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zoom RSS 日本史の「世界標準」17 ”死んだら神様よ”の文化

<<   作成日時 : 2015/08/25 00:30   >>

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沖縄民謡「安里屋ユンタ」の歌詞の一節にある、
“マタハーリヌ チンダラ カヌシャマヨの部分は、日本語の
“死んだら神様よ”という言葉に似た響きがあります。
そして、多くの日本人もまたこの“死んだら神様よ”という言葉
自体に特段の違和感を覚える様子もありません。
※「ああ、なんと可愛い、いとしい娘であることよ」ほどの意味らしく、
  インドネシア語が語源になっているとのこと。


多分その理由のひとつに、日本人には「過去は水に流す」
いう感性が備わっていることも挙げられるのでしょう。
しかし、こうした感性が「世界の常識」かと言えば、この点は
いささか疑問で、なぜなら世界にはこれとは真逆の「過去を
絶対に許さない」
文化もあるからです。

そこで、まず日本の歴史を眺め直してみると、
この「死んだら神(仏)様よ文化」?とも言えそうなエピソードが
数多く残されていることに気が付きます。
メッチャ古いところなら(神話の世界ですが)、この国を治める者の
勝者決定戦だった天照大神VS大国主命の戦後処理もおそらくは
そうした感性に沿ったものだったのでしょう。

この当時のことですから、戦いの相手は異民族であり、自分に
歯向かう「敵」、即ち「大悪人」という受け止め方になりますが、
その大悪人?であるはずの敗者・大国主命は、なんと勝者・
天照大神側によって大社殿(出雲大社)に丁寧に祀られている。
この事実は、この頃には既に「死んだら神(仏)様よ」の文化?
が根付いていたことの証明になるのかもしれません。

もう少し探してみると、平安時代中期のいわゆる「前九年の役」
(1051-1062年)にもそうした傾向が窺えます。
当時はまだ外国?だった陸奥・阿倍氏との戦争で勝利を収めた
中央の源氏は、堂を建ててまで、敵であった外国人?戦死者の
慰霊につとめています。
※ただし、当時まだ「遺髪」を納めるという習慣がなかったものか、現代人
  には馴染みの薄い死者の耳を切り取って堂に収める方法だったようです。


さらには、元寇の際にも外国の敵を弔っている事実があります。
文永の役(1274年)・弘安の役(1281年)の二度の元寇が終わると、
勝者?北条時宗(1251-1284年)は鎌倉に円覚寺を建て(1282年)
水没した十万の元軍戦死者のために一千体の地蔵尊を作って
奉納していますから、これも、敵も味方も「死んだら神(仏)様よ」
とする意識の表れと言ってよいのでしょう。


元寇船51 清水次郎長01










         元寇 (鎌倉時代)         清水次郎長 (山本長五郎)

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では逆に、「過去を絶対に許さない」文化とは?
儒教国である中国や韓国が、そのいい例かもしれません。
これらの国では「掘墓鞭屍」という言葉もある通り、一旦恨みを
抱いた者に対しては〜墓を暴いてその屍を鞭打つ〜ことまで
して報復した姿が実際の歴史にも少なからず残されています。

言い換えるなら、「悪人」は死んだ後も未来永劫「悪人」としての
扱いをするのが、儒教的には正しいということなのでしょう。
しかし、一般的な日本人からすれば、こうした考え方はいささか
過激?に感じられるところで、〜もう死んでしまった相手に
なにもそこまでしなくとも〜
と思ってしまうところです。

そういう意味では、昨今話題にされることも多い現職総理の
「靖国神社」参拝問題も、別の言い方をするなら、日本の
「死んだら神(仏)様よ」文化と、中国韓国の「掘墓鞭屍」文化の
衝突と見ることができるのかもしれません。
※ちなみに、「靖国参拝」に対して中国韓国が非難をし始めたのは、
  そもそもが朝日新聞(1985年)の記事がその”火付け役”になったとも?


お話を戻しますと、「死んだら神(仏)様よ」の意識はその後の
豊臣秀吉の「朝鮮出兵」(文禄・慶長の役/1592-1598年)の折に、
各地で敵兵の屍を埋めて弔っていたことでも確認できます。
このことは、敵側?であった当時の朝鮮政府要人も記録として
書き残しているのですから確かなことでしょう。

討ち取った敵兵の首を恩賞目的で持ち帰る戦国時代の風習の
維持はさすがに海外では困難だったこともあって、現代人から
すれば思わずウゲッ!とか、残酷だッ!と言いたくなるような
方法ですが、敵兵の鼻や耳を持ち帰り、これも検分?が済んだ
後には日本国内で丁重に葬り弔っています。
※「耳塚」(京都市東山区豊国神社門前/約二万人分とも)

さらに、つい最近(でもないか?)にも同様なことはありました。
幕末の時代(1868年)、幕府から脱走した軍艦・咸臨丸が台風の
最中にあって破船し、清水湊に停泊のところ、新政府側の攻撃
を受け乗組員全員が死亡・・・新政府軍が幕府軍兵士の死体を
駿河湾に放置したまま、軍艦・咸臨丸だけを曳航して去ったとき
のことです。

もちろん戦死兵は賊軍(反政府軍)ですから、その遺体に手を
つけることは厳として許されてはいません。 
つまり、それを行なうことは法に触れる犯罪行為というわけです。
ところが、地元の顔役・清水次郎長(山本長五郎/1820-1893年)
子分を総動員して幕府軍兵士の遺体収容に取り掛かりました。
 
この時その清水次郎長が切った啖呵がこれ。 〜ってやんでぇ、
死んだら皆、仏様・・・官軍も賊軍も俺らには関係ねぇ!〜

日本人が持つ「死んだら神(仏)様よ」の意識を見事に表した
セリフです。

もしこの時の日本に、中国韓国の歴史にみるような「掘墓鞭屍」
文化が根付いていたとしたら、清水次郎長からこんなセリフが
飛び出すこともなく、逆に国家に反逆した極悪人の死体として、
文字通り「鞭打たれて」いたのかもしれません。



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