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zoom RSS 日本史の「世界標準」21 宣教師仰天のニッポン女性

<<   作成日時 : 2017/05/05 00:01   >>

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日本に訪れた(1549年)最初のキリスト教宣教師フランシスコ・ザビエルより
十数年遅れて来日(1563年)したルイス・フロイス(1532-1597年)は、他の
宣教師と共に熱心な布教活動に努めるかたわら、日本滞在中の見聞録
「日本史」を著したことでもよく知られています。

またそれとは別に、日欧間に横たわる文化の差異についてまとめた、
タイトルもそのものズバリの「日欧文化比較」(1585年)という著作も残して
います。 文才にも恵まれていたということでしょう。

その著書にある14章に渡る「比較」の項目をやや乱暴に整理するなら、
01)男性 02)女性 03)子供 04)僧侶 05)寺院・信仰 06)食生活 07)武器 
08)馬  09)病気・医療 10)書物・文具 11)建築・庭園 12)船 13)劇・歌 
14)その他補足 
こんな按配で、いわば当時の「日本全般」を網羅した内容になっています。
しかも、その記事は自身の感想・批判を極力排した客観的な書き方にしている
ことで、その分当時の素顔の日本像が分かりやすく伝わってきます。

例えば欧州と日本、この双方の「言葉」(会話?)についてはこんな観察も。
欧州/言葉には明瞭さが求められ、曖昧さは避けられる。
日本/曖昧なのが一番よい言葉であり、最も重んじられる。
この点などは、21世紀の現代にもバッチリ当てはまる日本人特有の民族性?
なのかもしれません。

余談ですが、この「曖昧さ」については、こんな笑い話があります。
〜外国人から「是か非か?!」、つまり「イエス・オア・ノー?!」と明快な
  返答を迫られた日本人が、意を決してキッパリとこう答えた・・・「オア!」〜


それはさておき、欧州・日本間のこうした「違い」の中でも、フロイスがとりわけ
「仰天」したのは、どうやら「ニッポン女性」の生態だったようです。
欧州/未婚女性の最高の栄誉と財産は貞操である。
日本/処女の純潔を何ら重んじないし、それを欠いても
     栄誉も結婚(する資格)も失いはしない。


また、逆の「離婚」についてもこう記しています。
欧州/妻を離別することは、罪悪であり最大の不名誉である。
日本/望みのまま幾人でも離別するし、彼女たちはそれによって
     栄誉も結婚(再婚?する資格)を失いはしない。

欧州/堕落した本性にもとづいて男たちが妻を離別する。
日本/しばしば妻たちのほうが夫を離別する。

こうなると、「女は三界に家無し」とか、「貞女二夫に見(まみ)えず」などの
言葉などから現代日本人が当時の女性に対して抱くイメージ、要するに、
〜不自由で弱い立場だった〜 これが怪しくなってきます。
※女は幼少のときは親に、嫁に行ってからは夫に、老いては子供に従うもの
  だから、広い世界のどこにも身を落ち着ける場所がない。
※貞女というものは夫が死んだあとも、決して再婚はしないものだ。

フロイス51 女金融51









宣教師・フロイス/女高利貸し(左:メタボの女性)平安時代?

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それに追い打ちをかけるように、こんな記事すら見られます。
欧州/娘や処女を(俗世から)隔離することは、はなはだ大問題であり、
     厳重である。

日本/娘たちは両親と相談することもなく、ひとりでいきたいところに行く。
欧州/妻は夫の許可なしに家から外出しない。
日本/夫に知らさず、自由に行きたいところに行く。

フロイスのこうした仰天?はさらに続き、
欧州/女性が葡萄酒を飲むことは非礼なこととされる。
日本/(女性の飲酒が)非常に頻繁であり、祭礼においてはたびたび酩酊
     するまで飲む。

酔っぱらうまで飲んじゃうのですから、ここにある「祭礼」とは町や村で開催
される、いわゆる「お祭り」のことかもしれません。

また、このことも「カルチャー・ショック」のひとつだったようです。
欧州/夫婦間においては、財産は共有である。
日本/おのおのが自分のわけまえを所有しており、ときには妻が夫に高利で
     貸し付ける。

これなどは、現代日本人のほうが仰天しそうな内容ですが、決してフロイス
誤解というわけでもないようです。

というのは、フロイスのちょい前の「応仁の乱」(1467-1477年)の時期、
足利六代将軍・義政の正室・日野富子(1440-1496年)が、富子個人として
敵味方双方の大名に多額の資金貸付をしていた事実があるからです。
もっとも、その頃「金欠病」に陥っていた夫・義政に対しては、不仲だったことも
手伝ってか、結局のところ融資?は控えたようですが。

これは決して特異なケースではなく、この日野富子に比べればスケールは
うんと小さいものの、庶民レベルの「女性金貸し」は平安時代の頃から少な
からずいたとされ、しかもそれなりの営業利益を上げていたようです。
古い絵にも「女金貸し」の姿が残されているほどですから、こうした「時代の
風俗」は、フロイス自身もその目で見たことがあるのでしょう。

だったら、〜不自由で弱い立場だった〜というイメージはいつ頃の女性を
指しているのでしょうか?
おそらくは、「外国文化」に対する好奇心が高まった文明開化?の頃に、
〜外国の女性が貞淑であるにもかかわらず、我が国の女性がこうまで
  奔放?であっては、文明を知らぬ野蛮人の証しのようであり、諸外国に
  対してもメッチャ恥ずかしい現実だ〜


こんなコンプレックス?が頭をもたげ始めて、「世界標準」に合わせるよう
大いに軌道修正?を施した後のことでしょう。
ですから、たかだか明治頃から始まり、大正・昭和前期までのことで、
現に終戦(1945年)後の1953年頃にはこんな言葉も登場しています。 
〜戦後強くなったのは女性と靴下〜

「靴下」(ナイロン・ストッキング)の耐久性(強さ)が向上したのは事実ですが、
歴史目線で眺めれば、「ニッポン女性」の強さは明治期以前の状況に戻った
だけのことで、いわば「先祖返り」したに過ぎなかったのかもしれません。

それはともかく、フロイスは「お酒」の飲み方に関しても、こんなシビアな
観察を補足していました。
欧州/われらにおいては他人から強要されることなく、各自が飲みたいだけ
     飲む。

日本/互いにひどく無理に勧めあうので、ある者を吐かせ、
     ある者を前後不覚にさせることになる。

欧州/われらにおいては、誰かが酩酊すると、それは大いなる恥辱である。
日本/日本ではそれが自慢の種である。
現代の「酒の席」でも、この通りの姿を見ることは珍しくありません。

こうして眺めてみると、フロイスの時代から四百年以上の時が流れる間に、
「ニッポン女性」が大いなる変遷を体験したのに比べ、「ニッポン男子」の
少なくとも「酒の飲み方」については、とんと文明開化?進歩改善?が
見られなかった。 こんな結論になるのでしょうか。



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