決して見せてはいけない
姿である。

現代の常識・道徳からすれば、確かに言語道断と
言わざるを得ない振る舞いではあるが、
それは家光の個人的な嗜好に過ぎない、とは一概に
決め付けられないし、実際当時の空気の中では
それほど奇異な考え方でもなかったようなのである。
それは、あの「黄門様」水戸光圀も若い頃には、
同様なことを経験していることからも分かる。

三代・家光より24歳も若い黄門様・光圀でさえ、
若い頃、仲間に誘われて寺の縁の下から引きずり出した
浮浪者を斬り殺した経験をもっているのである。
さすがに、光圀も内心は「良くないこと」と思っていた
ようだが、仲間から「臆病者」呼ばわりされることを
嫌ってこれを実行した。
このことは、武士にとっては「切り捨て御免」より
「臆病者」の方が、より悪い存在と見られる時代だった、
ということを如実に示している。
これがこの時代の空気・常識・規範であった。

敵を殺せないような「臆病者」は戦場においては
決定的に役に立たない。
だから、武士は常日頃からいつでも人を殺せるだけの
強靭な心と巧みな技術を備えておく必要があった。

そうすると、将軍・家光による「辻斬り」の実行や、
力づくの「武断政治」はこの時代の空気を素直に
反映させたものだった、と言えるのではないだろうか。
現代では「通り魔(辻斬り)」は釈明の余地のない
凶悪卑劣な重大犯罪であるが、家光時代の
「武士の常識」からすれば、必ずしも「悪一辺倒」の
所業とは考えられていなかった、と言いたいのである。

「通り魔」より「臆病者」の方がよほどマシな存在と
認めてもらえる平和な現代はまことにありがたい、
と思えるのである。

しかし、いくら寛大に認めてもらえる「臆病者」とは言え、
自分の屁の音に飛び上がって驚く、ほどになると
さすがに度を越しているのは確かである。


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