ヤジ馬の日本史

アクセスカウンタ

zoom RSS 日本史の「忘れ物」22 幕末天然痘の震撼レポート

<<   作成日時 : 2015/11/20 00:10   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

現代日本ではとんと見られることがなくなった病気「天然痘」も、
実は明治時代に入るまではかなりの猛威を奮っており、その
凄まじい病状自体もまた「恐怖の対象」になっていました。

仮に、運よくこの「病状」を乗り越えられたとしても、明瞭な
病痕を残す人も少なくありませんでした。
実際、幕末期の肖像写真の中には、はっきりそれと分かる
「アバタ面」を見出すことができます。

もちろん命を落とす人も非常に多く、この幕末期に突然の崩御に
見舞われた孝明天皇(1831-1867年)も、その一人とされています。 
※毒殺説もあり。

それほどのものでありながら、この「難病」と無縁になった現代
日本人には、その「病状」の凄まじさがよく分かりません。
せっかくの機会ですから、大流行当時の患者レポート?の
一部をご紹介しておきましょう。
※水戸の医師・本間玄調「種痘活人十全弁」弘化三年(1846年)十二月

かなりの意訳ですが、まあこんな様子が報告されています。 
(実際には、この他にも多くのレポートがあるようです)

〜漆にかぶれるような「膿」の頃になると・・・
  その凄まじい痒みによって、顔をかきむしるようになるので
  手を押さえるが、今度は脚をすりむくまでこすり合わせ、
  それを押さえれば、さらには顔を枕にすりつけるやら、
  背を床にすりつけるやらで、とても防ぎきれるものではない〜

患者は七転八倒、文字通り「のたうちまわる」わけです。

これだけでもいささか腰が引ける描写ですが、さらには、
〜毒が内へ廻ると、胸先へ鋭くさしこむようになり、歯も欠ける
  ほど歯軋りをかみ、その苦しさに耐えかねて父母を泣き呼び、
  普段は大嫌いな薬や灸までせがむのだが、ノドは痰で塞がり
  声も枯れて、日夜悶え苦しむだけでなく、猛烈な渇きに茶碗に
  咬みつく勢いで水を飲み・・・〜
 こんな按配です。

どうだ、ここまで聞いてもアナタはまだ「天然痘」になりたいか!
ワタシはゴメンだ。
ただただ、この「天然痘」のない現代日本に生まれた幸せを感謝
するばかりです。


天然痘ジェンナー51 天然痘種痘緒方春朔51











ジェンナーの種痘/1798年     緒方春朔 の種痘/1792年

  応援クリックは→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓

それはそれとして、では「天然痘」のこれほどの猛威をどうやって
克服することができたのか?
意外なことに、この点についてはそれまで「常識」として信じて
いたことにも、少なからぬ「誤解」が潜んでいました。

実はワタシの頭ん中にはこんなお話が刷り込まれていたのです。
〜ウシの病気である牛痘にかかった者は天然痘にならないこと
  に注目した英国医学者エドワード・ジェンナー(1749-1823年)
  1798年に天然痘ワクチンの開発に成功した。 
  その際のジェンナーは「わが子」に接種して効果を実証した〜


う〜ん、わが子を実験台にして世界初への挑戦か・・・さすがに
「偉人」たる者、やることが一味違うと感心していたものですが、
ドッコイこのお話、ちょこっと違うんですってねえ。

最初に接種したのは、実は「わが子」ではなく「使用人の子」
だったそうですから、ひょっとしたら「一抹の不安」を感じていた
のかも?

また「世界初」という点も少し微妙で、それより6年も前の1792年
のこと、ジェンナーとは別の方法だったようですが、日本では
すでに秋月藩(福岡県)藩医・緒方春朔(しゅんさく/1748-1810年)
「種痘」を成功させていました。
ですから、こと「種痘」という医療方法に関しては、ひょっとしたら
こちらの方が「世界初」ということになるのかもしれません。

それはともかく、時間はかかったものの、日本の「天然痘」
この後、次第に終息の方向に向かい始めます。
本間玄調の本から三年後(1849年)のこと、佐賀藩がワクチンを
輸入し、それ以降次第に種痘(牛痘法)が普及し始めたからです。

最初に紹介したような過酷な闘病生活を強いられることは、
誰もが知っているのですから、さぞかし飛びつくように受け入れ
られたと思いきや、どうもそういうわけでもないようです。

「牛痘」を施すと牛になるとか、角が生えてくる、などの迷信も
並行してはびこり、それが阻害する形になって、結果として
それほどの勢いにはならなかったとされています。

つまり、どんなことにせよ「人間が新しいものを受け入れる」には
それなりに大きな勇気を必要とするということなのでしょう。

新概念「水素燃料の電池自動車」・・・その存在を既に承知して
いながらも、ワタシがまだ手を出さないのも、実はその点こそが
理由なのかもしれません。

もっとも、それは「勇気」が問題ではなく、単に「懐具合」の問題に
過ぎないと指摘する向きもなくはないのですが、そこはそれ、
不適切な誹謗・中傷としてキッパリ無視しているところです。




  応援クリックは→ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ  ↓コメント欄はいちばん下↓

          



−−−これまでの 「忘れ物」 シリーズ−−−−−−−−−−−−−−−
297 日本史の「忘れ物」21 ♪酒と泪と男と女 実は酒と兔と御床と女かも?
278 日本史の「忘れ物」20 能はマルだが芝居はペケだ 学問と娯楽の差?
240 日本史の「忘れ物」19 ”士農工商”って放送禁止? 身分序列に非ず?
227 日本史の「忘れ物」18 泣きをみた?五人の天皇 南北朝泣き笑い?
208 日本史の「忘れ物」17 義経の常識のかけら 天才それとも欠陥人間か?
176 日本史の「忘れ物」16 反日は韓国人の証? 歴史歪曲言いたい放題!  
156 日本史の「忘れ物」15 ”生類”と”魔女”の背比べ? 優劣の判定は?
154 日本史の「忘れ物」14 アメリカ船はいつ来たか? 黒船来航の前史!
134 日本史の「忘れ物」13 いまさらですが“三種神器” 誰も見ていない?
127 日本史の「忘れ物」12 関東と関西の国境線? そこは戦場の最適地!
117 日本史の「忘れ物」11 時代の透明人間 発言できなかった多数派!
091 日本史の「忘れ物」10 コスプレの元祖? 心優しき神々の善意!
087 日本史の「忘れ物」09 歴史学者のミスリード “改革”なんて変すぎる!
081 日本史の「忘れ物」08 天孫降臨の錯覚 前後左右にも”天”はある!
075 日本史の「忘れ物」07 UFOの訪日と攘夷論 とりあえずやっつけよう!
068 日本史の「忘れ物」06 唯一のチベット寺院 寺から言霊まで勢ぞろい!
065 日本史の「忘れ物」05 やじろべえ国家 一極集中はそれだけで悪だ!
062 日本史の「忘れ物」04 幕府の無断転居 室町ってどこにあるのさ?
053 日本史の「忘れ物」03 信長と平和事始 それは平和への戦いだった!
051 日本史の「忘れ物」02 奥州四代の奇習 滅亡した独自の「死生観」とは?
048 日本史の「忘れ物」01 蓮如の業務改善 その昔も”カイゼン”はあった!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヤジ馬の日本史〜超駄級・200記事一覧〜 前編「あ→と」巻 七転び八起き!
ヤジ馬の日本史〜超駄級・200記事一覧〜 後編「な→ん」巻 あゝ七転八倒!
ヤジ馬の日本史〜超駄級・300記事一覧〜 202−209編 堂々肩すか史!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





未来デリバリー ちいさなアシモフと緑の忘れ物 1/深山フギン/大塩哲史【後払いOK】【1000円以上送料無料】
オンライン書店 BOOKFAN
著者深山フギン(漫画) 大塩哲史(脚本)出版社KADOKAWA発行年月2014年01月ISBN978

楽天市場 by 未来デリバリー ちいさなアシモフと緑の忘れ物 1/深山フギン/大塩哲史【後払いOK】【1000円以上送料無料】 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

【新品】【本】未来デリバリー ちいさなアシモフと緑の忘れ物 2 深山フギン/漫画 大塩哲史/脚本
ドラマ楽天市場店
⇒ この商品の中古はコチラ 中古価格 313円■ISBN:9784041021163★日時指定をお受

楽天市場 by 【新品】【本】未来デリバリー ちいさなアシモフと緑の忘れ物 2 深山フギン/漫画 大塩哲史/脚本 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
日本史の「忘れ物」23 戦国”戦死者”の弔い作法
戦国時代(室町時代末期)は、文字通り全国各地で活発に “戦(いくさ)”が展開された時代です。 しかし“戦”の頻発は、言い替えればそこで命を落とす、つまり 大勢の”戦死者”を生み出すということでもあるわけです。 ...続きを見る
ヤジ馬の日本史
2016/01/24 23:38

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
日本史の「忘れ物」22 幕末天然痘の震撼レポート ヤジ馬の日本史/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる