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zoom RSS 日本史の「世界標準」15 ”未熟”が幸い?原理主義

<<   作成日時 : 2015/05/20 00:01   >>

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最近、「原理主義」という言葉をよく耳にします。
この厳密な定義は結構難しいようですが、幾分は「根本主義」
とか「教条主義」とかの別の言葉にも重なる印象があって、
乱暴にくくるなら、まあ「基本」や「原則」を徹底的に重視する
考え方といったところでしょうか。

ならば、その反意語があるかといえば、これも明確ではありま
せんが、敢えて言うなら「世俗主義」でしょうか。
「基本」や「原則」の存在は認めるものの、必ずしも「それ一辺倒」
ではなく、好意的に言えば「フレキシブル・弾力的」、少し意地悪く
言うなら、幾分の「原則軽視」的な側面を備えた考え方です。

では、先人達はそのどちらの傾向を強く持っていたのか?
おそらく、ほとんどの時代において「世俗主義」を基本にして
過ごしてきたはずです。 早い話が日本人にとってお宝?である
「和の精神」自体がそもそもその通りのあり方ですからね。

確かに、言い出しっぺ?の聖徳太子(574-622年)も「話し合い」の
大切さは強調してはいますが、だからといってその運用の方法に
明確なルール・原則を設けているわけでもありません。
少々乱暴な言い方ですが、最終的に全員の「納得」が得られれば
「それでよし」としている印象ですから、これはやはり「世俗主義」
の典型?と言えそうです。

また外来宗教である「仏教」の受け入れ方なぞも、ある意味
とことん「世俗主義」的だったかもしれません。
「解脱」に至る修行を重視した「原仏教」?とは打って変わって、
そうした修行自体を敢えて軽視?無視?否定?する「日本仏教」
の姿勢は、本当に「仏教」という看板を揚げていていいものかと
心配したくなるほどです。

昔のことばかりではありません。 つい最近の二十世紀において
すら、法治国家でありながら、過激派のテロ行動に対してモロに
「原則」を無視した「超法規的措置」という”ウラ技”を見せたの
ですから、どう逆立ちしても「原理主義大好き国民」とは言えない
雰囲気が漂っています。
 ※ダッカ日航機ハイジャック事件(1977年)

毛沢東01 ポルポト51 松平定信55









    毛沢東/中国    ポル・ポト/カンボジア  松平定信/日本

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ところが日本史の中には、この「原理主義」にかなり傾倒していた
ように感じられる、極めて珍しい「団体」?が登場しています。
江戸幕府(1603-1867年)がそれで、政治・経済・思想など多方面で
かなり強烈な「朱子学原理主義」?ぶりを発揮していました。

農業を最重視し商業を極端に蔑視したその「朱子学ドップリ」感は
「貴穀賤金」(きこくせんきん)※1、また、「寛政の改革」をリードした
老中・松平定信の「商は詐なり」※2という言葉にも如実に現れて
います。 ※1 お米(農)は貴いものだが、銭(商)は賤しいものだッ!
       ※2 商業とは詐欺であり、マトモな人間のやることではないッ!

ところが、金科玉条としたこの「貴穀賤金/商は詐なり」路線は
現実政策において悉く失敗に終わり、「朱子学原理主義」?
社会の実情に適合しないことを証明してしまいました。
※いわゆる、“享保・寛政・天保の三大改革”
 
でも、いかに失敗を重ねようが「軌道修正」を考えないところが
「原理主義」「原理主義」たる所以ですから、時には「本末転倒」
なことでも、力ずくでやりきってしまうことがあります。 
幕府が同じような「改革」?を懲りずに何度も繰り返したのも、
結局はこれが原因だったのでしょう。

さらに分りやすい「実例」が現代史の中に登場しています。
20世紀の一時期、中国(※1)やカンボジア(※2)では、少数の
“優秀な”共産党指導者と、大多数の“無知な”農民だけで構成
する、いわゆる「重農主義」の国家を理想とし、「無用・有害」な
存在である非農民(※3)の全てを農民化すべく積極果敢?な
行動をとりました。
(※1) 中国の「文化大革命」(1966-1977年)
(※2) カンボジアの「ポル・ポト政権」(1970年代)

(※3) 学者・教師・将校・僧侶・役人・芸術家・知識人など

さらには、「無用・有害な者」?を農民化させているより、排除
(粛清)することの方が「理想国家」?実現への近道であることに
気がつけば、実際、自国民の「粛清」を歯止めなく続けました。
※「文化大革命」の犠牲者数は1,000万人以上?/「ポル・ポト政権」では
  総人口の四半分(200万人)?とも・・・但し実数は掴みきれていない。


「理想国家」?の基を構成するはずの国民を、自らの手で片っ端
から粛清し続けるこの姿が「本末転倒」でないはずがありません。
ところがドッコイ、江戸幕府がこうした「本末転倒」を演じることは
ありませんでした。

要するに、「貴穀賤金/商は詐なり」を金科玉条(原則)
しながらも、その「賤しい金」を扱っていること(原則違反)
理由に、商人達(原則違反者?)粛清しまくるなんてことは、
決してしなかったということです。

こうして見ると、江戸幕府がリキんでいた「朱子学原理主義」?
なぞは、世界史の中では多分にママゴト?めいた印象で、
せいぜい「多少は原理主義っぽい世俗主義」、あるいはズバリ
「世界標準」のレベルには到底届かない「未熟な原理主義」
呼んだ方が妥当な印象になります。

世界標準であるこの「粛清付き原理主義」を積極的に軽視?
無視?否定?したのかどうかはともかく、「未熟な原理主義」?の
ままで、それを振り回していた先人達(世俗主義者?)の判断・
行動は、当時の日本国民にとってまことに大きな幸い?だった
のかもしれません。




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