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zoom RSS 日本史の「言葉」24 西洋人がなぜ”南蛮人”なの?

<<   作成日時 : 2017/05/20 00:01   >>

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こんな概念を「中華思想」と呼ぶそうです。
〜宇宙の中心である中国王朝の文化・思想のみが最高のものであり、
  それを持たない周辺(辺境)の異民族は単なる野蛮人に過ぎない〜


この「中華思想」がハンパな物でないことは、その東西南北四周の異民族の
すべてに対して、わざわざ、東夷(とうい)・西戎(せいじゅう)・南蛮(なんばん)・
北狄(ほくてき)という蔑称まで用意したことからも分かります。
ですから、この目線を持つ中国王朝からすれば、その東方に位置する
日本列島に住む民族は紛れもなく「中国の東方地域に住む野蛮人」に該当し、
つまりは「東夷」ということになります。

そのため、この頃の日本?「邪馬台国」の様子を伝える三世紀末頃の史書の
タイトルは、必然的に〜『三国志』「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条〜
略称いわゆる「魏志倭人伝」となるわけです。

なにッ、日本人に住むこのオレ様のことを野蛮人ってか! 
しかしまあ、これは昔の昔のことですから不承不承ながら認めてやるとしても、
その中華思想の東夷に該当する日本人自身が、戦国時代の頃から、実は
我が国を訪れたヨーロッパ人などに対して「南蛮人」という呼称を使うように
なりました。

冷静に考えれば、ヨーロッパ人などは決して「南」に住む人間でもなければ、
ましてや文化・技術を持たない「野蛮人」でもありません。 
それなのに、なんでまたこうした人々を「南蛮人」と呼んだのか?
本来の「南蛮」とは、中国から見て南の地域、いわゆる「東南アジア」周辺を
いいますから、ヨーロッパとは似ても似つかないはずなのに、です。

どうやら、この表現には日本人の「原体験」が大きな影響を与えているよう
です。
というのは、キリスト教という日本にとっては全く未知の宗教を伝えるために、
宣教師フランシスコ・ザビエルが日本上陸(1459年)を果たした場所が
薩摩国(薩摩半島・坊津)、つまり日本国の「南端」の地でした。
そしてまた、その後の「鉄砲伝来」(1543年)も、現場は「種子島」・・・本土の
南端の九州からしても、さらに輪をかけて「南」に位置する場所でした。

つまり、当時の日本人からすれば、吃驚仰天の「ニュー宗教」も前代未聞の
「ハイテク新兵器」も、アッと驚く衝撃的な文物は、いつも「南」からやってきた
ことになります。
南蛮人」の「南」の意味はそこに由来するのでしょう。

南蛮人52 南蛮人03










南蛮人(風俗博物館)/南蛮人(wikipedia)

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では、残りの「蛮人」の部分はどうなるの? 
きっとなら、こういうことではないのかえ。
〜オレらは普通の色の肌だが、彼らはやたらと白い〜
〜オレらは普通の高さの鼻だが、彼らはムダに高い〜
〜オレらは普通の体だが、彼らは異様にデカい〜


つまり、自分達以外の民族を知らない当時の日本人は自分達をスタンダード
な存在として、そこに違いを持つ彼らを「普通でない」、要するに「劣っている」
と受け止めたということなのでしょう。
「普通でない」、「劣っている」ということなら、彼らを「(野)蛮人」と見たり
呼んだりすることは無理もありません。
いわば、自分達日本人を基準尺度としたミニ版「中華思想」です。

そうした感覚の良し悪しは別として、少なくとも当時の日本人は現代日本人が
好む?「自虐嗜好」は持っていなかったとはいえそうです。
仮に現代日本人が、その観点に立って西洋人と自分達を比べれば、
こんな受け止め方にもなりかねません。

〜彼らの真っ白な肌に比べ、オレらは薄汚れた色付きだ〜
〜彼らの鼻筋は通っているが、オレらは醜い鼻ペチャだ〜
〜彼らの大柄足長に比べたら、オレらはチビで短足だ〜

これでは、自分たちの方が「(野)蛮人」になりかねません。

とはいうものの、この「南蛮」という言葉自体は次第にその意味を拡げて
いきました。
その「南蛮」経由で入ってくるものは、日本人にとっては常に目新しい物であり、
また関心を呼ぶものですから、時代を経るとともに、こうした形で国内に入った
異国風で物珍しい文物そのものを「南蛮渡り」とも言うようになっていったわけ
です。
昭和時代までよく使われた言葉「舶来」※に似た感じだったのでしょう。
※船舶で日本国内に届くこと。また輸入品・海外製品のこと。

そうした「南蛮人」について、筆者が抱いた疑問。
首の部分に巻いた、白いヒラヒラしたマフラーもどきの輪ッカ状のもの、あれは
いったいなんなのだ?
史実かどうかは別として「島原の乱」(1637年)の指導者「天草四郎時貞」
(1621?-1638年)も、現代人にはこの姿でよく知られています。

調べてみると、「襞襟」(ひだえり)というそうで、こんな説明になっています。
〜シャツから取り外しができ、頻繁に取り替えることで、首周辺の清潔を保つ
  ためのもの〜
 つまり、その機能は現代にもある詰襟学生服に装着する
「(襟)カラー」と同じとのことです。

ところが、この見た目に新しい「襞襟」が大名や富裕な商人の間で人気を博す
ようになり、和服と組み合わせることもあったほどとされていますから、いつの
時代も流行ファッションというものには恐ろしい勢いがあるものです。

まあ、昭和の「舶来」と同様に、この時代は「南蛮渡り」に、ある種の憧れと
先進性、平たく言うなら「カッコ良さ」を感じていたようで、事実、古い文献には
こんな記事もあるとか。 〜昔より異風なるものを南蛮と云ふ〜

以下は「南蛮」がらみの余談。
最近立ち寄った食堂の壁に「とりなんばうどん」と書いたメニュー短冊が貼って
ありました。
筆者は直観的に「何羽もの鳥」の肉をふんだん使った「うどん」をイメージした
のですが、ところがこれって、じつは「鶏(鳥)南蛮」と書くのだそうです。

しかもこの場合の「南蛮」は「ネギ」を表しているとのことですから、いやあ
「南蛮」って言葉はホントに奥が深い・・・と南蛮人ならぬ「東夷人」の末裔で
ある筆者は感じ入ったところです。



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