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zoom RSS 日本史の「陰謀」22 歴史は勝者が作る・・・もの?

<<   作成日時 : 2017/07/25 00:01   >>

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〜歴史は勝者が作る〜という言葉があります。
新たに支配者となった「勝者」が、自らを正義とした主張に沿って次の時代の
社会秩序が構築されていくことを思えば、確かに説得力のある言葉です。

たとえば、奈良時代に成立した日本最古の正史とされる「日本書紀」(720年)
がいい例で、ここにある内容も最終的な勝者となった天武天皇(631?-
686年)の正当性を声高に主張している気配が強く感じられます。

なにせ神代から始まり、天皇一代につき1巻を基本に、中には複数代で1巻の
構成にしながら、第41代・持統天皇までを扱ったこの「歴史書」全30巻の内、
この「天武天皇」関連だけで2巻を費やし顕彰?しているだけでなく、これを
もって「正史」としているのですから、言葉を変えれば、つまりは天武天皇に
よる「歴史は勝者(天武)が作る」の実践に他なりません。

また、戦国の武将・今川義元(1519-1560年)については逆のパターンが
感じられるところで、実際には隣国・三河国を圧し、後に徳川家康(1543-
1616年)と名乗ることになる人物を人質として取っていたくらいですから、
なかなかの才覚を備えた武将だったはずです。

ところが、「桶狭間の戦い」(1560年)において、相手の何倍もの兵力を擁し
ながら、隣国尾張の織田信長(1534-1582年)によってあっけなく討ち取られる
という顛末を演じたことから、どうしても「二流」とのイメージが拭えません。

ですから、「名将・信長/凡将・義元」のイメージが現代にも残っているとした
なら、逆の意味でこれも「歴史は勝者が作る」の一例といえそうです。
こうした目線のその延長線で眺め直すなら、僅か150年前の「明治維新」
すら同様なことが言えそうです。

「明治維新」に関して現代日本人が抱く平均的イメージとは、
○江戸幕府=ガチガチの守旧派であり、時代遅れの存在。
○薩摩長州=それを打破して、日本国に近代化をもたらした正義の味方。

これは、本当に正しい見方なのか?
ひょっとしたら、ここにも「歴史は勝者が作る」という法則?が働いているのでは
ないだろうか?という疑念です。

実は近年、現在一般的にイメージされている「明治維新」の経緯は「勝者」側
自らが創り美化したものであるとして、その欺瞞・潤色を鋭く追及した本が
出版されました。
「明治維新という過ち〜日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト〜」
(著:原田伊織)がそれです。

この中で、著者はこう主張しています。
〜明治新政府側が自己正当化した、真相とはかけ離れた「明治維新」が、
  歴史として一般に教えられている〜

早い話が、「尊王の志士」と称すること自体が自画自賛に過ぎず、その実態
ともなれば(副題にもあるように)、過激派のテロリスト集団に過ぎない。 
こう言い切っているのです。

吉田松陰51 明治維新過ち51











長州・吉田松陰/「明治維新という過ち」著:原田伊織

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さらには、個々についてもこんな主張を展開しています。
(上段○が一般的?な評価/下段が著書の評価)
吉田松陰(1830-1859年)
○「松下村塾」において、後の明治維新で重要な働きを果たすことになる多くの
  若者に思想的影響を与えた人物である。
→まず暗殺ありきという「暗殺志向」を強く持つ長州の乱暴な若造の一人に
  過ぎず、上のイメージは松陰門下(山県有朋ら)が創り上げた虚像である。


久坂玄瑞(1840-1864年/松陰門下)
○(松陰先生の評)年少第一流の人物で、また天下の英才である。
→尊王を叫び続けながら、こともあろうに「天皇を拉致」し「人質」とすることを
  企てたものの、未遂に終わった過激派の跳ねっ返りに過ぎない。


勝海舟(1823-1899年)
○早期停戦と江戸城無血開城を主張し、これを実現した「維新」の功労者で
  ある。
→幕臣でありながら、「幕府」存続の機会を失わせた裏切り者である。

長州藩(周防国・長門国を領国とした外様大名)
○討幕運動の推進力となり、続く明治維新においては政治家を多数輩出した
  ことで、近代国家建設の礎となった。
→なにかにつけ「暗殺」を第一義とする狂信的テロリストの集まりである。

もちろん史実を綿密に追い、それを明らかにした上で、こうした解釈に至って
いるわけですが、それにしても「明治維新」に対する従来のイメージとは
かけ離れた印象で、いささか過激な見解にも感じられるところです。

とはいいながら、著者が主張する目線に立って「明治維新」を眺め直して
みると、その過激な見解にもなるほど一理あると感じさせられてしまうのです。

要するに「勝者が作った歴史」によって目眩ましにあっている現代日本人には
その真相が見えず、そのために「明治維新」の経緯自体をとてつもなく好意的・
情緒的に捉えている。 そんな可能性もあるのかもしれません。

著者・原田伊織氏はこんなことも述べています。
〜洋の東西を問わず、戦争に勝った方が自分たちに都合のいいように
  歴史書を書く〜

要するに、「勝てば官軍」であり、「死人(敗者)に口なし」であり、冒頭の言葉
「歴史は勝者が作る」です。

しかし、これを当然のこととしながらも、加えて、
〜ただし、どの国も戦後100年も経てば必ず当時を検証するものです。 
  ところが明治維新後に生きた日本人はその検証をやってこなかった〜


ウーム、これも「日本の常識は世界の非常識」という格言?に当てはまるので
しょうか? 著者は続けます。
〜そこで明治時代以降の歴史を一冊にまとめておくべきだと思ったのです〜
著者のこんな意気込みのせいか、いわゆる「明治維新」にご関心の向きには
お勧めできる一冊と感じたところです。

蛇足ですが、昭和時代によく耳にしたこの言葉、〜明治は遠くなりにけり〜
考えてみれば、つい先日(2017年7月18日/満105歳)亡くなった医学博士
日野原重明氏が生まれたのが明治44年(1911年)ということですから、
明治はそれほどメッチャ「遠い昔」というわけでもない・・・のかもしれません。



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内 容 ニックネーム/日時
WEB小説「北円堂の秘密」が今夏の隠れたベストセラーと知ってますか。
グーグルで「北円堂の秘密」と検索するとヒットするので無料で読めます。
世界遺産・古都奈良の興福寺・北円堂を知らずして日本の歴史は語れないと云われています。
日本文化発祥地の鍵を握る小説なのでご一読をお薦めします。
少し日本史レベルが高いので難しいでしょうが歴史好きの方に尋ねるなどすれば理解が進むでしょう。
今秋、東博では「運慶展」が開催されるが、出陳品の無著・世親像を収蔵するのが興福寺・北円堂である。
貴職におかれてもホットな話題を知っておくことは仕事に少なからず役立つでしょう。
先ずはブログ主様ご本人からベストセラー小説「北円堂の秘密」の読破をされては如何だろうか。
読めば日本史のミラクルワールド全開です。
大町阿礼
2017/08/27 19:03
>大町阿礼さんへ
コメントありがとうございました。
ご案内のWEB小説「北円堂の秘密」は全く
存じませんでした。
折りをみて読破に挑戦したいと思います。
今後とも、今回のような視野の広い
多方面に渡るご指摘・ご教示をお願い
します。
日本史のミラクルワールド全開ともなれば、
楽しさも倍増しますからね。
住兵衛
2017/08/29 21:10

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