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zoom RSS 日本史の「言葉」16 自作自演はなぜ”狂言”?

<<   作成日時 : 2014/11/10 00:01   >>

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デッチあげ・自作自演の強盗事件を「狂言強盗」と表現すること
があります。 しかしよく考えてみると、この言い方は伝統芸能
である本物の「狂言」に対し大変に失礼な気もするのです。

ところが、このことで本家「狂言」側からクレームが付いたという
話も耳にしません。
ということなら、それなりに“合理的”な表現になっているとも
考えられるわけで、そこで、この摩訶不思議な?「狂言」を少し
探ってみることにした次第です。

多分、ファンの数という面では「歌舞伎」に遅れをとっていると
思われる「狂言」ですが、日本の伝統芸能の一つであることは
間違いありません。 
怨霊を題材にしたシリアスな「能」とセットになることが多く、
それとは好対照に、まあ今で言う「コント・寸劇」的な雰囲気で
演じられてきています。

ではこのコント・寸劇のいったいどこが「狂」なのか?
正直なところ、あまり佳字という感じはしませんが、昭和時代の
コント・冗談音楽にも「クレージーキャッツ」というグループが
あったことを思えば、「さだめし不自然じゃ!」というほどのもの
でもないのかもしれません。

ところがやっぱり、この「狂言」という言葉・語源には、結構深い
ものがあったのです。
「狂言」は、道理に合わない物言いや飾り立てた言葉を意味
  する仏教用語の「狂言綺語」(きょうげんきぎょ)に由来する〜


堅苦しい仏教用語にも拘わらず、これが滑稽な「物まね芸」を
指す言葉として転用され、やがて「コント・寸劇=狂言」の名称と
して定着していくことになります。

先の「狂言強盗」の語源?もここにあって、つまり、滑稽な振る
舞い→冗談や嘘→人を騙す意図→そのように仕組んだ行い

と変遷し、結局こうしたこともひとからげで「狂言」と呼ぶように
なったようです。


     狂言01










 狂言

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そしてまた、この「狂言」は、どうも奈良時代(710-794年)に中国
大陸から伝わった芸能「散楽(さんがく)」がそのルーツに当たる
ようですから、その歴史も、たかだか400年の「歌舞伎」に比べ
ればメッチャ古いことになります。

それが、平安時代(794-1185/1192年頃)には「猿楽(さるがく)」と
呼ばれるようになり、さらに室町時代(1338-1573年)の頃には、
歌や舞を中心とした悲劇的な「能」と、セリフを中心とした喜劇
「狂言」に分かれていき、さらにさらに江戸時代(1603-1868年)
なると、両者は幕府公式の芸能「式楽」として認められ、手厚い
庇護を受けるまでになっていきました。 

現代の相撲が「国技」なら、当時の「能」「狂言」は、いわば
「国芸」とでも呼べる地位にあったのでしょう。 
こうなると、いわゆる「親方日の丸」ですから、将来については
何の不安も心配もない・・・はずでした。

ところがどっこい、そこへ「明治維新」というアクシデント・・・つまり
最高最大のパトロン「幕府」が急になくなっちゃったわけです。
こうなると当然この後の人気も下降線を辿ることになるのですが
現代になってちょっとばかり注目を集めたこともありました。

それが和泉淳子と三宅藤九郎(狂言師・和泉元彌の二人の姉)による
いわゆる「史上初の女性狂言師の誕生」(1989年)です。
つまり、それ以前は「女性」が狂言を演じることはなかったという
ことになります。

しかし、その「初の女流」の盛り上がりも割合束の間のことで、
「狂言・完全復活」には及ばないまま、むしろそれ以降の元彌
周辺の家元紛争・スキャンダルの方が賑やかな印象でした。

余談になりますが、実はその昔、2・3回その和泉流「狂言」の
本物を鑑賞したことがあって、その悠長さを含め、〜ほう、
これが噂?の「狂言」か!〜
と素直に楽しんだ記憶があります。
※和泉元彌+和泉淳子+三宅藤九郎の競演/名古屋・白鳥庭園

さて今回の締めくくりとして、冒頭の「狂言強盗」のお話に戻り
ますが、仮にある人が周りの人にこう“宣言”したとします。
〜今から皆さんに“空手”の型をご披露します、オスッ!〜

で、先の定義の通り 〜人を騙す意図があり、そのように仕組ん
だ行いを目的として〜
その人がいきなり“狂言”を演じたとしたら
この行為を「狂言狂言」?と呼ぶべきでしょうか?




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