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zoom RSS 日本史の「世界標準」23 ハナから違うゾ皇帝・国王・天皇

<<   作成日時 : 2018/03/30 00:01   >>

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たとえばキリスト教などの、いわゆる「一神教」における唯一絶対の存在を、
日本では「神」という呼び方をしています。
ところが、日本には「八百万神」という言葉があります。
つまり、国内のメッチャ大勢の存在も、国外のオンリーワンの存在も、同じ
「神」という名称で呼んでいることになります。

その概念はトコトン異質なものですから、ホントを言えば一神教の「神」に
ついては、これとは違う名称(たとえば「天主」?)を選ぶべきだったと
思いますが、ところが同じ言葉にしたために、その概念までが混同されて
いるようにも感じられます。

同様のことは、これとは別の言葉にも当てはまりそうで、たとえば、
「皇帝/国王/天皇」のケースもその一つかもしれません。
現代日本では、このあたりを神経質に捉えることはありませんが、例えば
「イギリス国王」などとする表現は、「国王」本来の持つ概念からすると、
いささか落ち着きの悪いものがあって、むしろ間違いとさえ言えそうな気も
します。
もっとも、こうした呼び方も既に定着してしまった感があるので、いまさら
異議申し立てをするつもりはないのですが。

では、本来の「国王」とはいったいどんな存在だったのか?
漢字で書いているのですから、その出発点はもちろん中国(中華思想)に
求めることになります。 ところが、週刊誌の見出し風なら、
〜国王とは皇帝の子分のことだったッ!〜 
こんな言い方をしても、あながち間違いではない雰囲気もあるのです。

さて、まずはその「国王」の親分たる「皇帝」という名称を解決しておく必要が
ありそうです。
「皇帝」なる称号は、有名な秦の「始皇帝」(前259-前210年)が用いたのが
最初とされていますが、これはメッチャ古いお話で、若い筆者なぞはまだ
生まれてもいない頃のお話です。
それはともかく、これ以降の中国では最高の存在を表す尊称として、この
「皇帝」を愛用し続けました。

中国というのは、現代では国名の一つと理解されていますが、本来は
そうした国家の名称(国名)を示したものではなく、唯一文明の華咲く地域
「世界の中心」という意味であり、これがいわゆる「中華思想」の根源に
なっています。

その中国にしたところで、自分のところ以外にも人が住み生活していることは
承知していました。
でも、それを「外国/外国人」と受け止めることは決してありません。
自分のところ、すなわち「中華(中国)」以外には、国も人もないとしている
のが、とりもなおさず「中華思想」なのですから当然です。

では、その「中国」以外の地域や民族をどう見ていたのか?
「中国」以外に国はないのですから、それは「外国」でもなければ、また
「外国人」でもあり得ません。
単に「(中国の)周辺地域」に過ぎず、またそこに住む民族は文明を知らない
無知蒙昧な「野蛮人」ということになります。
いや筆者がそう言っているのではなく、「中華思想」がそう主張しているの
ですから誤解のないようにネ。

さらには、その「周辺地域」に住む「野蛮人」を東夷・西戎・南蛮・北狄と
呼んでいました。
全部が全部「(○方角の)野蛮人」という意味ですが、それをわざわざ方角別
に分類して呼ぶのですから、ある意味念入りでご親切な計らいです。
要するに、「世界の中心()中華/中国」の周辺地域の四方八方は野蛮人
だらけであり、人間としてのまともな文明を備えているのは、世界中探しても
この中華だけ、と言っているわけです。

で、その「周辺地域」に住む「野蛮人」の族長というか酋長というか、ともかく
その代表者が「(中国)皇帝」にひざまづいて貢物をすると、倍返しどころか、
十倍くらいの御褒美が頂戴でき、またその「周辺地域」を治める資格証?も
発行して頂けます。
その資格証?の中身は〜汝を○○地域の「国王」として認めてやるゾ〜という
ことですから結果として、「○○国王」とは「(中国)皇帝」の子分に過ぎない
存在ということになるわけです。

ところが日本だって、そうした「国王」の称号を無邪気に喜んでいた時代も
ありました。
金印「漢委奴国王」(1世紀?)や、卑弥呼時代の「親魏倭王」(3世紀)などの
称号が現代にも伝わっていることがその証拠です。
またこれよりずっと後には、この朝貢という仕組みが儲かる仕組みになって
いることに目を付けた室町幕府・第3代将軍・足利義満(1358-1408年)なども、
この「日本国王」の称号を頂戴しています。 ただし、義満の場合は、
〜朝貢してガッポリ儲かるのなら、「皇帝」の子分でも家来でも、そんなもん
  どっちでもいいことじゃん〜
 これくらいの気持ちだったようですが。

始皇帝51 聖徳太子51














始皇帝/聖徳太子?


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しかし、卑弥呼の時代(3世紀)はともかく、日本が国家としての自我意識に
目覚め始めると、中国の影響下にあるこの「国王」という称号にいささかの
違和感を覚えるようになります。
〜よくよく考えてみればダ、我が国は我が国であって、何も中国の資格証?
  (日本国王)なんぞを有難かる必要もないのではないのかえ?〜


幸いなことに、中国本土と日本との間には大きな海(日本海)があります。
〜多少従順さに欠けたとしてもダ、中国だって多少ムッとするくらいで、
  手間ヒマかけてワザワザ懲らしめにやってくることもあるめぇ〜

この辺のお気楽さは、中国と地続きにある朝鮮半島などでは決して持てる
ものではありません。 
たちまち攻め滅ぼされてしまう心配があるからです。

この事実に気が付いた日本側は、さらに一歩踏み込んで自国専用の称号
まで作ってしまいました。 それが「天皇」です。
「(中国)皇帝」の子分的立場を示す「国王」には大いなる不満を覚えていた
ということです。
〜しかし「天皇」の称号には、「皇帝」の「皇」の字が入っているから、中国は
  さらにムッと、いや、カッカと頭に血が上るようになっちゃうかもしれんなあ・・・
  けど「日本海」があるから、まぁいいか〜


この態度は「中国皇帝」に対し、
〜我が国家は、アナタがおっしゃるような未開な「周辺地域」でもなければ、
  また我が民族は「東夷」に該当する野蛮人でもありませんのじゃ〜

こう宣言したと同時に、中国皇帝の意向に盾突いたことにもなります。

「天皇」という称号が生まれる以前のことですが、時の「(中国)皇帝」(煬帝)
に向け、聖徳太子(574-622年)がこんな国書を送ったことはよく知られて
います。
〜日出づる処の天子、書を日没する 処の天子に致す。恙なきや・・・云々〜
現代言葉なら、「やぁ、元気してますかぁ・・・」ほどのタメ口になっています。

また、ずっと後のことになりますが、「(中国)皇帝」から、
〜オマエを日本国王に任じてやるぞ〜とした内容の国書を受け取った
豊臣秀吉(1537-1598年)がブチきれてしまい、これを破り捨てたという伝説も
残されています。 (実際には現在も保管されているそうですが)

要するに、聖徳太子豊臣秀吉も、
〜なにが悲しくて皇帝の子分(日本国王)なんぞに・・・フン!〜
日本側にはこの程度の気概があったことになります。
余分なことですが、現代日本が世界に向けて、こうした国家としての気概を、
示すことは稀のまた稀になっています。

さて、中国製の「国王」という言葉にこうした歴史的意味合いが込められている
以上、やはり「イギリス国王」という称号は、ちょっと筋違いでヘンということに
なりますから、日本語に直すなら、まあ「君主」あたりが無難だったのかも
しれません。

という按配で、全く異なる概念を備えている「皇帝/国王/天皇」ですが、
その中でも皇帝と天皇の間には同じ「皇」の字を使いながら、さらに決定的な
違いがあります。

極端な言い方をすれば、戦を勝ち抜いた者ならドナタでもなれるのが「皇帝」
で、出自や血統を問題にしない実力本位制?になっています。
ところが、「天皇」はそうではありません。
その有資格者は皇祖神「天照大神」の御子孫、つまり天皇家の方に限定
されているのです。
ですから、間違ってもアナタが「天皇」になるようなことはありませんので、
どうぞご安心くださいネ。

その昔、称徳女帝(718-770年)※が自ら後継として、天皇家の血筋にない
僧・道鏡(700?-772年)を指名したというお話が残されています。
しかし、これはやはり間違いというべきで、女帝が道鏡に望んだのは「皇帝」
でした。 道鏡は天皇家の人間でないのですから、この考え方は当然です。
※重祚し、最初が46代・孝謙天皇/二度目が48代・称徳天皇という諡名。

つまり称徳女帝は、血筋を重んじる日本製?「天皇」制度に因習臭さを感じ、
先進国・中国の「皇帝」の在り方に大きな憧れを抱いていたわけで、僧・道鏡
を「天皇」ではなく、血筋を問わない「皇帝」に就けるのであれば、
〜誰からも文句は出るめぇ〜と考えていたことになります。

歴史的に眺めれば、「皇帝/国王/天皇」いずれもが、大きな権威・権力を
備えていましたが、その地位維持のために費やしたエネルギーが決して
小さいものではなかったことは、歴史が如実に物語っています。
その点、アナタや筆者のごとき、根っからの庶民はお気楽なものです。
その気楽さを手放したくはないので、仮に「皇帝/国王/天皇」就任を打診
された場合でも、「辞退あるのみッ!」との決意を固めている今日この頃の
筆者です。



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